協栄ジムはボクシング界の任天堂になれるだろうか
Wiiらしいゲームをやってみたくなり、Wiiシェイプボクシングを購入。このゲームソフト自身が良い意味で予想を裏切られる内容だっただけでなく、「シェイプボクシング」そのものが非常に興味深いものだった。
- 出版社/メーカー: ロケットカンパニー
- 発売日: 2008/10/30
- メディア: Video Game
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Wiiシェイプボクシング
WiiFitにもリズムボクシングというボクシングもどきのダイエットゲームが含まれている。しかし、基本的にリズムに合わせてパンチを出すというだけのゲームなので、物足りなく感じていた。一応、足も動かすがボクシングとは無縁のものだった。
WiiシェイプボクシングはDance Dance Revolution(ダンスダンスレボリューション)のボクシング版の様なゲームで、下から上に流れるアイコンに合わせて、ジャブ、ストレート、フック、アッパーなどを出すのだが、パンチだけでなくダッキング(体をかがめてパンチをかわす動き)などもある。このゲームというかソフトウェアの優れているところは、パンチやダッキングなどの一連の流れがいかにも本物っぽく感じる点だと思う。脳トレが単なる頭の体操以上の価値を出しているのは川島教授の研究成果をベースにしているからであり、リズム天国があれだけの支持を集めているのはつんく♂の監修があってこそだと思うが、このWiiシェイプボクシングはボクシングそのもののノウハウが感じられる内容になっている。
もし「はじめの一歩」や「拳闘暗黒伝セスタス」なんかのボクシング漫画が好きな人なら、このゲームはかなり楽しめるんじゃないかと思う。デンプシーロールやガゼルパンチ、フリッカージャブは登場しないが、単なるワン・ツーやアッパーだけでも疲れてフラフラになるし、自分の場合、最初にダッキングをやった時は数日の間、膝が筋肉痛になった。要は「ボクシングごっこ」が体験できる。また、このゲームは手を抜こうと思えばいくらでも手抜きができる。逆にやろうと思えばかなり本格的にできるとも思う。自分が手本にしているのは以下の動画。
シェイプボクシングとボクシング界の未来
この「Wiiシェイプボクシング」は「シェイプボクシング」をゲーム化したものだが、シェイプボクシングそのものは数年前に茂呂さんという方が中心になってできたものらしい。シェイプボクシングを開発したのは平成12年6月8日に設立されたプロスタッフ・協栄(金平真由美社長)という会社なので早くとも9年前と言うことになる。
このシェイプボクシング設立時のことについて、金平真由美社長と茂呂さんはブログで次のように書いている。
思えば数年前!!
Wiiのシェイプボクシング発売しました♪ | 金平真由美☆月に1回の脂肪冷却施術で3カ月集中ダイエット【BODYMAKE PRO JAPAN新宿本店】のブログ
協栄フィットネスチームを作ろうと
今の会長と考えましたひらめき電球
もともとは先代会長が『ボクサーがボクシングを教える仕事できないか?』と。
『誰かボクササイズのできる人いないかなぁ』
と思い見つけたのが茂呂イントラでした
プロスタッフ・協栄が出来て、
http://ameblo.jp/kazuo-moro/entry-10157682313.html
約8年間、(入社して9年間)
初めは金平真由美社長に協栄ジムのフィットネス部門の会社を作るからとの事で、お声をかけていただき、シェイプボクシングを開発(当初はシェイプアップボクシングでした。)
また、シェイプボクシング立ち上げ初期の状況を窺わせるコメントがあったので紹介したい。エントリのコメント欄から引用。
また初めはキックも入っていて「何でもボクシングジムなのにキックが入っているの?」と聞かれることもありました。
そのお陰でボクシングレッスンとしての誇りを持ったレッスンとして変わっていくことが出来ました。(^o^)/
http://ameblo.jp/kazuo-moro/entry-10157682313.html
普通に考えれば、ボクシングにキックは無いのだからレッスンの中にキックを入れる方がおかしい。しかし、知名度も資金もなくスタッフも数人しかいなかった状況を考えれば、「キック」が一時的とは言え取り入れられた状況は推測できる。おそらく、推測でしかないが、試行錯誤、暗中模索の連続だったのではないだろうか。嫌な予感や予測は常に的中し、計画したことの多くは計画通りには進まない。しかし、うまくいかないからと言って諦めればすべては終わる。そういう状況での唯一できたことは、トライ&エラーだったのではないだろうか。「キック」もその一例にすぎず、そうして、現在のシェイプボクシングが出来上がっていったんだと思う。そういう過去が次のようなコメントに繋がっているだと思う。
何万人という方たちが、「シェイプボクシング」という名前を聞いているかと思うと、かなり感動して泣けてきました。
http://ameblo.jp/kazuo-moro/entry-10157682313.html
Wikipediaによればボクシング(拳闘)の歴史は紀元前4000年ごろの古代エジプトにまで遡ることができるそうだが、それは「殺し合い/殴り合いの見せ物」としての歴史だった。そして現代はテレビという「見せ物」商売にとって画期的な道具を得て、大衆に広まったんだと思う。そして、自分がボクシングという言葉から感じる印象はどちらかというとネガティブなものが大きい。一言で言うと「胡散(うさん)臭い」。視聴率至上主義が原因と考えられる様々パフォーマンスやアピールがうんざりする。たぶん、そう感じている人は少なくないんじゃないだろうか。そして、現代のように娯楽が多様化し社会が成熟した社会で、人の殴り合いを見たがる人がどれだけいるだろうか。今後、ボクシングそのものの人気が集まる未来を想像することは難しいというか、不可能に思える。
シェイプボクシングはこういう未来の見えないボクシング界にあって、まったく新しい世界を切り開こうとしているように見える。以前、任天堂の岩田社長はWiiFitの発売前に次のようにコメントしていた。
いろんな方が必ず興味をお持ちになるテーマは何かと。
WiiFitは一家に一台 - うつせみ日記 (Utsusemi Nikki)
その中に健康管理というテーマがあったんですね。
社会が成熟し個人の興味が多様化した現代でも「健康管理」というテーマには誰もが興味を持ち、シェイプボクシングはそこに直接アプローチすることができる。そして、このアプローチは日本だけでなく世界中で有効だろう。また、現役時代の短いボクサーの就職先としても有望かも知れない。
以前に任天堂について書いたエントリで次のコメントをもらった。
893 2007/12/20 20:04
サイヤ人のような任天堂 - うつせみ日記 (Utsusemi Nikki)
>花札とたばこの箱の大きさが近かったことから、
>たばこ会社と提携して全国で販売した。
そんな生っちょろい関係じゃないですよ。パチンコ業界と同じ構図で賭博の道具が
専売公社という特殊法人で売られるにはそれなりの官民一体となった利権構造が
あったんですよ。任天堂って皆さんが考えているよりもはるかに闇の世界に通じた
会社なんですよ。
賭博道具を作っていた任天堂が今では主要ターゲットが子供向け(更に幅広い世代に拡大中)の玩具会社に生まれ変わったように、「殺し合い/殴り合いの見せ物」のボクシングも「健康管理の手段」として生まれ変わり世界中に広まるかも知れない。そして、その時にはhttp://news4vip.livedoor.biz/archives/51070195.htmlに健康で安全なボクシングを日本人が発明したとして追加されればいいなと思う。