らき☆すたは、オタクによるオタクのための番組

なんで今頃? という気がしなくもないのですが、最近ネット上で『らき☆すた』の面白さがわからないという記事がいくつもアップされ、話題になってます。

さあ? どこが面白いの? 『らき☆すた』論争(?)まとめ

自分の場合、ニコニコ動画のMADを最初に観て、ニコニコ動画の番組を見始めました。(この番組はテレビで観るよりニコニコ動画で見た方がずっと面白い。)
アニメに限らず娯楽番組は視聴者の共感をいかに得られるかというのが大きなポイントだと思います。一般的な勧善懲悪もの(水戸黄門でも仮面ライダーでもスーパーマンでもいいのですが)では視聴者が正義の味方の側に感情移入できますし、アニメやライトノベルにある戦闘美少女ものは、強い美少女(達)に「ごく普通の人間」である主人公がもてる(好かれる)内容になっています。(参照→404 Blog Not Found:書評 - 戦闘美少女の精神分析
らきすたはこういった理想的な非日常を描くのではなく、普通にいる女子高生の日常を描いているという点でカテゴリとしてはサザエさんクレヨンしんちゃんちびまる子ちゃんと同じになるのではと思います。こういう日常を描いたアニメはストーリーは単調でも扱っている内容が誰もが知っている日常のことなので視聴者のほとんどから共感を得ることができます。
ただ、らきすたサザエさんと明確に違うのは、オタク向けに特化しているため普通のオタクが持っている知識を前提にネタが作られていること。さらに1984年、今から23年前に発売されたティモテというシャンプーのCMがネタとして使われていることからかなり年齢が高めのオタクを想定している。(まあ、使われている全部のネタを知っている必要はないのだろうけど)

http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=234783

主人公?のこなたは、外見を除いてオタクを投影したようなキャラクターになっているので、視聴者は自分の経験と重ね合わせて、キャラクターの行動に共感しているんだと思います。自分の場合は、1年くらいFF11をやっていたのでMMOに関しては分かる部分はありました。ニコニコ動画経由で観ると分からない部分も「ヒント」が流れてくるので何となく分かることもあります。
らきすたがつまらないと言っている人は、出てくるネタを知らないか、MMOや他のアニメ、昔のCMのことをグダグダ話してるのを聞いても面白いと感じない人なのだと思います。たぶん、後者の人が多いのではないでしょうか。私はテレビのバラエティ番組が芸能界の内輪ネタばかりでウンザリしているので、つまらないと言っている人はこれと同じ様な感想をらきすたに持っているんだと思います。
たぶん、らきすたが新鮮だったのは、バラエティ番組で横行している内輪ネタをアニメで最初にやったからだと思います。他のアニメ番組で今後、同じ事をやったとしても、これほど人気は出ないでしょう。

備考

オタクの日常を描くという意味では、大学でオタクなサークルの日常を描いた「げんしけん」がありますが、こちらはらきすたと比べてリアリティがありすぎて、感情移入をしづらいのだと思います。らきすたは視聴者の代弁者を女子高生にすることで、ほぼ全ての主要な登場人物をヒロイン(女性)にすることに成功しています。上記で普通の女子高生の日常を描いていると書きましたが、こんなこと普通あるはずがないという意味で完全にフィクションだとも思います。