Googleの未来は世界銀行か、それとも世界政府か

リアルにまた一歩近づくグーグル - CNET Japan

コンピュータは人間には到底不可能な複雑な処理が可能だが、極論すればその内部でやっていることは決められたルールに従ってデータを移動しているだけ。あるレジスタのデータを読んで、別のレジスタに書いているだけ。ただ、その単純な仕組みに乗っかっているOSというプラットフォームを独占することで世界最大の企業になったのがMicrosoft。他のコンピュータメーカーは只のおもちゃだと思って侮っていたWindowsが、気づいた時にはコンピュータ市場を席巻するのを指をくわえてみているしかなかった。

翻って我々の社会を見てみると非常に複雑に思える社会も実は、モノやサービスとお金が移動しているにすぎないとも言える。リアル社会のプラットフォームは何かと考えると金融経済システムであり、お金とそれに付随する情報の多くが銀行に集まっているように見える。銀行は何も生み出さないにも関わらず、モノとサービスの仲介業者として利益を得ている。

しあわせのくつ - インターネットビジネスが儲からない理由

つまり、お金によって、直接対面している人以外とも取引ができる様になったし、取引物を取引の場に必ず持ってくる必要もないし、取引の時間や場所が一致している必要もなくなった。お金のおかげだ。こういう制約を解消することこそ、お金の役割だ。

ところが、Webは、お金がなくてもこういう制限が解消されてしまっているのだ。

取引する人を探したり出会うのも簡単(検索エンジンSNS、オークション)。物やサービスや情報のやり取りも簡単。もちろん時間や場所にも縛られない。

取引の時間と場所の制約を解消するのがお金の役割だが、Webはお金が無くても時間と場所の制約されないために、Webビジネスは儲からないという内容だが、次のように考えることができる。

  • リアルでは、サービスやモノ、お金はあるが、最適な取引相手がみつからない。(もしくは、取引相手を見つけるのに時間とコストが必要。)
  • ネットの世界では、無料か低コストで最適な取引相手を見つけられるが、サービスやモノ、お金はリアルと比べると乏しい。

それじゃあ、両者の足りないところを補い合ってみるというのは自然な発想だと思う。ネットで最適な取引相手を見つけて決済するのが、取引コストも低く最も最適な取引方法と言える。

一般に製品の原価は売価よりかなり低い。「人力検索はてな - 色々なものの原価を教えてください。」は原材料費と原価の区別が無いように見えるのでそのまま信じることはできないが、いくら薄利多売とは言え100円〜200円のお菓子のCMで女優を何人も使ったりすることができるのだから原価が大きいとは思えない。この最終的に売価に転嫁されて回収されるCMのような販促費用をネットに置き換えることできれば、製品価格を大きくを下げられるかもしれない。まあ、ただ、お菓子のような製品の広告をネットに置き換えられるかどうかは分からないが。それでも、広告費をネットに置き換えることのできる製品は少なくないはずだ。

ネット検索の意味は、人と情報、人とモノ、人とサービスの最適マッチングだ。Googleは検索市場でトップを走っており競争ルールを自ら作っているとも言える。Googleは一つのプラットフォームとも言える。MicrosoftはOSプラットフォームを独占することで世界最大の企業となったが、Googleがネットのプラットフォームを独占した時、Googleはいったい何になるのか。MicrosoftはOfficeによってドキュメントファイルのデファクトを作ったが、Googleは何を作ることができのか。
Googleは最適マッチング機能を持ち、更に決済機能を追加しようとしている。それは、つまりお金の持つほとんどの役割を握るということになる。決済はたぶんクレジットだろうが、クレジット会社や銀行を経由することで手数料をとられるのだろうけど、そのことに価値があるとは思えない。もしかしたら、Googleが直接金融業を行う可能性もあると思う。
そもそもGoogleは「世界政府っていうものが仮にあるとして、そこで開発しなければならないはずのシステムは全部われわれが作ろう」と言っているので、これはすなわち自分たちが世界政府になるという宣言ではないだろうか。世界政府に必要なシステムを全部作ったらそれは世界政府そのものでしょう。そしてその必要なシステムには当然通貨も含まれていると思う。実態はWebMoneySuicaポイントみたいなものかもしれないが、Googleがやると世界規模になるので一国の通貨以上の影響力を持つのかも知れない。