梅田望夫さんのマスコミ対応力のなさを残念に思う

ネットで話題になっていたので以下の記事を読んでみたのですが、そんなに大騒ぎするような内容ではなかったと思いました。

記事本文を読む前に以下のレビューを読んでいます。他にははてブコメントなど。

話題になっている流れで、強いて「残念に思った点」を上げると次のTwitterで「はてな取締役であるという立場を離れて言う。〜」とつぶやいて話題になった時のことを語っている部分です。

強権的に何かを削除するとしても、ほかのブログなら何も考えずに消すけれども、うちはむしろ、もうちょっと違うところを目指したりするじゃない。そこが原点になって何か問題が起きたときに、直接的に利用者に対して「君たちがこういう使い方をしているのは良くない」と主観でものを言うのは、はてなの取締役を辞めるまでしないということを、あの事件の時に思ったんですよ。

 そしたらさ、新聞記者が、「辞めてくださいよ。辞めて、その発言を日本のためにしてください」と言ったんだよ。僕は「ふざけるな」と。「どうしてそんな失礼なことを君は言うの?」と僕は言ったわけですけどね。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (3/3) - ITmedia NEWS

(強調は引用者)

マスコミに向かって「辞めないとコメントできない」といった主旨のことを言うのはまさに売り言葉に買い言葉でしょう。当然のように「辞めてコメントしてください」という言葉が返ってきます。日本のネット利用者でマスコミに対してそういう感覚を持っている人は少なくないと思います。にも関わらず「ウェブ進化論」という良書を書かれた梅田望夫さんにそういう認識が無かったというのは残念だったと思います。

たとえば、そういうことが分かっている人は次のような対応します。

かの、有名なライブドア事件のフライング報道をしたNHK社会部が私に取材依頼をしてきたので、受けますが、条件があります。とカウンターをだしてみた。私のほうでも映像を撮らせていただきYouTubeにアップしてもよろしいですか?という条件だった。そしたら、やっぱりいいです。と断ってきた。

NHKが取材依頼をしてきたのだが。 | 堀江貴文オフィシャルブログ「六本木で働いていた元社長のアメブロ」

他の例として、これまでも何度か書いてきましたが任天堂という会社はマスコミの取材をほとんど受けていないそうです。

任天堂は外様に経営を語られることをよしとしない。経営を称えられることすら厭う。だから個別に取材を受けるということは、これほど成功している企業であるのに極端に少ない。故にその経営を題材とした書籍も、ほとんどない。

404 Blog Not Found:究極の仕事 - 書評 - 任天堂 "驚き"を生む方程式

社長に講演の依頼とか結構多いんだけれども、あまり行かないですね。「そんなもん行って話しても誰もわからない」という考えでいますから。見せもんにされるのもいやだし
今西紘史(『任天堂大戦略中田宏之著 JICC出版局1990年)

http://homepage2.nifty.com/kamitoba/goroku/yamauchi.html


それこそ、今はインターネットがあるのですが、言いたいことや伝えたいことがあるなら伝えたい相手に対して直接伝えればいいのだと思います。なぜ新聞記者相手に不毛で不快なやり取りをして、他のメディアで愚痴っているのか分かりません。

その他に気になったこと

少なくとも自分が見たい世界はものすごくたくさんあるよ、英語圏には。大学の教材が全部出てくるとか。

日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く(前編) (3/3) - ITmedia NEWS

こういうのは賛成なのだけど、日本では無理だろうと思います。たとえば、大学の教科書や参考書は高いものが多いですがその大学の教授が書いたものがあったりします。教科書を無料公開したら誰も教科書を買わなくなり、著者への著作権収入がなくなったり出版社の売上が減るだろうから、自ら自分たちの首を絞めるようなことはしないでしょう。
大学に限らず、小中高の教科書の無料公開やレンタルの仕組みを作るべきだと思うのですが、教科書で利益を得ている人たちは皆、反対するでしょうね。以前、ニュースで視覚に障害のある児童(全盲ではないが視力が低く教科書が読み取れない児童)のための教科書をボランティアが手作りしているがとても必要なすべての教科書を作りきれないという話を聞いたことがあります。ネットで検索したら以下の記事が見つかりましたが、詳しい記事は見あたりませんでした。

もし教科書がネットで公開されればPCを使って、みんなが使っているのと同じ教科書を弱視児童でも読めるのではないかと思います。(何かツールが必要になるかも知れませんが、すべての教科書を手作りするよりはずっと効率的でしょう。)

自分の場合は、インターネットというか科学技術全般に対して、社会的、金銭的、身体的に不便を強いられている人たちが少しでもその不便を解消できるようになることを期待しています。梅田望夫さんが「バーチャル・アテネの学堂」を期待していたのだとしたら、期待しているものの差に気づいたことが、記事を読んで得たものかも知れません。