任天堂の岩田社長とアップルのジョブズCEOがほとんど同じことを言っていた件

ちょっと昔の記事を読み返していたら、任天堂の岩田社長とアップルのジョブズCEOが、まったく違う業種でありながらほとんど同じことを言っていたことに気づきました。

まず任天堂からです。2009年10月30日(金)経営方針説明会でのQ&Aで「業績の落ち込みというのは一時的な要素が強いのか、はたまたメガヒットソフトを出すことによってもう一度成長軌道に戻せるとお考えなのか」という質問に次のように答えています。

あらゆるところに先手を打つほど任天堂にリソースはあるのかと思うわけです。任天堂は自分の得意なことに集中してやっていませんと、人数の多い会社ではありませんので、あっちもこっちも、こういうことがはやりそうだからここに手を打ち、あそこでこれからはこうだ、という人がいたからそのための準備をし、なんてことをやっていると、あっという間にパワーが分散してしまいます。むしろ、「そんなことうまくいくの」と人が思うかもしれないことに、実はひそかに、しっかりとエネルギーをかけて、気がついたらそれが化けていたという状況を作るのが私の仕事です。

3年以上かけてゆっくり、じっくりと開発したら全部「トモダチコレクション」のようになるかというと、ならないわけで、その目利きをするのが私や宮本のすごく重要な仕事で、その目利きの打率が今のところある程度良いので、今の任天堂の結果があるんだと思っています。

私なりに要約すると、任天堂にはあらゆるところに先手を打つほどリソースはないので、自分たちが得意なことに集中して「トモダチコレクション」のようなヒット商品を開発していく、となると思います。


一方、アップルのジョブズCEOはiOSFlash対応についての質問に次のように答えています。

アップルはほかの企業のようにリソースがあるわけではない。未来がある技術を選んで採用する必要がある。技術は移り変わるもので、最盛期を過ぎれば墓場行きだ。賢く選ぶことで、膨大な労力を節約できる。

ひとつの製品には良い点も悪い点もある。もしわれわれの判断が間違っていると市場が教えるなら、それは改善する。ただ素晴らしい製品を作ろうとしているだけだ。(......) うまくゆけば売れる、そうでなければ売れない。そしていわせてもらえば、 iPadは大人気のようだ (会場湧く、拍手)。

こちらも同様に要約すると、アップルには何でもできるほどのリソースは限られているので未来のある技術を選び、iPadのように売れる良い製品を作っていく、となります。


二画面タッチスクリーンのDSや体感ゲームWiiをヒットさせた任天堂。そして、スマートフォンという市場をiPhoneで作り出したアップル(ブラックベリースマホ?)。両者に共通しているのは、自社のリソースと得意分野を正しく理解し、アイデアや技術に対する目利きが優れていることのように見えます。その目利きが間違っていた場合には大きなしっぺ返しが待っていますが、両者ともそれに耐えられるだけの資産を持っています。