「魔法少女まどか☆マギカ」を観て思ったこと

2ちゃんねるでは神アニメとも言われている「魔法少女まどか☆マギカ」を観て思ったこと。ネタバレしまくっているので、まだ作品を観ていない方は注意してください。

すべての物語には必ず作者という全知全能の神がいます。その神の力は視聴者や読者を楽しませるというたった一つの目的のために使われます。

驚きに満ちていて、意外性があって退屈せず、説得力を持ち絶えず心が揺さぶられる様な物語。作者は作品の中では全能なのに、そういう物語に出会うことは滅多になりません。


「世の中に物語の種類は二つしかない。ある男が歩いて来て、穴に落ちて死ぬ、か、穴から這い上がる話、だ」


これは村上龍さんが米国の脚本家から聞いた話だそうです。これを読んだ直後は「なるほどっ!」と思いましたが、その後はとても後悔しました。映画を観たりや本を読んでもこの言葉が思い浮かぶ度に話がつまらなくなるからです。でも、それでつまらなくなってしまう様な物語は初めから面白くないのだとも思うようになりました。


少なくとも、まどマギにこの話はまったく当てはまりません。視聴者は最初の数分で複雑に張り巡らされた伏線に騙されています。そもそもタイトルを見た時点で、そして絵柄で騙されます。変身しない魔法少女。ついさっきまで幸せそのものだった魔法少女が一瞬の油断で残酷な死を迎える。正義のために自らの魂を捧げた少女が絶望の末に魔女へと変わりかつての親友に手をかけようとする。「悪」と信じて戦ってきた魔女が、実は魔法少女の成れの果てと知る。親友をQBの魔の手から救うために何度も同じ時間を繰り返した少女は、それが親友を最悪の魔女に変える行為だと告げられる。突然、魔法少女ものからSFへ転換。そして、最後にはこれまでの伏線を無駄にすることなく、更にその先にハッピーエンドを用意していました。まさにジェットコースターです。まさに驚きの連続ですが、物語の中で設定したルールは破っていないため説得力があります。


また、もう一つ思ったことは、シナリオを担当された虚淵さんがアダルトゲーム業界出身だということです。最近はアダルトものへの規制が強化される傾向が強まっている気がしますが、幅広い表現の場が才能を育てる土壌になることを示してくれれば良いと思います。