どうやったら「初音ミク」を作れるんだろうか

「次はさー、次、もう全米のあちこちから引き合いが来てるんだよー。うちでもやってくれって。全部が全部はできないからさー。うーん。でもやって行きたいよね。せっかくここまで盛り上がってるんだし」

どうやらボーカロイドのコンサートは儲かりそうです。こんな美味しそうな商売を日本企業に独占されるのは面白くない、と考えるアメリカ人がいてもおかしくありません。マイクロソフト、アップル、グーグル、FaceBookTwitter等々、誰もが知っているITサービスを産み出してきたアメリカという巨大な国であれば、人・物・金、そしてテクノロジーなど必要なものはすべて持っています。彼らが本気になれば、より人の声に近いボーカル、よりリアリティのある映像を作り出せるに違いありません。


しかし、人の声と区別のつかない歌声を持ち、人と区別がつかないほどのリアリティを持つCG映像のバーチャル・アイドルを作り、プロの作曲家と作詞家に立派な楽曲を作らせたとしても、ロスでのミクのコンサートのような盛り上がりはまったく想像できません。たぶん、それを観た人は、CGのコンサートを観て何が面白いのか?と疑問に思うに違いありません。


昨日のエントリで「今はボーカロイドを適切に言い表す言葉は存在しない」と書きました。今でもそう思っていますし、だからこそ単に合成音声や映像を豪華にしただけでは、初音ミクと同じようなキャラクターは作れないでしょう。


先日、Googleが「Google+」をリリースしSNSに参入しました。先駆者であるFaceBookと真っ向から競合することになるので、今後、どちらが人々の人気を獲得するのか興味深いです。GoogleFaceBookTwitterなどITサービスの多くを米国企業が占めていて、さらに情報を囲い込むための競争は激しくなっているように見えます。しかし、初音ミクというコンテンツはそれらの競争に影響をうけることなく、Twitterからテレビまで様々な媒体に伝搬されています。インターネット以前はメディア(媒体)をコントロールする人や企業がブームや流行を作ることができ、富を築くことができました。この点で、今のGoogleFaceBookの競争も新聞の発行部数やテレビの視聴率競争に似ています。


昨日のエントリを書いた時、ネット検索でTwitterのビデオサービスやFaceBookの記事をたくさんみつけました。あまり見かけないインタフェースだったので最初はちょっと戸惑いましたが、ネットのサービスは変わってもコンテンツは変わりません。そして、初音ミクのコンサートが多くの人から支持されていました。これが一時的な流行に過ぎないのか、それとももっと大きな変化の始まりなのか、現時点では分かりません。しかし、日本の技術を使った日本人に向けて作ったコンテンツが世界中で評価されているのは素直に嬉しいと思いました。将来、初音ミクにライバルが生まれることもあるのかも知れませんが、いったい全体、どうやったらそんな状態になるのかまったく想像ができません。