「Androidがモバイル市場を制する10の理由」を全否定してみる
タイトルに釣られて読んでみたところ、どれも大した理由とは思えなかったので感想を書いてみました。
1. Androidがモバイル市場を制する流れはない
「1. 流れが変わりつつある」という項で、6ヶ月前は馬鹿げた話だった Androidによるモバイル市場支配が、今は変わってきたと書いてあります。しかし、だからといって、Androidがモバイル市場を制するような流れはどこにもありません。
2. 代替選択肢では市場を制することはできない。
「2. キャリアの疑念も晴れた」という項で、Androidは、iPhone OSの最も有力な代替選択肢になったと書かれていますが、iPhoneもどきや代替選択肢では市場を制することはできません。
3. 消費者はiPhoneを受け入れている
「3. 消費者はAndroidを受け入れつつある」という項で、Androidの売上が伸びていると書かれています。しかし「人気急上昇中の新人歌手」がいたからといって実績を積んだ大御所の地位が揺らぐことがないように、売り出したばかりの製品が市場を制する理由にはなりません。
4. GoogleはiPhoneのバックにも付いている
「4. Googleがバックに付いている」という項で、GoogleがAndroidを支えている頭脳であると書いてあります。しかし、GoogleはAndroidだけを支えている訳ではなく、ガラケーも含むインターネット全体に貢献しているので、Androidが市場を制する理由にはなりません。もちろん、Googleのスマートフォン向け機能(Google Maps/YouTube/Search/etc...)をAndroidのみに独占的に提供するのであれば全く話は変わってくるでしょう。しかし、その場合はGoogle自身が大変な事になりそうな気がします。
5. その地域をカバーできるキャリアが1社あれば十分
「5. 数の力」という項で、キャリアの数が多いAndroidが有利と書かれています。しかし、iPhoneやAndroidにとってキャリアは情報を流すための土管にすぎないので、キャリアの数を増やしたからといって市場を制することはできません。
6. 豊富なアプリケーション
「6.アプリも増えている」という項で書かれている通り、「GoogleのAndroid Marketが、アプリの数でAppleのApp Storeに追いつくのにどのくらいかかるか(追いつくのであれば、だが)は分からない。」という状況です。「アプリも増えている」だけでは、Androidが市場を制する理由にはなりません。
7. Androidへの熱狂は収まる
「7.iPhoneへの熱狂は収まる」という項で、毎年リリースしてきたiPhoneの新バージョンは最初ほどの興奮はないと書かれています。確かにその通りなのですが、それは最初にiPhoneが発表された時の状況が異常だったからです。
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Androidは発売されて間もないので今は注目されています。だから「熱狂」について心配する必要があるのはAndroidの方でしょう。少なくともAndroid発表時にはiphoneほどの驚きは感じなかったので、そういった製品が市場を制することができるとは思えません。
8. 製品を選ぶのはユーザー
「8. 業界がAppleに反発」という項で、Appleが優位になることをモバイル業界は望んでいないと書かれています。しかし、業界が望む望まないに関わらず製品を選ぶのはユーザーです。業界にできることは、より魅力的な製品を提供することだけです。いくら業界が反発しても、Appleが優れた製品を出し続ける限りAppleの優位が変わることはありません。
9. 少数精鋭
「9. 端末ベンダーの支持も増える」という項で、ベンダー各社がAndroidを支持していると書かれています。しかし、数が多くても烏合の衆では意味がありません。単に数が多いだけでは、Androidが市場を制する理由にはなりません。
10. Appleにこそプランがある
「10. Googleにはプランがある」という項では、Googleにはモバイル市場支配計画があると書かれていますが、今の状況から考えるとAppleによるiPhoneの発表はその計画に含まれていないように見えます。逆にAppleはiTunesをリリースした2001年から着実に計画を実行しているように見えます。iTunes(2001年) → iPod(2001年) → iTunes Music Store(2003年) → iPhone(2007年) → iPad(2010年)。さらにAppleの計画は現在進行形で進んでいるでしょう。もしGoogleにAndroidがモバイル市場を制する計画があるのなら、ぜひとも聞いてみたいものです。