たくさんの壁に区切られた国のお話

この記事を読んだら、変な話を思いついたので書いてみる。

たくさんの壁に区切られた国のお話

むかしむかし、あるところにたくさんの壁で区切られた国がありました。
国民はどこに行くにも壁をよじ登らなければならず、遠くに出歩くことはできませんでした。また、高い壁が日を遮るので家にも畑にも日が当たらず、作物はなかなか育ちませんでした。風通しも悪くいつもジメジメしていました。それでも、王様はつぎつぎ壁を作り続けます。人の良い国民たちは王様を信じていたので、不便な思いをしながらも、たくさんの壁は自分たちの役に立っていると思いこんでいました。

そんなある日、大きな地震がその国を襲いました。幸い、国民はみんな無事でしたが、たくさんの壁のほとんどが壊れてしまいました。最初、国民は壁が壊れて大変なことが起きると怯えていましたが、壁が壊れたことで通行が楽になり、畑に日が差し、清々しい風がそよぎはじめると、さすがにおかしいと気がつきました。国民たちは王様の元へ詰め寄り、たくさんの壁を作った理由を問いただしました。王様は、今まで見たこともない国民たちの剣幕に恐れをなして正直に白状しました。

「国民が自由に通行するとみんな都市に集まって、地方が廃れてしまう。それでは、地方の商店が困ってしまうので、壁を作って移動できないようにしたんだ。」

その話を聞いた国民たちは顔を真っ赤にして怒り出しました。しかし、大粒の涙をポロポロこぼしながら許しを請う王様がかわいそうになって、結局許してあげることにしました。その代わり、もう壁は作らないことと、残りの壁をすべて取り壊すことを約束させました。

その後、もともと働き者だった国民たちの手で国は豊かになり、皆、幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし?