Appleが目指す人と音楽(コンテンツ)の関係を考えてみる

先週の9月6日に発表された新iPodシリーズは衝撃的でした。予想通りとも言えますが、案外予想が当たった人自身が一番驚いているかも知れません。
最初、太ったiPod nanoを見たときは動画対応のために仕方なく形を変えたのかと思いましたが、この前、店頭で実物を触ってみて180度考えが変わりました。この新nanoがクリックホイールタイプのiPodの理想型じゃないかとすら思っています。ITmediaのこの記事に詳しく説明が書かれていますが、記事あるとおり実際に触ってみるのが一番です。

ただ、この発表で疑問に思ったのは、

でした。
フル液晶画面のiPodの噂は以前からあったので、そのことに疑問はないのですが、わざわざ無線LANを付けた理由が分かりません。"iPod touch = iPhone - Phone"なら分かるのですが、touchもiPodなのだからという理由でカレンダーイベントの入力やメモ帳などをわざわざソフトウェア的に「制限」しています。もし純粋にiPodとして作るなら無線LANや文字入力を無くせばいい。文字入力ができるのに機能を限定するから不満が出るんだと思います。無線LAN機能がなくてもtouchは十分魅力的な製品になっただろうとも思います。
また、touchに無線LANを搭載したことでiPhoneではなくtouchを選ぶ人が少なからずいるだろうと考えられることです。Appleも当然、そう考えているでしょう。Appleとしては価格が同程度なら継続的に収入の入るiPhoneが売れた方が嬉しいはずなので、わざわざiPhoneを値下げしてtouchと同等価格にする必要性が見えません。
もし、素直に利益だけを考えるなら、

が妥当だと思います。
iPhoneを売りたいならtouchは、出さなければ良かったのでしょうし。

今回、Appleが今回のような製品化を行った理由を考えると、無線LANを搭載した端末(iPodiPhone)を増やしたかったからとしか思えません。では、無線LAN端末が増えるとAppleにとってどんなメリットがあるのか。

iTunes Wi-Fi Music Storeは外出先で音楽を購入することができます。そんなのは携帯電話ならもっと自由にできていそうですが、DRMがきつすぎて利便性が低くなっています。また、スターバックスは他店との差別化になると考えているのではないでしょうか。
また、以下のような記事もあります。

もしこのレンタルがiTunes Wi-Fi Music Storeでも始まったらどうでしょう。ちょっとした待ち合わせ時間などでスターバックスに入ってテレビ番組をレンタルして時間をつぶすこともできるでしょうし、Appleのことだからレンタル料金を割引にして番組を購入できるようにするかも知れません。ユーザーからするとより気軽に番組を観ることができますし、番組提供側からすれば売上増が期待できるかも知れません。また、iTunes Wi-Fi Music Store専用にiPod nanoにも無線LANが搭載される可能性もあります。

もともとAppleiPodで参入した市場は、ソニーウォークマンが切り開いた市場でした。

場所を選ばず、いつでもどこでも音楽が聴けるため社会現象になるほどの大ヒット商品となった。

ウォークマン - Wikipedia

今はiPod全盛の世の中ですが、ウォークマンだとCDの持ち運びがかさばるのを、HDDやフラッシュメモリに置き換えただけとも言えます。少なくともウォークマン登場に巻き起こしたような社会現象を起こしているようには見えません。(私が物心付いたときにはウォークマンは”一般名詞”になっていたので実感はないのですが。)
しかし、iPodが外出先で自由に音楽などのデジタルコンテンツを購入できるようになれば、ウォークマンと同等以上の社会現象を起こせるかも知れません。