「速度×時間=距離」だけでなく「時間=距離÷速度」まで分かった時の話

中学まで「速度」がよく分からなかった。時間は時計を見れば分かるし距離もメジャーで測ることができる。しかし速度は漠然としていて、いったい何を見れば分かるか分からなかった。

(余談ですが、日本の中3を家庭教師したとき、偏差値50を超してる子でも、速度×時間=距離っていうのがどうしてもわかんない子もいたなーとか思い出したり。時間=距離÷速度ってのももちろんわからないわけです。将来車を運転して遠くに行くとき、どうやってかかる時間を計るんだろう、とやきもきしましたが、それでも何とかなっちゃうんですねぇ。)

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なので、この中3の子の気持ちは分かる気がする。もともと分からない「速度」なのに、それで割り算すると言われても、まさに雲を掴むような話に思えたんではないだろうか。まあ、自分がそうだったんだけど。もちろん「公式」があれば計算はできるし、問題も解ける。でも、「速度」の実感が湧かなかった。

物理でようやく「速度」が分かった

高校の時、物理の参考書に書いてあった説明を読んで、ようやく速度、時間、距離の関係が分かった。
速度と時間、距離の関係は次のようになるという話だった。

ここで、xは時間、関数f(x)は速度、面積Sは距離。


簡単な例で説明すると次のようになる。
車で時速60kmで2時間走ると120km走行することになる。これを図にすると以下のようになる。

速度が一定の場合、その走った距離の求め方は長方形の面積と同じになる。だから、縦(速度)×横(時間)=面積(距離)になる。そして、距離(面積)を速度(縦)で割るということは、図を見れば明らかなように横、つまり時間が求められる。数式でも同じことは分かるんだけど、図を見るまで実感としてよく分からなかった。
そして、この図を見ることで、一般的に「速度」と言われているものが「単位時間に移動した距離」ということも実感として分かった気がした。例えば、同じ方向に向かって1秒間に1m移動した場合、10秒後には10m移動する。「速度×時間=距離」はこの当たり前のことを式にしただけ。

微分積分とかパソコン&GPSとか

数学は嫌いではなかったけど、こんなことして何の役に立つんだろうと時々思っていた。それが、冒頭の図の説明を見てかなり考え方が変わった。

実際の世の中には、同じ早さで移動し続けるものはないので、「速度×時間=距離」の式で計算できるようなものは少ないし、面白くない。例えば、車が発進する時に走った距離は速度が上がり続けるので次のようになるし、

車が止まる時に走った距離は速度が下がり続けるので次のようになる。

また、実際に走行中の場合はそれこそ速度は一定じゃないので、冒頭のグラフのようになるかもしれない。そういう場合でも速度を時間の関数f(t)で表せれば積分して距離を求められるし、微分してその加速度を求めることもできる。パソコンとGPSを組み合わせて使えばたぶんいろいろなことができそうな気がする。東京から大阪へ移動した時の速度を記録してみるとか。自分が中学高校の時に今のようなパソコンを持っていたら、間違いなく何かのシミュレーションプログラムを作っていたと思う。飽きっぽいのですぐ止めてしまったかもしれないけど。



なんとなく冒頭のエントリの「速度×時間=距離」が分からない子どもがいたという話を読んで、上に書いたようなことをいろいろ思い出したので、ブログに書いてみました。