「怪盗ロワイヤル」も電子書籍として考えればよく出来ている

ソースになっている産経記事で

任天堂ソニーは、人間でいうと還暦を過ぎている。

DeNA南場智子社長が過激な発言をされたことになっていますが、本当にこんなことを言ったのでしょうか。他の記事を探してもこんな発言は見つかりませんでした。


過激な発言もあってか、モバゲーに対して2ちゃんねるでもはてブでも批判の嵐という状態です。ただ、ゲームをやりもせずに批判するのは好きじゃないので、「怪盗ロワイヤル」やってみたかったのですが、携帯電話(ガラケー)を持っていないのでできません。それで、とりあえずYouTubeの動画を観てみました。

まず唖然としたのは無音だったことです。BGMどころか効果音すらありません。30年前のゲーム&ウォッチでさえビープ音がありました。そして、上から徐々に表示される低解像度の画像。昔のモデム経由のインターネットを思い出します。いよいよボス戦が始まると、RPGの戦闘画面のような感じになりますが、選択肢が「攻撃」「回復」「逃走」の3つしかありません。確かにケータイのインターフェースではそれくらいしかボタンがないですが、ひたすら「攻撃」を押し続ける戦闘って面白いのでしょうか。


3分弱の動画を観終わった後、とてもゲームとは呼べないものを沢山の人がお金を払って遊んでいるのが疑問でした。それで別のもの、たとえば電子書籍とし見ることができないか考えてみました。
電子書籍なら音が出なくても何もおかしくはありません。逆に音が出ない方がうるさい場所でも気にせずに遊べそうです。また、本と違ってかさばらりませんし、気が向いたときにいつでも遊べます。
普通、ラノベや漫画を読むのは、通勤時間などのちょっとした暇がある時です。ラノベや漫画では、普通の学生やサラリーマンの生活とは違う世界が描かれ、本を読んでいる間は架空の世界を楽しむことができます。この「怪盗ロワイヤル」も同じ効果があるような気がします。世界中のお宝を集めるという分かりやすい目的。「肉体派」「頭脳派」「セクシー派」という、これまた分かりやすいキャラクター。各ミッションではお宝を盗むのですが、悪党を倒してそのお宝を盗むというポリシーになっており、盗賊でありながら「悪」ではないという設定になっています。

敵のボスも「殺人ピエロ」や「賄賂を受け取る悪徳警察署長」とどこかで見たこと、聞いたことのある分かりやすいキャラクターが多いようです。電子書籍というには文字数が少なすぎる感じもしますが、文字数が少ない分だけ必要最低限の説明しかないため、その分、想像力をかきたてる効果もあるのではないでしょうか。だいたい、携帯で長文を読むのは疲れそうです。
レベルアップの概念も凝っていて、数字ではなく「称号」というランクを使っているそうです。単なる数字だと飽きられやすいからだと思われます。


どうもこのゲームは海外のゲームのパクリという話があるみたいですが、殺伐としたマフィアの世界よりは、のんびりした義賊ごっこの方が個人的には好みです。

実際に遊んではいませんが、YouTubeWikiなどを見ると「怪盗ロワイヤル」はユーザー間の駆け引きだけでなく、世界観やキャラクター、ミッションなどが日本人向けによく考えられているように感じました。絵もゲームによく合っていると思います。
電子書籍はお金にならないという話をよく聞きます。でも、もし本というものが、普通の人には叶わない様な夢を売る商品なのだとしたら、気づかない間に多くの読者をSNS会社に奪われているのかもしれません。

追記(2010/11/14)

今更ですが、南場さんのTwitterを見つけました。任天堂ソニーに対して「還暦」という言い方はしたそうですが、良い「先輩」という意味で使われたそうです。産経が意図的な書き方をしたのか、元々の表現が誤解をまねくような言い方だったのかは、講演全体を聞いてみないと何とも言えません。

CEDECでの発言が、なぜか大手批判や挑戦状といわれてびっくり。ここ30年以内に日本で生まれたこの業界の会社で、任天堂ソニーのような世界の真のリーダーが出ていないのが残念、先輩に続こうという意味でした。「還暦」という言葉が独り歩きしたのかな。言葉の選び方に気をつけねば。