放送業界視点で「メディア・ゲーム・ネットで進む非同期化」にコメントしてみる。

FIFTH EDITION: メディア・ゲーム・ネットで進む非同期化
いつでもどこでも番組を試聴できる環境がユーザーニーズに適っており、番組表は諸悪の根源との意見。全く同意見なのですが、放送業界視点で反論してみたいと思います。(私は放送業界と縁もゆかりもなく、単なるTV視聴者に過ぎませんが。)

映像に関しては、ユーザーが望むのは「大画面」「高画質」だった時代は随分昔に終わったわけです。

はっきし言って、もう十分綺麗で、これ以上綺麗な画像なんて差別化要因にならんのです。

「大画面」「高画質」化は誰が望んだのでしょう。放送業界としては既存のアナログ放送で満足?しており、巨額の出費が必要なデジタル放送化は放送機器メーカーのニーズなのかも知れません。

これがものすごい苦痛なわけです。同期型のメディアは、「見たい奴は俺達が作った予定(TV番)にあわせて行動しろ」といってるも同然なんですよ。いわば、殿様商売。

ユーザーは小倉さんのいうように、「見たい時に見たい映像をみたいだけ」なんです。これが一番のニーズなんです。

ユーザーが一番我慢できないのは、現在のところ、TV番組表なんですよ。ユーザーの自由を制限する、TV番こそ、諸悪の根源なんです。

誤解している人が多いと思うのですが、TVの視聴者はユーザーと言えるかも知れませんが、放送局にとってのお客様はスポンサー様です。だから顧客ニーズとか顧客満足度を考えるということは、スポンサー様のことを考えます。放送局が視聴率に敏感なのは、「番組の視聴率=CMの視聴率」と考えているからです。もしくはそれを前提でビジネスしている。
TV番組表は現在のビジネスの基本です。これを変えることなどあり得ません。もしいつでも好きな時間に番組が観られるようになれば、CM単価の高いタイムCMが流せなくなり全てスポットCMになってしまいますし、ゴールデンタイムにCMを流したいという顧客ニーズに応えることができなくなります。

で、最近、HDDレコーダーとか、youtubeだとか色々と放送業界が「やばいやばい」と大騒ぎしている技術があるわけですが、あのですね、いくら騒いだところで無駄なんです。

人気コンテンツの著作権を持っているのは放送局です。著作権者の許可無く違法にコンテンツが配信されるようなことがあれば、放送業界はあらゆる手段を駆使して戦うでしょう。何せ放送業界の存亡の危機なのですから。

歴史的にみて、インターフェースが非同期化すると、それ以前に比べて、ユーザー数がぐっと増えます。ですから、悪いことばかりじゃないんです。利便性がまして、多くの人に利用してもらえるようになる。

多くの人に利用して貰っても、スポンサー様に満足して貰えなければ、何の意味もありません。

ようするに、コピーワンスだとかサーバー型放送だとか、JASRACによるネットへの音楽配信規制攻勢だとか、もう勘弁してくれってこった。絶対もう無理だから。

非同期化に逆らうのは無理。絶対無理。

だから、波に乗る方法を考えてください。お願いします。

自分で自分の首を絞める方法を考える人は、いないでしょう。

そういう場所に「非同期」な、つまり時間や場所にこだわらないシステムを持ち込むと、ユーザーニーズにマッチして、莫大な富となることがあるとだけいっておきます。

携帯電話、携帯ゲーム、文庫本、携帯型音楽機器。

新しい市場が形成されても、自分達の売上に寄与しなければ、何の意味もありまえせん。例えば、「携帯型音楽機器」は従来のウォークマンを死語にし、ラジカセやコンポ市場にも少なからぬ影響を与えています。


以上、放送業界の方に変わって反論してみました。(引用は全て最初の記事。)
個人的には、以下の丸山さんの意見び賛成です。

丸山茂雄の音楽予報 - IT業界は挑戦を止めたのですか?

IT系が、 『新しいこと』 『新しいもの』 であるなら、古くからある 『放送番組』 に頼ることなく、自分達で、 『新しいこと』 『新しいもの』 を作った方が、いいのではないですか?

初期のTV放送では映画を放送することは出来なかったはずです。(初めて映画がTVで放送されたのはいつだったのでしょう?)だからこそ、TV局は試行錯誤で番組を制作していました。映画館でしか観ることの出来なかったコンテンツをより身近なお茶の間に持ってきたのがTVであるなら、「好きな時好きな場所で好きな番組を」を実現するのが「新しいメディア」の役割なのでしょう。