2極化する据置型ゲーム機

先週12月10日にドラクエ10Wii向けに開発されることが発表された。

都内で開かれた発表会では、ドラクエシリーズの生みの親・堀井雄二さんが登場し、10作目となる「X」(テン)をWii向けに開発する方針を明らかに。

「次はWii……言っちゃっていいのかな」 ドラクエ発表会 (1/2) - ITmedia NEWS

世界では余り人気のないドラクエだが、日本では人気のあるブランドなので、はてブやブログで取り上げている人が多かったが、驚きや意外というよりも「まぁ、そうだろうな」的な感想が多いように思う。
自分もその中の一人で、今はゲーマー向けのPS3/Xbox360、ファミリーやライト層向けのWiiと分かれている据置型ゲーム機も、Wiiの販売台数が増えていけばかつてのPS2のようにWii据置型ゲーム機デファクトスタンダードになれると思っていた。
仮に現行世代のWiiがSD機のためにコアゲーマーを取り込めないとしても、次世代のWii(Wii2とかWii HDとか言われているもの)ならHD対応になり現時点レベルのハイエンドゲームを巻き取ることもできるだろうし、当然現時点のWiiソフトと互換性は持たせるだろうから、そこで真のデファクトスタンダードになると思っていた。
それで、ファミコンからWiiまでのCPUクロック数をグラフに置いてみたのが次の図。

GAME_CPU

紺色の菱形が任天堂、ピンクの四角がソニー、緑の三角がマイクロソフト。右端の白抜きの3つは過去の延長で単純に次世代機を置いてみたもの。
グラフを作って思ったのは、SFC(スーファミ)からPS3までメーカーの違いもなくほぼ一直線に並ぶこと。N64(NINTENDO64)はトレンドから少し上にずれているが、この機種はハイスペックを目指したため開発に苦労したと聞いたことがある。この過去の流れからするとPS3/Xbox360の性能は自然に見えるし、Wiiこそ異常に見える。
どのメーカーも次世代機の話はしていないが、いずれは次世代機を出すだろう。従来は5年間隔が多かったがこれまでのハイペースなHW性能の向上は難しいと考えて、6年後と仮定しXbox360は2012年、他は2013年とし、性能は過去の延長でPS3/Xbox360後継は32GHz、Wii後継は1.2GHzとして次世代機をグラフに置いてみた。
でも、実際はこの予想はあり得ない。CPUのクロック値には限界が見えているから今はマルチコア/メニーコアの流れになっているし、GPUの重要性も増してきている。それでも、今以上のHW性能の向上は難しく、例えできたとしてもその見返りはほとんどないだろうことは今の状況から見えている。
一方、任天堂がHD対応するかどうかもかなり怪しい。携帯電話のカメラでさえ500万画素以上が普通の時代に30万画素のカメラを新型のDSiに搭載するような会社なのだから、HD対応がゲームの面白さに貢献しないと考えれば、案外あっさりと次世代据置機でもSD対応で出してくる可能性は高いと思う。
つまりは、ゲーマーもファミリーのどちらも楽しめるような据置型ゲーム機は数年以内には登場しないと思われる。残念なことに、しばらくは人気ゲームソフトの次回作はどのプラットフォームで発売されるのか、またはマルチになるのか、移植されることはないのかという議論から逃れられそうにない。

据置型ゲーム機が2極化していくにしても、その市場規模には同じとは限らない。実際にはかなり偏りが出ると思う。おそらく小さい方の市場で世界有数の企業2社が生き残りをかけて争うことになるだろうが、それは両社にとってもゲームソフトを提供するサードにとっても益のないことだし長くは続かないと思う。

補足

各ゲーム機のCPUクロック数と発売日はWikipediaを参照した。
ただし、Wiiは数値が公開されていなかったため検索で見つかった値をそのまま使っている。
また、各機種の発売日は日本国内の発売日を採用。

任天堂
1983年7月15日 ファミコン
  CPU:リコー製RP2A03(1.79MHz)
1990年11月21日 スーパーファミコン
  CPU:16-bit 65c816 Ricoh 5A22 3.58MHz
1996年6月23日 NINTENDO64
  CPU:64bit 93.75MHz NEC VR4300
  GPU:SGI 62.5 MHz 64-bit RCP
2001年9月14日 ゲームキューブ
  CPU:PowerPC Gekko 485MHz
  GPU:AMD(ATI) 162MHz
2006年11月19日 Wii
http://abnormal.sakura.ne.jp/entry/log_979.php
  CPU:(729 MHz)
  GPU:(243 MHz)


ソニー
1994年12月3日 プレイステーション
  CPU:MIPS R3000A(33.8688MHz)
2000年3月4日 プレイステーション2PlayStation 2
  CPU:128 bit Emotion Engine(294.912MHz)
  GPU:Graphics Synthesizer(147.456MHz)
2006年11月11日 プレイステーション3
  CPU:Cell(3.2GHz), 1PPE+7SPE
  GPU:RSX(550MHz)


マイクロソフト
2002年2月22日  Xbox
  CPU:Celeron(733MHz)
  GPU:NVIDIA NV2A (233MHz)
2005年12月10日 Xbox 360
  CPU:PowerPC カスタム (3.2GHz) 3コア
  GPU:ATI カスタム (500MHz)