ソニー2008年度業績見通し修正でのストリンガー会長のコメント

1月22日にソニーの業績見通し修正が発表されたが、質疑応答でのハワード・ストリンガー会長のちょっとアレなコメントをピックアップしてみた。まじめな記事ではどういう訳かそういうコメントを取り上げないらしい。

以下の内容は上記リンク先のインターネット再放送を参照した。回答はストリンガー氏の通訳。2ちゃんねるで取り上げられていた「キーワード」は文字サイズを大きくしている。本当は生で見たかったのだが平日だと難しい。

□質疑応答:メディア


Q3
日本経済新聞 オクダイラ氏
会長はエレキとゲームの連携と仰ったが具体的にはどういうことか?


A3
もう具体的になっているわけですけど。
プレイステーションネットワークとその他の会社との関係が加速的に強くなっています。
現時点のネットワークサービスのオペレーションは、もともとはカリフォルニアでプレイステーションとは別個に行われていた訳ですが、この重要機能がプレイステーションの長の元に置かれているということです。これを時間の経過に連れていかに統合するかということですが、これは時間を待たなければいけない訳ですが、いわゆる物理的なパッケージではなくオンラインのゲームになると、ネットワークのゲームに関してましても、PS3が、そして我々が作り出したプラットフォームが、ゲームとかビデオサービスとかエンターテイメントをすべてのデバイスで提供できるようにすると、これがソニーの秘密の強さだと思います。
先週、ラスベガスに行ってらっしゃった方もいるかと思いますが、非常に我々、コンベンションで成功いたしました。ソニーのトータルな経験、これを提供することによって、ただ一つの企業の側面ではなくて、このソニーには様々な側面があると言うことが、分かっていただきたい。これを、コンテントとハードウェアとソフトウェアと一つのものにすることによって、他のエレクトロニクス会社が提供できないような体験を提供する、これが目標であり、将来であり、イノベーションであるということになります。で、そのためにハードウェアがそれができるようになる。で、PS3プレイステーションネットワークも昨年始めましたが、これがまさに重要な成分、要素となる訳です。ま、これによって二つがより近しい関係になる、より進むということになる。

ソニーの秘密の強さ」ってもしかしたら英語で言うと格好良かったりするのかも。後半のウダウダ語っている、ハードウェアとソフトウェア、ネットワークの話はこの後に何度もしつこく語ってくれる。

Q8
週刊ダイヤモンド マエダ氏
先ほどストリンガー会長が仰ったお話でエンジニア、エンジニアリングということがソニーコアコンピタンスの一つであると仰いました。その上で、エンジニアをもっとモチベートすることが必要であるというふうに仰った訳ですが、このモチベートする方法について、この環境、生産拠点の再配置であったり人員削減ということで設計者の負担が増える、かつ、アウトソースの拡大であったり、ソニーオリジナルの設計が減っていく、こういうエンジニアにとってモチベーションが下がる方向感がある中で、いかにしてエンジニアをモチベートされようと思っているのか?


A8
変化は仕方がないと言うことです。いかに変化をエグゼクティブが管理するかということが、将来の成功を決めていくということです。まあ、いつも人生というのは変わっていくのだと、ソフトウェアのエンジニアの方が多くなってくる、ハードウェアのエンジニアの代わりをソフトウェアがしてくるといったこともあります。そして、非常に会社としては、ソフトウェアエンジニアの価値がもっと分かってきたということです。その二つを組み合わせることによって生き残った我々が成功していくと、そのためには、お互いのコミュニケーションが重要です。企業の礎というのはハードウェアのエンジニアです。これは変わりません。より高度にエンジニアがなっていくと思います。と言いますのも、他の国は他のことを、より安価にできるわけです。これはもう、我々は何回も経験してきました。しかし、その高度なエンジニアリング、それがソニーの価値と言うことで、ハードウェアのエンジニアとソフトウェアのエンジニアとの関係、これがもっと親密にならなければいけないと、過去は別々の縦割りの組織に分かれていた訳です。私がソニーに来たときにはほとんど関係が、ソフトウェアエンジニアとハードウェアエンジニアの中になかった訳です。たとえば、アプリケーションのエンジニアとの間にもなかったけれども、今はソフトウェアのエンジニアが非常に重要な役割を果たすようになってきています。特に若いエンジニアがハードウェアとの関係がもっと緊密化しなければいけないということを示している訳です。まあ、こういった汎用化の世界の中で競争していくためには変わっていって、戦略的な方向を目指さなければいけない訳です。たとえば、アメリカの西海岸とプレイステーションとハードウェアのエンジニア、まあ、そこも非常に親密になっています。ま、ですからサイロがなくなってきている、ただ、もちろん橋渡しは必要ですし、時間も、ただ、時間はかかると思いますけども、自明なことは、その関係を強化していかなければならないと言うことです。これが将来の方向性です。そういった意味においては、ソニーというのは多くの教訓を学んできたと思います。私どもはもうハードウェアだけの会社ではない訳です。ソフトウェアの会社でもあり、娯楽の、ゲームの会社でもあると、そのすべてを統合する、融合することによってこれがすばらしい力になると言うことです。CESのショー、セスにも出ました。これはラスベガスで最近行われたわけですけれども、そこで、まさにジャーナリストとしては、ソニーの要素のいくつが一緒に協力できるのかと、聞かれましたけれど、まさに協力できるわけで、ファウンデーションの基礎というのはハードウェアのエンジニアで東京にあるわけです。ただ、すべてのソニーの中の要素を一つに組み合わせて競争力を高めていくそれで、マイクロソフトとかアップルと戦っていく、そういった機会は大いにあると、日本の競合他社もそれから韓国勢とも戦っていくと、ですからこういった急速に変化する世界の中で、世界というのはまさにエキサイティングであって、これは我々にとってのチャンスな訳です。すべての要素を一つにまとめることができれば、我々は無敵ということになります。
ですから、真珠のネックレスのようなもので、一つ一つの真珠がしっかり繋がっていることによって美しくなるわけです。我々がネックレスになっていると言うことが、他と違うところです。もちろんコストのコントロールと言うことも重要ですけれども、ソニーにとってはクリエイティビティがあることによってダイナミックになるんだと、そして、その要素はすべてある訳ですから、社内に。人をいかに刺激して、それを融合させていくかということです。

人員削減などで士気の下がっている社員をどうモチベートしていくかという質問に対して、「いつも人生というのは変わっていく」とはなかなか言えることではない。
さらに「我々は無敵」って、今時の小学生でも言わないんじゃないだろうか。


□質疑応答:アナリスト・投資家


Q5
ゴールドマンサックス フジモリ氏
ストリンガー会長に質問したいんですけれども、エレクトロニクスに対する会長あるいはUSマネージメントのスタンスというのは、これからどう変わっていくのか。過去三年は割とまかせると言いますか、ハンズオンでアセットライトとかもやりましたけれど、それも厳しくやっているわけではなくて、見守っているという感じがしたんですけども、今回の危機を受けて、どれだけコミットしていくのか、管理のやり方をどう変えるのかについてコメントください。特に先ほど若い世代のマネージメントという話もありましたけども、そういった人事ですとか、含めて今後どう変わるのか、これについて、コメントいただけないでしょうか。


A5
ソニーの基礎、これはまさにエレクトロニクスにあります。これが変わることはないでしょう。しかし、一方で、世界はこのエレクトロニクスの変化よりももっともっと目覚ましく変わってしまっている、アセットライト戦略を打ち出したのもそういった私どもの進化の過程のその一環であると、私どもはエレクトロニクスの会社でありますので、それを変えようと言うことではありません。マネージメントスタイルと言うことでも、ソフト、ハードのエンジニアの融合と、それを進めております。三年前はもっと分かれておりますが、統合が進んでおります。まさに仰ったハンズオンの関係がエンタテイメントとソフトウェアの関係でもあります。ソニーコンピュータエンタテイメントとソフトウェアのエンジニア、そしてハードウェアのエンジニアの関係もどんどん緊密になっています。より積極的になっています。共にソニーを変貌させようともっともっとアセット戦略を進めようと、そう言ったところからも意識が出ています。ハードウェアの方はコモディティ化がどんどん進んでいる訳で、ハードウェアエンジニアももっともっと先に進んでいかなければならない、どんどん進化してよりサプリケート(?)されて行かなければならない。一方、ソフトウェアのエンジニアも、そういった人々と一生懸命働かなければと、かつてはサイロがあったりなかなか両者の協力が難しかった訳ですが、そのサイロがどんどん外されている、なくなっています。ソニーコンピュータエンタテイメントもそうです。私どもはすべて見直ししています。変化は不可避です。避けて通ることはできないと思います。まだまだ始まった訳ですが、私は楽観的です。私の強い決意は今まで以上、あるいはまったく変わっていません。ソフトウェア、ハードウェアのエンジニアリング、それが融合することによって競争力を高めてゆこうと、世界がどんなに変わっても、競争力を持っていこうと、競争関係も変わっています。中国韓国だけではありません。競争そのものも変わっています。アメリカの新しい会社が台頭して我々のライバルとして虎視眈々と狙っている、ソフトとかもそうです。CEOとしてはそういったすべてのプロセスを見直そうと。変化が大事であると、まだまだ、スタートしたばっかりと思いますけれど、やはり、今、色んな事を明確にするチャンスが与えられたと思います。

悲観的になるのは良くないが、具体的な危機に見舞われている最中に、夢みたいな事を語りながら、「私は楽観的です。」と言われては唖然とするしかない。


Q7
野村證券 カタナ氏
会長がいくつか言われていたキーワードの中のアセットライト。これは戦略かも知れませんけれども、戦略の修正でしかなくて、これによって技術成長ができると言った類のものではないと思います。ソニーユナイテッド、これも、キーワードとして確かにありますが、手段であって、目的ではない。ネットワークを90%つなぐ。これは繋いでもそれぞれのハードウェアが舵を失っていく可能性すらあって、ネットワークに繋がったからといって利益や売上が上がる保証は何もないと思います。さきほどコアビジネスを再定義するというお話がありましたけれども、なぜ今この場でコアビジネスの定義を、つまりソニーはどこに行くんだという話を先にしてから、構造改革を実施するのが、本来の順番だと思うんですけれども、オバマ氏は就任直後なので、アメリカ復活しようぜ!でいいと思うんですけれども、今のマネージメントチームはすでに4年今のポジションにいます。もう少し具体的にソニーがどう進んでいくのか、これについてお話をいただければと思います。


A7
フェアなご質問だと思います。これから二ヶ月間の間にお答えできると思います。三つの要素、エンタテイメントとコンピュータの会社とハードウェアの会社の関係、これが将来の鍵だという風に思っています。いかにこのビジネスをそれぞれ見直して、いかに協力させるかということ、これがまさに集約的なプロセスだと思います。三年前にと仰いましたけれども、その時にはこのエンタテイメント会社とハードウェア会社との間はほとんど接触がなかった訳です。そしてコアビジネスを私たちは見直して、こういったエレメントが今話し合っているという状況まで来ました。ですから確かに今未曾有の時期、未曾有の市場環境ですけれども、それぞれの会社が関係をしていると、関係を深めているということによってチャンスが生まれると思います。いかに新たな収入源をお互いのテリトリーの中で仕事をすることによって得ていくかということです。競争が非常に厳しい訳ですし、コアビジネスの中にいろいろなエレメントが入ってきていると、ですからたくさんの入ってきたエレメントをうまく融合させて機能させることがまさにチャレンジということになります。ソニーコンピュータエンタテイメントでもエンタテイメントの業界、ここでも、アグレッシブにハードウェアと話し合いをすると、お互いがそれによって新たな商品の価値を高めるための機会をお互いが目指すということで、様々なデバイスがネットワーク対応になっています。Wi-Fi対応のものももちろんある訳です。これもソニーの進展です。ただ、これから三ヶ月、まさにソニーの変革として我々が続けていかなければならない点です。私どものコアビジネスをすべて見直すことによって、まさにインテグレーションとリレーションシップ、これがソニーを強くするということがはっきり分かって来ました。みんなを納得させるというのはなかなか困難ですけれども、私どもはそこに到達すると、まさにそれが、ソニーのエキサイトメントの一部だと思います。

この質問者は鋭いと思う。今まで延々と自分の理想世界について語り続けてきたストリンガー会長も逃れられないかと思ったが、結局は今までと同じ話を繰り返すだけだった。なお、冒頭の「フェアなご質問だと思います。」は2ちゃんねるでは「アンフェアなご質問だと思います。」になっていた。自分には「フェア」としか聞こえなかったのだが、もし、生放送では「アンフェア」だったという情報があれば連絡いただけるとありがたい。

まとめ

ストリンガー会長の言ったことを自分なりにまとめてみると。。。

3年前まで縦割りだった組織が、今はエンジニア同士が話をするまでになった。ハードとソフト、エンタテイメント(ゲーム)がネットワークを介して融合することでソニーの秘密の強さが発揮され、ソニーは無敵になる。