自殺者数が増えているというのは本当らしいのだが。。。


kechackさんの「なぜ人々は「少年による凶悪犯罪が増えている」という間違った情報を鵜呑みにしているのか? 」というエントリを見て、少年による凶悪犯罪は増えていると鵜呑みにしていた私は少なからずショックを受けてしまった。

文中に

結論から言うと、日本における少年による凶悪犯罪は戦後劇的に減少している。これは事実なのでこれ以上説明しない。疑問がある人は自分で調べて欲しい。

と書いてあったので一応調べてみたが疑う余地はないようだ。
話でしか聞いたことはないが、昔の日本は貧しかったため社会全体が荒れていたんではないかと思う。

ただ、なんとなく面白くなかったので同じ様なことをしてみようと考えた。
予定タイトルは「なぜ人々は「自殺者が増えている」という間違った情報を鵜呑みにしているのか?」。ネタ元は先週12月18日のNHKスペシャル「自殺を減らしたい〜救命救急センター精神科医の模索〜」。

上記NHKスペシャルのナレーターが話していた以下の2つの項目を検証すると同時に日本の自殺者数の推移を調べて、「実際には自殺者は増えていなかった」という証明を試みる。

・自殺者は7年連続年間3万人を超えました。
・人工あたりの自殺者数は秋田、青森、岩手の順番に多い。


Googleで何度か検索すると以下のサイトが見つかった。
1.社会実情データ図録
 職業別自殺者数(及び警察庁データと人口動態統計データとの比較)
2.ティーペック株式会社
 自殺者数の年度推移

この2.のグラフから7年連続で3万人を超えているのが分かってしまう。

また、厚生労働省のHP 自殺死亡統計の概況によると

都道府県  人数   死亡率(人口10万人対)
全国   32,109     25.5
青森     576     39.5
岩手    527     37.8
秋田    519      44.6 (最大)
東京    2743     22.3
徳島    165     20.3 (最小)

死亡率順では、確かに秋田、青森、岩手になる。
それにしても、なぜ、東北地方に集中しているんだろう。
何となく自殺者は都市部に集中していると思いこんでいたんだけど、実際には東京は全国平均より低い。秋田の死亡率は東京の2倍もある。NHKの番組では自殺の要因として鬱病の影響が大きいと言っていたが、地域によって鬱病になりやすい傾向があるのだろうか。


やはり、NHKの言っていることに間違いはないし自殺者が増えているというのも本当らしい。


私の目論見はあっという間に崩れてしまう。。。
なお、上記1.と2.の資料には1978年以前のデータが書かれていなかったので確認してみた。
厚生労働省のHP 自殺死亡統計の概況 2.自殺死亡の年次推移に以下のグラフが掲載されている。
[図1 自殺死亡数の年次推移]

1889年、今から116年前からの統計データを見ても全体として増え続けているのが分かる。しかし、軍国主義である大日本帝国が定着した1936年頃から自殺者数が減少しているのが皮肉だ。
また、景気と連動しているのかどうかもよく分からない。
バブル景気は1985年〜1991年の期間だがその期間中も自殺者数は減っておらず高止まりしている。

このデータによると確かに自殺者は増減を繰り返しながら増え続けているが、割合としてはどうだろうか?自殺者が5倍に増えたとしても全体の人口も5倍に増えていたら、割合としては増減はなく一定となるハズ。
同じく厚生労働省のHP 自殺死亡統計の概況 2.自殺死亡の年次推移の「図2 総死亡率及び自殺死亡率の年次推移」を見ると全体としては増加傾向は見られなかった。(ただ、1990年以降は増え続けているとは言えそうだが。)
[図2 総死亡率及び自殺死亡率の年次推移]


<備考>
今回、厚生労働省の資料の豊富さとその大量のデータをネットで公開していたことに驚いた。テレビのニュースで話題となっていた出生率の減少も一目瞭然だし、他にもいろいろなことが分かりそうだ。
厚生労働省統計表データベースの「厚生労働省統計表データベースシステム」を参照