会社という名の人力車

ニンテンドーDS本体は2004年末に発売されてから2年半が経過しようとしているが、いまだに品不足が続いている。「売っているのを見かけた」という話を聞くがまだまだいつでも買える状態にはほど遠い。こういう話を周りにすると、「販売量を制限している」「任天堂が品不足を演出している」と特に根拠もなくこう言われることが多い。しかし、http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070427/ninten.htmの"本体普及台数の推移"を見る限り販売量を制限しているとは考えられないことから、単純に生産量が需要に追いついていないと考えるとのが普通だろう。
ではなぜ販売量を制限していると考える人がいるかといえば、現代のように大量生産な可能な社会で、2年以上も品不足になるような製品は考えられないからだと思う。
自由競争の社会では、何か画期的な新製品を開発/販売して人気が出て品不足になっても、ライバル社が同等/同等以上の製品を投入することで需給バランスがとられるため、何年も品不足なることはない。ニンテンドーDSでこうしたことが起こらないのは、この製品が提供しているのがプラットフォームのため、他社が参入しづらいからだと思う。
つまり、ニンテンドーDSは数年間も生産が需要に追い付かない程大人気の希有な製品であり、今後の新規参入も考えにくいと言うことになる。この、一見、何の不安もないように見えるニンテンドーDSだが、かさぶた。さんによると将来も、今の様に脳を鍛えるやえいご漬けの続編を出してもヒットは見込めないと警鐘を鳴らしている。

それでふと思ったのが、会社は人力車なんだということ。会社は人が働くことで売上を上げて利益を出すので、人の力で動かす人力車に例えられると思う。イメージとしては、明治時代の二人乗りのようなものではなく、車輪付きの山車(だし)を大勢で引いたり押したりするようなもの。
重い車を最初に動かすときは大きな力が必要だが、ある程度、勢いが付けばそんなに力を使わなくても車は進んでいく。大勢の人が押しているのであれば、何人かが押すのをサボっても周りは気づかないかも知れない。また、車に十分な勢いがあれば誰も押さなくても勝手に進んでいくかも知れない。また、道が直線であれば誰もハンドル(方向)を操作しなくても問題は起きないだろう。そうなると自分たちが車を押しているのか、逆に車に引きずられているのか分からなくなるのではないだろうか。バブル時の日本企業や、ネットワーク外部性という力に引っ張って貰っているマイクロソフトはそういう状態に近いような気がする。しかし、動力のない車がいつまでも走り続けるわけがないし直線の道が続くわけもない。
たぶん、今の任天堂も人が押さなくても走り続けることはできると思うが、やがて来る登り道に備えて手を打つ必要があるだろう。しかし、3億本のソフトを販売するというコメントを聞く限り、問題はないと思う。個人的には、ニンテンドーDS後継機やWii後継機の話を始めたら危ないと思っている。