NHKスペシャル:脳を鍛えて人生再び〜福岡・高齢者たちの挑戦〜

この番組は2月25日に放送されたものですが、録画しておいたものを今日観ました。面白かったです。
福岡の老人ホームの老人達が介護士さん達の協力・支援に支えられながら計算や音読などの学習に取り組みながら生きる意欲を取り戻していくというストーリーです。脳を鍛えるで有名な川島隆太教授も登場し、脳科学の面から学習と老人達の変化の関係について解き明かしていきます。また、学種だけではなかなか成果の上がらない方もいますが、介護士さん達の「目を見て話す」「声かけ」「名前を覚えて貰う」など地道な取り組みとの組み合わせで徐々に変化が表れてくるというエピソードがありました。このエピソードからは理屈通りに物事が運ばない現場の苦労がかいま見えた気がします。
ただ、気になったこともありました。なぜ、福岡の老人ホームと東北大学の川島教授の組み合わせなのでしょうか。東北には川島教授に協力もしくは賛同してくれる老人ホームは無かったのでしょうか。
調べてみて分かったことは、15年前に番組で取り上げられた老人ホーム 永寿園の園長 山崎律美さんが「脳に刺激を与えなければ痴呆(認知症)は進む」という直感から「脳に刺激を与えて痴呆を遅らそう」という目標を持ったことがこの取り組みのきっかけだったそうです。それから10年後に川島教授と出会い、東北大学・公文・永寿園でプロジェクトを組み、「学習療法」の確立に繋がります。この辺りの話も番組で放送してくれても良かったと思うのですが。
詳しい経緯は永寿の郷(社会福祉法人道海永寿会)永寿会と学習療法に書かれていますし、公文のページでも関連書籍が紹介されています。学習療法については、川島教授が会長をされているhttp://www.gakushu-ryoho.jp/index.htmlがあるそうです。

「脳を鍛える」といえば、東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング東北大学未来科学技術共同研究センター 川島隆太教授監修 もっと脳を鍛える大人のDSトレーニングの2つを思い浮かべる人が多いと思いますが(私はそうでした)、ソフト発売以前にこういった地道な取り組みがあったことを全然知りませんでした。DSがここまで売れたのもDSの斬新なインタフェースだけでなく、ソフトに含まれている長年の研究の蓄積が大きいのかも知れません。

参考

痴呆に挑む―学習療法の基礎知識

痴呆に挑む―学習療法の基礎知識

学習療法の秘密―認知症に挑む

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