もしもWEB1.0の時代にオーマイニュースが創刊されていたら。

今から10年前の1996年はWEB1.0の時代でした。2ちゃんねるもブログもRSSソーシャルブックマークもなく、ブックマークと言えばブラウザの「お気に入り」に決まっていました。検索といえばYahoo!ディレクトリ型でした。ホームページが流行ったこともありましたが、多くの人のアクセスを集めるサイトは本当に極一握りでした。私もホームページを作ったこともありましたが、面倒なのでほとんど更新せずに放置状態になってしまいました。もし、このWEB1.0全盛の時代にオーマイニュースが創刊されたらどうなっていたでしょう。
ホームページを作っても誰も見てくれませんが、ニュースサイトに掲載されるなら話は違います。自分の書いた原稿を有名ニュースサイトに無料で掲載して貰えるのです。たぶん、多くの人が市民記者として登録し多くの記事を投稿したのではないかと思います。そもそも、この時代はインターネットで情報を発信することはできても、それを受け取ってくれる人をほとんど期待できなかったので、投稿記事を読んで貰えることが保証されたサイトは、画期的なメディアとして多くの支持を集めることができたはずです。人々は普通の人の生の声を聞けるオーマイニュースを見に行き、自分も投稿したのだと思います。はてブのホットエントリーの常連ブログも、もしかしたらオーマイニュースの人気記者になっていたかも知れません。

しかし、実際にオーマイニュースが創刊されたのはWEB2.0の時代でした。少なくともWEB1.0は終わっていました。「何かを表現したい人々」はすでに情報を発信する複数の手段と目的の記事を見つける手段の両方を手に入れています。明日、Googleで「WEB1.0 WEB2.0 オーマイニュース」でググればこのエントリーを見つけられると思います。そういう情報を発信し、受けるとることのできる人に対して、オーマイニュースは新たに何を提供してくれるのでしょう。WEB1.0の時代にアクセスの多かったサイトは何らかの「権威」があったように思います。インターネットで何かを見つけようと思ったら、雑誌などでサイトを探すしか無く、「権威」が大きい方が雑誌に掲載されやすかったはずです。WEB1.0の時代にはそれでアクセス数を増やせかも知れませんが、WEB2.0の時代には「権威」はほとんど役に立ちません。それにも関わらずオーマイニュースは「権威」をバックにサイト運営しようとしているように見えます。「オーマイニュースとブロガーのシンポジウム」では、それが良く表れていたと思います。オーマイニュース側とブロガー側には意識のずれというか世界観のずれがあるために、会話がかみ合っていないように感じました。オーマイニュースRSSやカウンター、検索機能がなかったり、アクセスランキングやコメント欄が使いにくかったりするのは、そういった意識のズレが原因にあるように思います。簡単に言うと、オーマイニュースWEB1.0時代のサイトとしか思えません。個々の機能云々ではなく、そういう世界観で作られているように思います。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

そう言うわけで、オーマイニュースのスタッフの方が上記の梅田望夫さんの著作を一読されることをお勧めします。