歴史の意味

国際派日本人養成講座

最近、このサイトを見つけて、興味のあるところを片っ端から読んでいる。

JOG(007) Indetity地球史探訪: 国際派日本人に問われるIdentity

■3.日露戦争の世界史的意義■

 日露戦争の真実は、ロシアの南下をくい止めて、当時の帝国主義
時代に、日本が国家の安全と独立を保った、という点にあるが、そ
ればかりではない。当時の国際社会で、この日露戦争がどのように
受け止められたか、を以下に見てみよう。

・中国の国父孫文
どうしてもアジアは、ヨーロッパに抵抗できず、ヨーロッパ
の圧迫からぬけだすことができず、永久にヨーロッパの奴隷に
ならなければならないと考えたのです。(中略)ところが、日
本人がロシア人に勝ったのです。ヨーロッパに対してアジア民
族が勝利したのは最近数百年の間にこれがはじめてでした。こ
の戦争の影響がすぐ全アジアにつたわりますとアジアの全民族
は、大きな驚きと喜びを感じ、とても大きな希望を抱いたので
あります。[4]

・インド・初代首相ジャワハルラル・ネルー
 日本の戦捷(せんしょう)は私の熱狂を沸き立たせ、新しい
ニュースを見るため毎日、新聞を待ち焦がれた。(中略)五月の
末に近い頃、私たちはロンドンに着いた。途中、ドーヴァーか
らの汽車の中で対馬沖で日本の大勝利の記事を読み耽りながら、
私はとても上機嫌であった。[5]

フィンランド大統領パーシキピ
 私の学生時代、日本がロシアの艦隊を攻撃したという最初の
ニュースが到着した時、友人が私の部屋に飛ぴ込んできた。彼
はすばらしいニュースを持ってきたのだ。彼は身ぶり手ぶりを
もってロシア艦隊がどのように攻撃されたかを熱狂的に話して
聞かせた。フィンランド国民は満足し、また胸をときめかして、
戦のなりゆきを追い、そして多くのことを期待した。[6]

・トルコ
 昭和四十四年に、山口康助氏(現・帝京大学教授)がトルコの
古都ブルサに泊った時、ある古老が片言の日本語を混えて、
「ジャポン! ニチロ、アラガート(日本の人たちよ! 日露戦
争に勝ってくれて有難う)」と、呼びかけてきました。続いて
古老は、日本が日露戦争に勝った時、トルコ人は狂喜して、息
子や孫に「トーゴー」「ノギ」の名前をつけ、イスタンブール
の街には、「東郷通り」「乃木通り」ができた事など、語った
そうであります。[7]

ポーランド
 大戦後、私(加瀬俊一氏)がヨーロッパの大使をしていた時
に、東ヨーロッパの状態を見たいと思い、ポーランドを自動車
で視察したことがあります。(中略)

 それで、道を尋ねるためにある教会に立ち寄ったんです。年
輩の上品な神父が出て来てね、日本人だと言うと、「ああ、い
らっしゃい。日本の車があちこち走っているって聞いてまし
た」、そういって喜んでお茶を出してくれたんです。そうした
ら傍らに、小さい男の子が来てね。それで私は、「君の名前は
なんていうの」って聞くと、「ノギ」って言うの。「えっ。ノ
ギ?」。すると神父さんが言うんです。「ノギ」というのは乃
木大将のノギですよ。ノギとかトーゴーとかこの辺はたくさん
いましてね。ノギ集まれ、トーゴー集まれっていったらこの教
会からはみだしますよ。」「トーゴー」はもちろん東郷平八郎
に因んでのことです。

 ポーランドはロシアの悪政に反抗して、独立闘争に多くの血
を流した歴史をもっているんです。そのロシアを打ち倒した英
雄に因んで名前をつけるわけです。なるほどと思いました。
[8]

アメリカの黒人
 日露戦争当時、黒人新聞各紙は、西洋帝国主義の重圧に苦し
む日本人を「アジアの黒人」と呼び、白人に挑む東郷艦隊を声
援したり、一部の黒人社会では驚くことに、日本ブームが起き
て、日本の茶器や着物も流行。さらには、黒人野球チームの中
から、「ジャップ」(当時、この言葉は日系人に対する侮蔑語
ではなかった)を自称するチームも出ていたという。[9]

 日露戦争は非白人が本格的な近代戦で白人をうち負かし、世界中
の抑圧されていた人々の希望に火を灯した。20世紀は、世界の諸
民族が自由と独立を勝ち取った世紀として、世界史に記述される。
日露戦争での日本の勝利は、まさにその夜明けを告げる鶏鳴であっ
たのである。

大航海時代〜植民地時代は、白人が有色人種を侵略する時代だった。多くの民族は土地だけでなく民族にとってかけがえのない生活様式や文化、言語を失ってしまった。この時代、白人が有色人種より優秀なことは科学的に証明されており、「誰の目にも明らかな事実」だったので、白人が世界を支配することを当然だと思っていたのだろう。日本がロシアに勝つまでは。
高校で世界史を学んだがあれは「日本の」世界史だった。いつの日か地球史もしくは人類史と呼べるような歴史書が書かれたならば、日露戦争は必ず記載されるだろう。それほど、人類史上において大きな事件だった。

子供の頃から本は好きだったが、歴史の教科書は嫌いだった。何を言おうとしているか、さっぱり分からなかったからだ。分からないのは当然だった。ワザと隠していたのだから。
歴史の事件には必ず何らかの意図があり、全体としてストーリーを持っている。以前、何かの本で歴史(History)とは"His" + "Story"、つまり"神の物語"だと聞いたことがある。このストーリーを語らないように事象だけを並べると歴史の教科書になるのかもしれない。