レアジョブをやめた理由

先日の英語のエントリでレアジョブについて書いたところ、レアジョブを運営されている方から質問をいただきました。
このエントリを書いたときに説明不足だとは思っていたのですがエントリが長くなっていたので詳しくは書きませんでしたが、今回、まとめて書きたいと思います。

レアジョブではレアジョブの無料テキストを使っていたのですが、今、考えるとこのテキストに無理があったように思います。

  • いただいた質問

フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記
三日坊主でも10カ月は英語学習を続けられる2つのコツ - うつせみ日記 (Utsusemi Nikki)

もしよろしければ、今後のために、次の点をお教えいただけませんでしょうか。
・どのように無理があったのか、
・Side by Sideとどう違うのか


まず、レアジョブを申し込んだのは英語を学習することが目的でした。この時、学校英語やTOEIC対策の延長線上では英語を学べないと思っていましたが、どうすれば良いのかは分らず、とにかくやってみるという感じでした。そのため、始め方もレアジョブのウェブに書いてある通りにしました。テキストはもっとも簡単そうな「初級者用 文法教材」を選びまいた。

初めてのレッスンは、とても緊張しますよね。「何を話せばいいのだろう?」とお悩みではないでしょうか。

レアジョブでは、自己紹介用教材をご用意しています。日本語訳が書いてあるので、初級者でもわかりやすく進めることができます。

レアジョブのテキストについて

最初の頃は今まで経験のない英語を使った会話に無我夢中でしたが、数週間もすると何となく慣れてきて毎日のレッスンが楽しくなってきました。しかし2ヶ月もすると学習効果に疑不安を感じてきました。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)は中学校レベルの簡単な英文を機械的に作れるようになるためのトレーニングブックです。トレーニングでは、意味や文構造を理解できる英文の英作・音読を何度も繰り返します。なぜ繰り返すかというと、そうしないと学んだ知識を使えないからです。レアジョブのテキストは繰り返しをあまり重視していないため、ザルで水を汲んでいるような感じがしていました。自分で予習・復習することも可能でしょうが、学習時間も限られているので、そうするくらいならレアジョブではなく瞬間英作文での独習の方が効率的なように思います。

また、学習の進め方も分かりづらいように思いました。テキストの構成が日本の学校と同じような感覚で章立てされているように感じます。初級用の文法教材を選んだのだから当たり前なのかも知れません。でも、目的は英語を学ぶことであって、英文法を学ぶことではありません。英語学習サービスに期待したいことは、その学習者にとって最適な学習方法を提案してくれることです。そしてその学習方法を行うための道具と手段を提供してくれることです。瞬間英作文や同じ著者のみるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング(CD BOOK)では、「日本人が英語を独習するためにもっとも効率的な学習法は何か」という考え方で本が書かれています。しかし、レアジョブのテキストは「基本文法を練習するための教材」というメッセージしか伝わってきませんでした。

追記です(2010/12/26)。この前、アメリカ人の英語の先生にこのテキストの感想を聞いてみたところ、"boring"と言っていました。自分も同感です。もうひとつ言っていたのは、日本語訳があることでした。英語で考えることを学習するのに日本語があると邪魔になるからです。日本の学校教育も同じです。英語を日本語で理解しようとするために英語で考えることができません。アメリカの大学(すべてがどうかは分かりません)の外国語教科では1年目は英語を使いますが、2年目以降は英語の使用は禁止だそうです。

「Side by Side」について

Side by Sideという教材にも文法の説明はありますが、文法に合った適切なシチュエーションが組み合わされています。たとえば、"Present Continuous Tense"(現在進行形)の章では、「人々の動作」がテーマになっており、例文と練習問題は全てそれぞれのシチュエーションを前提に文を組み立てるようになっています。また、例文と練習問題やショートストーリーにはすべて簡単なマンガがセットになっており、日本語訳なしで意味が理解できるように作られています。文法とシチュエーションの組み合わせで感心した例では、"going to"(未来形)と占い師の組み合わせでした。学校英語では時制として、"going to"と"Will"をセットで教えられた気がしますが、この教材ではまったく違う観点で説明されています。そういえば、学校英語で何度も目にした5文型はSide by Sideではまったく説明がありません。たぶん、英語を学ぶ上で必要のない知識なのだと思います。

レアジョブで「Side by Side」を使うことについて

レアジョブでもSide by Sideを使うことができるのですが、レアジョブで英語を学習していた当時、Side by Sideについて何も知りませんでした。そのため、以下に書くことは推測になります。
Side by Sideはマンガが豊富に使われているため、日本語がなくてもシチュエーションから理解できると書きましたが、「先生」の教材として使われることを前提とした作りになっています。レアジョブでSide by Sideを使うことを考えた場合に不安に感じることは、先生(Tutor)の教えることについてのスキルです。以下のエントリによるとSide by Sideは有名ですが、ネイティブの教師の人気は低いそうです。

率直に言います。鬼のKABU教務部長曰く、『Side by Side』を選びたくないと言う英語のネーティブスピーカーの講師はレヴェルの低い講師であるか、頭が硬く融通の利きにくい講師であるか、怠け者の講師である、と。

つまり、彼等は『Side by Side』を使いこなすための素養、英文法の知識;英語の母語話者ではない外国人に英文法を説明する知識とスキル;生徒に繰り返し反復練習をさせながらもクラスの活気を維持するクラスマネージメントスキルと豊富な話題の蓄積;テキストが提供する反復練習以外にも自分で課題やマテリアルを準備する勤勉さと意欲の中の少なくとも一つを欠いてると私は思います。

レアジョブの先生はフィリピン大学の生徒または卒業生です。大学の授業はすべて英語だそうですし、幼稚園から英語を学んでいるという方もいましたので英語の能力について不安はありません。しかし、英語教師としては素人だと思います。私は日本語のネイティブですが、だからといって外国人にうまく日本語を教えることはできません。


今は別のサービスを利用してSide by Sideを使ってアメリカ人から英語を教わっていますが、その先生に出会えたことが幸運だったと思っています。彼はアメリカにいた時からスカイプで英語を教えてきたそうで、今は学生含めて日本人に英語を教えているそうです。そういった多くの経験からか、教え方にもメリハリがあります。他のネイティブに教わったこともありますが、誰にでもできることではないと思います。