人と獣を分かつもの

昔、人と猿(動物)の違いを考えたことがある。
2本足で歩く、道具を使う、言葉を話す、脳が大きい。
どれもその通りなのだが、はっきりしない。

Googleで検索してみると。。。
今週の一言 ナチュラリスト

人間には、「猿」と「人間」の違いが解るが、猿には「人間」と「猿」の違いは解らない。
そこが、「人間」と「動物」の違いである。それを、解るのが「人間」なのである。

どうも、抽象的すぎてはっきりしない。


八木山動物園(5)猿はシェークスピアを書かない

つまり猿はシェークスピアを書かないのです。
ダーウィンの進化論は部分的に的を
得たところがあっても
すぐそれが所詮人類は動物と一緒だ、という
ことにはならないのだと思います。
猿はシェークスピアを書かないし
猿はシェークスピアを読めないし
猿はシェークスピアを必要としていないのです。

こちらは、具体的すぎる。


人間とチンパンジーは異なる
Fazale R. Rana
Connections Vol. 3 (2001) No. 3, 1
松崎英高(箱崎キリスト福音教会牧師)、ティモシー・ボイル(つくばクリスチャンセンター宣教師、物理学学士号、神学博士)共訳

ドイツのグループは最近、人間の脳組織内の遺伝子表現[3]はチンパンジーやリーサスザル(訳注:北インド産の短尾種)のものとは著しく異なっているが、チンパンジーとリーサ スザルでは殆ど同一の遺伝子表現であることを確かめました[4]。それとは対照的に、チンパンジーとリーサスザルと人間において、肝臓と血液の遺伝子表現はかなりの類似性を示しま す。そのチームの主任科学者によると、"これら三つの組織の中で、遺伝子活性のパターンを加速する人間の脳は、本当に特別であるように見えます。[5]"

UCSDの科学者たちは、人間とチンパンジーとの間の脳の化学でのもう一つの重要な違いが確かに存在することを確認しました。組織細胞の表面上に見出さ れる糖が、両者では違うのです[6-10]。

科学的にはその通りなんだろうけど、難しすぎる。。。


こんな感じで、どうもはっきりしないでいたんだけど、今日、たまたま読んでいたブログに答えになりそうなものを見つけた。

内田樹の研究室 ゼミのみなさんへ業務連絡

あなたがこれから書くのは「未来のあなた」(つまりその卒論を書き終えた1年後のあなた)から「現在のあなた」への贈り物になるようなものでなければならないのです。
「未来の自分」から「現在の自分」への贈り物になるようなテクストを書くこと。
それが学術的知性のもっとも生成的な働きです。
知性の本質はそういうふうに時間を「フライング」することだからです。

これは、学術論文とレポートの違いを説明するために、学術論文のあるべき姿について書かれたものです。
この世代(時間)を跳躍(フライング)する知性こそが人と猿(動物)の決定的な違いではないかと気がつきました。一人の人間と一匹の猿を比べたとしても、今の人類全体と猿(種族)との決定的な差を説明することはできません。生物学的には、人も猿も他の動物も同列になるのだと思います。
数千年前、人も猿も生物学的には現在とほぼ同じと言えますが、人の場合、その有り様は全く異なっています。この差がどこから来るかというと、"言葉"、"文字"、"文化"などによって世代を超えて蓄積されてきた知性によるものです。


図説 金枝篇
図説 金枝篇
posted with amazlet on 06.01.19
サー・ジェームズ・ジョージ フレーザー サビーヌ マコーマック Sir James George Frazer Sabine MacCormack 内田 昭一郎 吉岡 晶子
東京書籍 (1994/11)
売り上げランキング: 23,854
おすすめ度の平均: 5
5 歴史学者も読んで欲しい
5 こんなに読みやすくなるんだ。

金枝編 P.154 第二部 第四章 未開人への感謝

未開人やその生き方にたいする見方が、軽蔑と嘲りか憎悪と指弾だけということが余りにも多い。だが、われわれが感謝の気持ちをもって後世に伝えるべき恩人たちの多くは、いや、おそらくその大部分が未開人だったのである。なぜなら、結局のところ、未開人とわれわれは相違点よりもはるかに類似点のほうが多いからだ。そして、彼らの知識をわれわれも持ち、真実で有益なものとして大切にできるのも、未開の先祖たちのおかげだからだ。われわれがややもすれば独創的で直感的だとみなしがちな、いかにも基本的にみえるものの考え方を、彼らが体験によってゆっくりと身につけ、継承し、伝えてきてくれたのである。われわれは財産の相続人のようなものだ。

いわゆる「未開人」と呼ばれる人たちの風習や文化を収集した本として有名な金枝編からの抜粋です。私たち現代人があたりまえと思っている考え方や生き方のほとんどは現代以前にあった未開社会で形成されたものだとし、そのかけがえのない財産を残してくれた未開人に感謝をしています。
この、人類が生まれから数十万年の月日をかけて育んできたかけがえのない財産−知性−こそが、人間を人間たらしめているものだと思うのです。


□補足
 人間以外にこのような知性を持つ動物は存在しませんが、動物以外でなら存在する可能性があります。

人間(出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)の「備考・ホモサピエンス以外」にその候補として
 ・宇宙人
 ・ロボット(コンピュータ)
が書かれています。