真実の中に偽りを、偽りの中に真実を

デジモノに埋もれる日々さんのブログでは1〜10点(へぇ)まで点数を付けられるようになっていてその合計が表示されているが、昨日の記事「「大衆は無知であれ!」 - メディアが作り上げる知の格差とマッチ・ポンプ」が1128点(へぇ)になっている。さらにまだまだ増えそうな気配だ。今まで見た中でも一番点数が多いような気がする。

内容は、以前は情報のソースが限られていたために我々はマスメディアの流す情報を鵜呑みにするしかなかったが、ネットの発達により個々人が複数の情報ソースを入手できるようになったことから、マスメディアの情報を吟味できるようになったというものです。
(他にもいろいろ示唆に富んだ内容でしたが、うまくまとめられませんでした。)

これを読んで、マスメディアの流す情報の危険性を示唆していた本を思い出しました。

魔道書ネクロノミコン
ジョージ ヘイ George Hay コリン ウィルソン Colin Wilson
学習研究社 (2000/09)
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おすすめ度の平均: 5
5 ラブクラフト神話の根本

P.12 第二版への編者序言 ジョージ・ヘイ

マスメディアが伝えるものをそのままに受け取ればいいのか。あるいはそうしたものの彼方に目を向け、誰が情報を選択しているのか、その動機は何かと、問いかけてはいけないのだろうか。
 いまでもはっきりとおぼえているが、あるテレビのプロディーサーのフラットを訪れ、とりとめもなくあれこれ話し合っていたとき、まったくだしぬけに、プロデューサーがこんなことを言った。「おい、きみ、きみは自分が大皿のスープになっている一粒の豆にすぎないと思ったことはないか」わたしがきっぱりと否定すると、プロデューサーは驚いたようだった。

これが書かれたのは1992年3月6日。
テレビ関係者がいかに傲慢になっていたかがよく分かると思う。
(いまでも、そうなんだと思うが。)
テレビ放送によって、人々をスープの豆の様にいかにでも味付けして料理できると思っていたのである。

この序文の中には、こうも書かれている。

ずいぶんまえにいわれたことだが、サイエンス・フィクションは要するに事前警告システムなのだという。

たぶん、少なくない人たちはSFを意味のない価値の低い本だと思っているかもしれない。しかし、SFは未来を予測することを助け、将来あるかもしれない危険を避けるのに役に立つかもしれない。たとえば、9.11の事件と同じ内容のSFが書かれていたと聞いたことがある。もしかしたら、この本は事件を防止するのに役立ったかもしれない。
また、SFでは「いかに真実の中に虚構を、もしくは虚構の中に真実をまぜるか」ということが重要になる。あまりに荒唐無稽な内容だと現実味が無くなり興味がなくなるし、現実に縛られると話が面白くなくなる。同じ様なことは、”手品”とか”詐欺”とかにも当てはまるかもしれない。そして、マスメディアの流す情報についても。

SFファンはそういった意味で、経験を積んでいる分だけ、真実と虚構を見分ける目が優れているかもしれない。少なくとも、一人はマスメディアの情報を疑っていた人間がいて著書で警鐘を鳴らしていた。ただ、残念なことにイラク戦争では人々はマスメディアの洗脳から逃れられなかった。それでも、デジモノに埋もれる日々さんのブログを見る限り、今後は、マスメディアによる支配は崩れていくように思える。


※補足
「魔道書ネクロノミコン」は、一時、クトゥルー神話に興味を持ったときにまとめて買った本の一冊です。内容はクトゥルー神話を裏付ける資料が満載の貴重な?資料集なのですが、実際にはほとんど読んでいません。(論文のような内容ばかりで。。。)唯一、ためになったというか面白いと思ったのが、上記の「序言」でした。
なお、記事のタイトルの「真実の中に偽りを、偽りの中に真実を」は、同じく序言の中からの抜粋です。