預言者ピッピ 第1巻

預言者ピッピ (1)

預言者ピッピ (1)

本屋に試し読み用の冊子があったので何気なく読んだら当たりだった。自分的には大当たり。
内容はハードSFと呼んで良いと思う。近未来の話(具体的な時代は書いてなかったが文化は現代と大差なし)だし、ロボットも出てくるが、物語の本質はそこではなく、いろいろ伏線を張りながら正体が見えてくる。哲学っぽい内容も含まれているが、だからといって、話が難しいわけでもない。話の持って行き方も面白く飽きない。
絵柄やSFっぽい内容から最初は、手塚治虫氏の作品かと思ったが、そうではなかった。作者の地下沢 中也氏は、以前はギャグマンガを描いていたらしい。絵は(他の漫画家と比べて)うまい方ではないだろう。
SF系のマンガだと、PLUTO (1) (ビッグコミックス)銃夢(GUNNM) 1 (ヤングジャンプコミックス)ルサンチマン 1 (ビッグコミックス)などが面白かったが、この預言者ピッピも同等以上に面白い。未来とかロボットが出てくればその作品はSFに分類されるのだろうが、自分の場合はそんなことはどうでも良いと思っている。要は、人の内面にどこまで迫れるか/表現できるかに興味がある。そう言う意味でSFではないが、この前観た映画「明日、君がいない」は大変面白かった。預言者ピッピも人の心を良く表現していると思う。
ロボットが登場するSFでは「人と機械の違いは何か?」という命題が良く取り上げられる。銃夢PLUTOもそうだしルサンチマンでもそれに近いテーマが語られていた。しかし、この預言者ピッピの場合、別の所に主眼があるらしい。
一つ心配なことがある。それは、第一話からこのコミック発売まで約8年かかっているらしいこと。(地下沢中也『預言者ピッピ 1』 | こどものもうそうblog)
コミック第二巻はできるだけ早く発行されることを、切に願う。