人権団体にとっての成果と報酬

国際人権団体「イクオリティ・ナウ」の抗議活動により、抗議対象となったゲームソフト「レイプレイ」の販売元イリュージョン・ソフトウェアは、ネット販売を中止したそうです。個人的にいろいろ思うところはあるのですが、一番分からなかったのは、なぜアメリカの人権団体がわざわざ日本のゲームソフトに目を付けて抗議したのかということ。そこで、この団体の声明文を読んでみたのですが、以下のことを言いたかっただけではないのかなと思いました。

日本を拠点として女性のモノ化を止めるべく活動している組織「ポルノ・買春問題研究会」は、実写の輪姦ビデオの公開市場での販売にも許可を出すような政府を教育しようとするのは困難であると述べている。日本では1999年になってやっと児童ポルノグラフィーが違法とされた。だが、ポルノグラフィー的なコンピューター・ゲームには規制がかかっておらず、1999年の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」における児童ポルノグラフィーの定義からも外れている。
(中略)
「レイプレイ」のようなコンピューター・ゲームは、性に基づく差別的振る舞いやステレオタイプを許容するものであり、これは女性に対する暴力を維持する。日本政府は、このようなものをはびこらせず、女性の平等を妨げるこれらの振る舞いや行為に打ち勝つための有効な指針をとるべきである。

Equality Nowのエロゲに対する声明を訳してみた。(更新あり) - yuubokuの日記 - 断片部

つまり、女性をレイプするゲームやそれを放置する日本という国は、手っ取り早く批判するには格好の材料だったんではないかと。批判して話題になるだけで人権活動としての成果になるし、ゲームソフトの販売中止や法律による禁止まで行けば儲けものでしょう。成果が上がれば様々な団体からの寄付も増えるでしょうし。それにしても、立場の弱いもの、叩きやすいものを叩くというのはドメスティックバイオレンス(DV)と同じ論理のような気がします。



ところで、強姦事件の10万人あたりの発生件数を、日本と英語圏の国々を比較してみると次のようになります。「倍」は日本の件数を1とした時の他の国との比。(2000年または1999年のデータ。ソースはこちら。)

  • 強姦事件の人口10万人あたりの発生件数

国名件/10万人
日本1.781
オーストラリア81.4145.7
英国16.239.1
南アフリカ123.8569.5
米国32.0518.0
カナダ78.0843.8

リンク先のソースを見て貰えば日本より強姦発生率の少ない国がたくさんあることが分かりますし、南アフリカ英語圏とはちょっと違うのかも知れません。また、強姦発生率が少ないからといって女性が差別を受けていないことの証明にもなりません。同様に、レイプゲームと女性差別の因果関係も私には分かりません。分かるのはゲームようなフィクションの世界でどれだけ悲劇が繰り返されても被害者は生まれないということです。

もし、本当に女性の地位向上や性被害の撲滅を目指すのであれば、フィクションの世界ではなく現実世界の悲劇の解決に取り組んで欲しいと思います。