なぜiPhoneでiTune Storeから音楽やビデオを購入出来ないのか?

Life is beautiful: スティーブ・ジョブズの面接試験、iPhone編

ここで問題である、アップルはいったい全体、なんでiPhoneを使って直接iTune Music Storeから購入できるようにしなかったのだろうか?

答えは、「iTune Storeにアクセスできるのは、iTunesだけだから。」だと思う。
Appleが提供している音楽やビデオなどのデジタルコンテンツ管理方法は、iTunesという使いやすい検索/表示機能を持ったソフトウェアで全デジタルコンテンツを管理し、iPodシリーズでそのコンテンツをどこでも使えるようにするというもので、その使い勝手のためにシステムが最適化されている。

iPodには優れた点が多くありますが、その一つにMAC/PCとケーブルでつなぐだけでデータを更新してくれるシンク(自動同期)があります。このiTunesのデータを単純にiPodへコピーしているだけのように見えるシンクは、たぶん、よく考えられて作られていて、いろいろ制限もあるように思う。例えば、iTunesからiPodへのデータ転送は自動で行われるのに、その逆、iPodからiTunesへはDRM管理されたデータ以外は転送されない。そしてiTunesiPodから転送されたデータを再生するにはiTunes Store経由での認証が必要になる。また、認証可能なコンピュータは最大5台という制限もある。これらの仕様から見えてくるiPodの位置づけは、マスタとなるiTunesのコピー、つまり一時的にiTunesから音楽なりビデオなりを借りてきているだけのように見える。(iPod との音楽のシンクは一方通行)
単に技術的なことだけを考えればiPodからiTunesへコピーは簡単だろうし、ユーザーも便利だと思う場面が多いに違いが、それは必然的に著作権に違反したコンテンツの蔓延に繋がるのだろう。

また、iTunes間のコピーも技術的には可能だし、その手順もAppleのサイトに書かれているがその手順はiTunes-iPodの同期と比べるとひどく原始的なフォルダコピーとなっている。そして、この手順の目的はデータ移行のためとしている。これは、自動同期をするとiTunes間のコピーを推奨することになるので、わざと面倒な手順にしているのではないだろうか。
購入したiPodのパッケージを開くと、モニタには複数の言語で「音楽を盗用しないでください。」と書かれたフィルムが貼られているのが見える。Appleはユーザに訴えかけるだけでなく、Apple自身が、著作権を守りながらユーザの利便性を損なわなずに済むようにiTunesiPodの仕組みを作っているように思える。


つまり、

  • デジタルコンテンツのマスタは、iTunesで統合管理される
  • iTunes間の同期はできない(移行は可能)
  • iPodは一時的にiTunesのコンテンツを借りるだけ(iPodから別媒体にコピーできない)

なので、iPhoneiTunes Storeからコンテンツを購入するには、iPhoneiTunesを搭載させなくてはならなくなる。仮にiPhoneiTunesを搭載すれば、今度はiPhoneとPC/MACとの同期ができなくなってしまう。
ただ、将来、モバイル機器のスペックが向上し、PC/MACiPhoneが完全に置き換えることができるようになれば、iPhoneiTunesを載せることもあるかもしれない。