デジタル保存のコスト

9/9のワールドビジネスサテライト(WBS)で永遠に保存が可能と思われがちなデジタル保存にも思わぬ落とし穴があるという話をしていました。
今、8mmやVHS、ベータなどのテープ媒体からDVDに変換する有償サービスがあるそうです。番組では1972年の動画を紹介していましたが、ユーザーは再び見ることができたことは、もちろん、これを孫の代まで残せることが嬉しいと言っていました。別の例では、レコード会社が過去のレコード資産をデジタル化して資産の損失を防ごうとしている例も紹介していました。
これらは動画や音声の例ですが、文字情報(書籍)もデジタル化しようとしています。
国立国会図書館では、デジタル化のために今年度予算として約1憶6000万円を計上したそうです。デジタル化することで、遠隔地からも参照できるようにすることが一番の理由とのこと。これまでにデジタル化されたのはおよそ13万冊。デジタル化された例としては、浮雲二葉亭四迷)、当世書生気質坪内逍遙)、みだれ髪(与謝野晶子)、愛ちゃんの夢物語[不思議の国のアリス](ルイス・キャロル)、人肉質入裁判[ベニスの商人](シェイクスピア)などだそうです。
近代デジタルライブラリー | 国立国会図書館
上記のサイトからこれらの書籍を検索、参照できます。以前は専用ソフトが必要だったらしいのですが、今はブラウザで普通に見られます。すばらしい。
本題はここからなのですが、「デジタル情報というのは危うい。将来見られなくなるというおそれはある。」(電子情報企画室 植月献二室長)というコメントが出てきます。アジア歴史資料センターの牟田昌平さんのコメントとして、デジタルデータが10年後に使えるかどうかの保証がないが紹介されます。理由としてOS変更などでデータフォーマットが変わるためにそれに対応するためにコストと手間がかかるとのこと。で、世界中の公文書館はどうしたらデジタルデータを長期保存できるかの研究をしているそうです。


以下、いろいろ思ったこと。
テープやなんかは再生に専用の機器が必要なので、お手上げですが、フォーマットが古いだけなら仕様が分かっていればビューアを作れば良いだけじゃないかなとか思ったりします。個人的には、メモ書きは基本的にテキストフォーマットを使うようにして、Wordのような専用フォーマットは避けています。会社では当然のようにMS Officeですが、ああいう文書は10年後にはどうなっているか分からない気がします。
あと不安なのは、画像、音声、動画でしょうか。bmpやwaveのように単純なフォーマットは大丈夫でしょうが、mpegjpegも心配ないのでしょうか。ほとんど絶望的と思っているのが、「著作権管理機能付きデータ」です。iTunesがいつまでもある保証はありませんし、iTunesがなければデータを再生できません。iTMSで結構な数の曲を購入しているので、それが聞けなくなるとキツイかも。
ビデオレコーダーは東芝RDシリーズを使っているのですが、DVD-RAMに保存したのはダメでしょうね。デジタル放送の番組はDVD-RAMに録画すると他の機器や媒体に移動すらできなくなるので、媒体が壊れるかDVD-RAMの再生機器がなくなると死蔵データになってしまいます。たぶん、10年後にはDVD-RAMを再生可能な機器はなくなっているでしょうね。
結局、フリーのフォーマットで保存されていればデジタルデータは、ほとんど永遠に保存可能だと思います。
(それにしても、こういうことを考えると、「紙」という媒体の持つ情報保持能力の高さに改めて感心してしまいます。)