ホリエモンが逮捕されなかったとしたら

この話を聞いて織田信長の話を連想してしまった。
イエズス会宣教師フロイスの「日本史」によると、以下のようなことが書かれている。

  • 彼はわずかしか、またはほとんどまったく家臣の忠言に従わなかった。
  • 彼は日本のすべての王侯を軽蔑し、下僚に対するように肩の上から彼らに話をした。
  • 彼は良き理性と明晰な判断力を有し、神および仏のいっさいの礼拝、尊崇、ならびにあらゆる異教的占卜(せんぼく)や迷信的観衆の軽蔑者であった。
  • 彼は彼は自邸においてきわめて清潔であり、自己のあらゆることの指図に非常に良心的で、対談の際、遷延することや、だらだらした前置きを嫌い、ごく卑賤の者とも親しく話をした。
  • 彼が格別愛好したのは著名な茶の湯の器、良馬、刀剣、鷹狩りであり、目前で〔身分の〕高い者も低い者も裸体で相撲(ルタール)をとらせることをはなはだ好んだ。

Microsoftエンカルタ総合大百科2005)

織田信長が当時の日本人からは変人(大うつけ)とか非常識と見られていた逸話はいろいろある。ただ、現代人から見れば無神論者、合理主義者と言えるかも知れない。宣教師が献上した地球儀の説明をした際に「理にかなっている」と言ったらしいが、既存の常識に囚われない彼の行動や言動を考えると本当のような感じがする。さらに、彼は楽市・楽座の設定や関所の廃止、検地、刀狩など新しい政策を次々と実行した。

この500年前の改革者とホリエモンにはいくつかの共通点があるような気がする。ひとつは、常識に囚われない思考と行動。また、怖いもの知らずという点も共通点だろうし、無駄が嫌いで、また、無駄を生む温床となっている権威を軽んじるところも共通だと思う。そして二人とも時代も立場も違うが、その時代の無駄を改革しようとしていた点では共通だった。

織田信長は天下統一まであと一歩というところで、明智光秀の謀反によりこの世を去ることになる。(もし、この時、織田信長が殺されずに生き延びて、改革を続けていたらどうなったか、というのは多くの人が考えるらしく、夢幻の如く 巻之1 魔王復活編 (SHUEISHA JUMP REMIX)というマンガの本まである。)
ホリエモンも日本のインターネット社会を変革しようとしていたが、道半ばで逮捕されてしまう。

織田信長の改革は徳川家康が引き継ぐことになるが、ホリエモンがやろうとしていたことを引き継ぐ人が現れるかどうかは分からない。仮に引き継ぐ企業が海外の企業になったとしたら、多くのメディアはそれを批判するのだろうけど、彼らはそれが自分たちがまいた種だということは気づくことはないのだろう。