クリエーターとファンが直接繋がることができるか

ブラックジャックによろしく』、『海猿』などの人気漫画を描かれている佐藤秀峰氏のブログに次のように書かれている。(4月13日 漫画貧乏その8)

僕は今、実験をしています。

「漫画家は出版社に頼ることなく、一定の質とスピードを保って漫画を製作し続けることができるかどうか?」

言い換えれば、「漫画家は読者とダイレクトにつながることができるのか?」という実験です。

ここで言っている「漫画家は読者とダイレクトにつながることができるのか?」というのは、「○○は××とダイレクトにつながることができるのか?」と一般化、普遍化できると思う。

本や雑誌などの出版業界、CDなどの音楽業界でも本当の意味で欠かせないのは作者と視聴者であり、媒体を複製する企業は黒子にすぎない。しかし、これまではこの「黒子」がいないと作者と視聴者が繋がらなかったために、黒子が強い力を持ち利益配分の決定権も持っていた。もちろん、黒子はこの権利と同時にコストとリスクも抱えていた。

しかし、インターネットはこの関係を大きく変えようとしているような気がする。もし、漫画家と読者がダイレクトにつながる試みが成功すれば、それが他の業界にも広がっていくような気がする。他の業界とは音楽業界だけでなく、たとえば野球のような世界にも広がっていくかも知れない。野球が好きで才能に恵まれてプロ野球選手になるのも分かるし、野球ファンの気持ちも分かる。でも、「たかが選手ごときが・・・」という発言をするオーナーとそのオーナーが支配する球界の仕組みは理解できないし、あってはならないと思う。「野球」にとって必要なのは選手とファンなのに、どうして必要のない人たちが大きな顔をしているのか。

リエーターとファンが直接繋がる世界は単なる荒唐無稽なこととは思わないし、それが実現すればいいと本当に思う。このクリエーターとファンが直接繋がる仕組みの構築をニコニコ動画に期待していたのだが、そういう予定はないみたいなので残念だ。だが、いつかそういう未来がくると自分は信じている。たとえそれが以前のような巨額の富を得る大作家や有名ミュージシャンというサクセスストーリーがなくなることを意味するとしても、多くの人が子供の頃に持っていた「小さな夢」を叶えることになると思う。