テレビ好きな日本人と、日本といろいろ対照的なフィンランド

この前のWii投票チャンネル(ワールドアンケート)の結果も興味深かった。また、日本といつも対照的な結果となる国、フィンランドについて少し調べてみた。
今回の題は「一日にテレビを見る時間は...」で、「2時間未満」と「2時間以上」の2択。全体の結果は、2時間未満が34.8%、2時間以上が65.2%。(男:35.1%/64.9%、女:34.3%/65.7%)
男女差がほとんどないことが、意外と言えば意外だったが、全体としては思っていた通りみんな結構テレビを見ていると言うことが確認できた。ただ、テレビを見ると言っても単にテレビをつけているだけという人もいると思うので、どこまで真剣に見ているかとなると個人差が大きいと思う。
なかなか興味深かったのはやはり国ごとの違い。「テレビを見ないランキング上位」は以下だった。
テレビ時間_1

そして「テレビを見るランキング上位」は以下。
テレビ時間_2
日本は堂々の3位にランクインしている。

全体の順位(テレビを見ない順位)は以下となった。

1位:フィンランド
2位:ギリシャ
3位:ニュージーランド
4位:スウェーデン
5位:ノルウェー
6位:ポルトガル
7位:イタリア
8位:スイス
9位:デンマーク
10位:ブラジル
11位:オランダ
12位:アイルランド
13位:カナダ
14位:オーストラリア
15位:スペイン
16位:フランス
17位:ドイツ
18位:ルクセンブルク
19位:ベルギー
20位:アメリ
21位:オーストラリア
22位:イギリス
23位:ペルー
24位:グアテマラ
25位:メキシコ
26位:パナマ
27位:日本
28位:ベネズエラ
29位:コロンビア

この順位から一般的な傾向を見つけるのは難しい気がするが、強いて上げれば上位は欧州、下位は中南米になるだろうか。日本だけが異彩を放っているが、まあ、そういう国なのだろうと思う。もちろん、文明の象徴とも言えるテレビを見ないのは変だと思う人たちも少なくないだろう。そういう人たちからすると日本は先進的な国になるのかもしれない。


これまでWii投票チャンネル(主にワールドアンケート)の記事を書いてきて気づいたことがある。それは、フィンランドが多くの場合、日本と対照的な結果になるということ。今回も結果もそうだし、過去もそうだった。

「占いは・・・」

占いを信じるかどうかのアンケート。信じるは日本が1番多く、信じないが1番多かったのはフィンランド

「携帯電話持ってる?」

携帯電話を持っているかどうかのアンケート。持っているが1番多いのがフィンランドで、カナダに次いで二番目に持っていないのが日本。

「2カ国語以上話せる?」

2カ国語以上話せるかどうかのアンケート。2カ国語以上話せるが一番二番目に多かったのがフィンランドで、一番話せないのが日本。


これらの結果はワールドアンケートの全てではないが、別に意図的にこういう結果を集めたわけでもない。たぶん、この結果には何かの理由があるのではないかと思って、フィンランドについて少し調べてみた。

フィンランド

フィンランドと聞いて何を思い浮かべるだろうか。有名なムーミンというキャラクターか。それとも世界最大のシェアを持つノキアという携帯電話会社か。最近だと元フィンランド大統領がノーベル平和賞を受賞したというニュースもあった。
また、フィンランドは学力面でも優れているという結果が出ている。以下、ムーミンの家 フィンランドの教育さんから引用。

PISAで、世界トップ水準のスコアを出したフィンランドの2003年
の調査結果は下記のとおりです。

読解力        1位(日本14位)
科学的リテラシー 1位(日本2位)
数学的リテラシー 2位(日本6位)
問題解決能力   3位(日本4位)

他の科目は未確認だが、いくつかの科目は日本と同等以上の結果を出しているとのこと。興味深かったのは成績ではなく、学校のシステム。

●学校は完全週休2日制をとる
●塾に行く子供はいない
●2ヶ月半の長い夏休みには宿題はない

以上を挙げてわかるかと思われますが、フィンランドの子供たち
が学習する時間は、日本と比べると相当短いと言えます。

日本では学校帰りにドリンク剤を飲んで塾へ通う小学生がいるという冗談みたいな話も聞いたことがあるが、フィンランドはそういう受験戦争とは無縁のように見える。

しかも、はじめにも記述したように、フィンランドの学校は基本的
に小学校から大学まで無料で、教科書も無償で学校から借りる
形になっており、給食も無料です。

日本では給食費不払いの問題が時々ニュースになるが無料にすれば解決すると思う。また、教科書を学校から借りるというシステムは是非とも見習うべきだと思う。まあ、教科書会社は一斉に反対するだろうが。

教育が無料だということは、家庭の経済状況によって教育の格差が生じることがないので、誰もが平等に教育を受けることができます。

また、国レベルで何を教えるかという細かい指示は出さず、現場レベルで決定できる自由度が、やる気を起こさせる結果につながります。

これらの仕組みも日本が見習うべきだと思う。日本はすぐに補助金・援助金という話になるが、それは金銭面での助けになるかもしれないが、同時に受け取る側の心を傷つけることに気づくべきだ。人によっては、それによって自力で立ち上がる力を失うかもしれない。


また、フィンランドが2カ国語以上話せるという結果で1位2位になった時、てっきり、公用語が2カ国語だからだと思っていたが、実際は違うらしい。まず、フィンランド語と日本語は共通点が多いとのこと。

●子音と母音がセットになっている
  矢印(緑) こちらのサイトが理解しやすく紹介されています
●綴りと発音が一致している
●アクセントが必ず第一母音にある
●「男性名詞」「女性名詞」など、名詞に性がない
●前置詞は使わず、日本の助詞のように、名詞の語幹に語尾をつけて表現する
●日本語と同じように、ある程度、語順が自由である
●英語のa、theのように冠詞は使用しない
●疑問文は、日本語だと「〜か」を付けるが、フィンランド
  語では語尾に「ko」をつける

ムーミンの家 日本語とフィンランド語の共通点

フィンランド語は、ウラル(URALI)言語です。日本語と同じなのです。言葉の響き、音節、フレーズ、全てにおいてです。その証拠にフィンランド人が話す英語は、日本人が話すカタカナ英語と同じに聞こえます。また日本語を知らないフィンランド人が、日本語を話すと、日本語に聞こえます。フィンランド語を知らない日本人が、フィンランド語を話すと、フィンランド語に聞こえるのです。

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冠詞がなかったり、「名詞の語幹に語尾をつけて表現する」という特徴は確かに日本語に近いと思う。また、動画サイトで見つけた以下の歌は日本の演歌の外国語版のように聞こえるが、フィンランドの歌らしい。


フィンランド語が日本語に似ているというなら、つまりは英語に似ていないと言うことになる。にも関わらずフィンランドの人のほとんどは英語を普通に話せるらしい。その理由として分かりやすい記事を見つけたので引用する。

私も日本人と同じように母国語が英語に対して「超異言語」であるフィンランド人がどうして英語がうまいかを調べたことがあります。

まず第一の要因は、フィンランドと日本との人口規模の相違です。フィンランドの人口は 500 万人で、日本の 25 分の1 でしかありません。欧州はどこの国でもそうですが、人口小国ほど外国語の教育に力を入れています。これは、人口が少ない国ほど、経済発展を外国貿易に頼らざるを得ないだけではなく、書籍・映画・テレビ番組などの文化情報を自国語で自給できる割合が小さいからです。フィンランドの場合も、子供向けのテレビ番組は米英製のものを吹き替えなしで流されていて、子供たちは幼いときから否応なく英語に接しています。ですので、彼らは、学校で習った英語を家庭で遊びながら(米国製のTV番組や漫画雑誌を見ながら)復習する習慣がついているのです。いいかえれば、英語の学習は、娯楽生活を豊かにする上で必須なのです。

2番目の要因は、フィンランドの若者は、高校を卒業した後、大学に入る前、もしくは正規の職業につく前に、1年ほど海外で生活することが義務づけられていることです。この間に、英語を実際に使うチャンスがあり、また、そのような義務があるために、子供たちも、幼いときから英語(もしくは他の外国語)の学習に熱をいれるわけです。

第3は、学校教師の質です。フィンランドでは、戦前の日本と同じように、学校教師は社会的に尊敬されるステータスであり、英語科目に限らず、エリートたちが教師になっています。英語教師の場合には、たとえ小学校教師であっても、その大部分が英米の大学に留学した経験のある人たちのようです。ですので、英米ネーティブに頼らないでも、子供たちにすばらしい英語教育を施せるわけです。

日本がフィンランドのような人口小国になるわけにはいきませんが、2番目と3番目の施策については、見ならうべきものがあるようです。
(強調は引用者)

フィンランド人は、英語もフィンランド語も得意ですが、英語とフィンラ... - Yahoo!知恵袋

個人的に一番大きな理由だと思ったのは教師の質という点。人は自分の知っていることは教えられても、知らないことは教えられない。外国人と普通に話ができる英語教師がどれだけいるのか疑問に思う。別に発音がどうこうではなく、普通に話をすることがどれだけできるんだろうか。

 フィンランド人の兄弟と、数週間だけだけど一緒に住んでいる。2人はたいてい英語で話している。フィンランドにいる時も、フィンランド語がわからない人がひとりでもいたら、英語で話すんだそうだ。映画、音楽、食べ物、カルチャー、テクノロジー、政治、経済、歴史、バカ話…。どんな話題も、流暢な英語で冗談をまじえながらいろいろ教えてくれる。日本に遊びに来て10日ほどだが、すでに英語のミステリー小説を3冊読んでしまったといって、本を買いに行った。

2007-05-07


フィンランドについて色々調べてみると、日本の仕組みで不満に思っていたことが解消されていて、ほんとうにいい国だと思った。たぶん、今の日本で一番良くないところは変なプライドを持ってしまった故に他から学ぶことを忘れてしまっていることだと思う。明治維新や第二次大戦後の方がまだ謙虚さがあった気がする。


もちろん、フィンランドにも良くないと思えるところはある。

昔から狩猟が盛んだったためか銃の所持にほとんど制限がないらしい。そのため、銃乱射事件という痛ましい事件が起きているらしい。上記の記事では銃を取り上げることには反対という立場で書かれているが、やはり賛成はできない。私には、頭のおかしい人、変人、変わり者、正常者の区別はつかないし、誰が犯罪者になるかも分からない。そういう人たちで構成される社会に銃をばらまくことは、暴発するのを待つだけのように思える。銃は日常生活には不要なモノだろうし、それで不便だというならその不便は受け入れるべきだと思う。