「ニンテンドーDSi」に対する一つの見方
任天堂カンファレンス2008秋でニンテンドーDSiが発表された。概要はこちらを参照。
他の記事も読んで疑問に思うのは、これは強化機なのか、それとも後継機なのかということ。普通はDSに対するDS Liteと同じように現行機の不満を改善した強化機と考えるだろう。PSPも何度か強化機を発売して売上を伸ばしている。今回のDSiも液晶画面を大きくし、厚さを薄くするなど改善点も多い。
ゲーム機にとって後継機とは何かをPS1→PS2を例に考えてみる。ゲーム機は、ゲーム機本体とは別に異なるソフトを別売りすることで、ユーザーはソフトを購入するだけでいろいろなゲームが遊べ、メーカーはソフト販売で利益を得ることを可能とするビジネスである。しかし、年月と共にゲーム機本体のスペックが陳腐化するとソフトがマンネリ化するので、いつかはより高スペックな次世代ゲーム機に買い換えて貰わなければならない。一般にゲーム機の主要スペックは性能と容量になる。例えば、PS1→PS2で言えば、CPU:33.8MHz→294MHz、媒体:CD-ROM→DVDに変わっている。
では、DS Liteにとっての後継機はどんなものになるだろうか。通常、後継機は高性能だがそれに対応したソフトの不足が課題になる。PS2の立ち上がり時は、PS1互換とDVD再生機能が普及に大きく貢献した。当然、DS Lite後継機もDS Liteのソフトが動かなければならないし、そうであれば2画面、タッチスクリーンというDS独特の仕様も引き継がなければならない。PSではソフトの容量を増やすために記憶媒体の変更が必要だったが、メモリタイプの記憶媒体を使っているDSはソフトの外観を変更せずにソフトの容量を増やせる(いくつまで増やせるかは不明)。また、DSiはDS Liteと比べて電池継続時間がかなり減っている。理由としてバッテリ容量が減った可能性と消費電力が増えた可能性の2通りが考えられるが、強化機/後継機いずれの場合にしても単純にバッテリ容量を減らしたとは考えにくい。消費電力が増えたとしたら、CPUに使っていると考えるのが自然ではないだろうか。これは発売されれば分解記事が掲載されるだろうから、そのうち確認できると思う。そして、DSiにはDSi専用のソフトである「ニンテンドーDSi専用ソフト」が対応するとスペック表に書かれている。DSiには従来のDSにはないカメラなどが付いているのでそれらと連携するソフトをDSi専用としていると考えることもできるが、DSiの高性能CPUを利用したソフトと考えることもできると思う。
そう言うわけで、DSiはDS Liteの後継機ではないかと私は思っている。DS対応の膨大なソフト資産をそのまま利用可能で、更にカメラや音楽、ダウンロード等の機能を追加した正式な後継機。ある程度、DSiが普及した時点で、従来のDSでは実行できなかったような3D表示やグラフィックのソフトを投入するんだと思う。
なぜ、強化機/後継機の違いにこだわるかというと従来、後継機の販売には大きなリスクあるものだったから。最近だとPS2→PS3への切り替わりの変化が大きかった。切り替えで失敗すると現行機で持っていたシェアを失ってしまうリスクがある。今回のDSiは強化機という皮を被って、いかにも自然な形でリスクなくDSのシェアを受け継ごうとしているように見える。これは、ゲーム機における世代交代の革新なのではないかと思う。
追記(2008/10/13)
今回のDSiではGBAスロットを廃止した。それに伴い、もう一つのCPUをARM7から性能向上を図った新しいCPUに入れ換えていると考えるのが順当だ。
http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000010102008&cp=2
推測記事だが、DSiのCPUが性能向上されている可能性が高いらしいという記事を見つけた。「今回、スペックの向上といったことを明快に話していないことからうかがえるように、任天堂は緩やかに切り替えることを狙っているようだ。」という部分には同意できる。(逆にこれ以外は同意できない。)
追記(2009/05/13)
IGNのNintendo Voice Chat podcastによると、ニンテンドーDSiのCPU性能はDSの2倍、メモリはDSの4倍あるそうです。
ニンテンドーDSiのCPU性能はDSの2倍、メモリは4倍
これにより、もしソフトをDSi専用タイトルにするならば、DS用のタイトルよりも高度なものが作れるそうです。
上記の記事によるとDSiではCPU性能はDSの2倍、メモリはDSの4倍だそうで、DSi専用であればより高スペックなソフトが作れるそうです。日本国内でDSiが発売された際、分解記事も掲載されましたがその時はDSとDSiのCPUの違いは確認できず、CPUの性能アップはないと言われていました。
CPU:ARM DS・DSLと見た目は同じに見える。ARM-9+ARM7か?
DSi分解レポート
中央演算装置。計算するところ。
(中略)
まとめ
CPUはそのままでメインメモリUP、保存領域を追加したDSみたいです。
CPUの見た目は変えないまま中身を変えたんでしょうか。それとも、外部からCPUクロックを変えられるようにしたのでしょうか。はたまた、CPU性能2倍という情報が間違っているのでしょうか。
追記(2009/06/28)
DSiの性能強化を活用したソフトが発表されました。
完全に2倍のリソースを確保できるってことは、DSiのCPUがDSLより2倍速いクロックだという話は本当だったんですね。
DSi専用モードも搭載、パワーアップした『KORG DS-10 PLUS』発売決定 | インサイド
コメント欄ではCPUのクロックが2倍になったと書き込まれていますが、DSでは何らかの理由でCPU性能が抑えられていたという可能性もあると思います。いずれにせよユーザーからすれば同じことですが。今後、DSiの機能を活用したソフトが発売されることを期待したいです。