オーマイニュース閉鎖から学べること

4月24日に閉鎖したオーマイニュースについて3人の元編集部記者の方が閉鎖に至った問題点を書かれています。これらの記事を読んで、今回の失敗事例から学べそうなことを自分なりに考えてみました。

お客様視点と組織の共通認識を持ちましょう

3つの記事に共通して言えると思いますが、お客様が誰で自分たちがどういう価値を提供していたかについてまったく触れられていません。CS(顧客満足度)は製造業だろうとサービス業だろうとあらゆる商売の基本のはずなのに、なぜそれを考えないのか分かりません。オーマイニュースの場合、お客様は読者とスポンサー、提供している価値は記事(情報)になります。スポンサー(広告主)は読者の満足度やアクセス数の増加を期待するので、オーマイニュースとしては、より多くの読者に満足してもらえる記事(情報)をより多く提供できるかが目標になります。これは自明なことのはずですが、上記の記事からは組織でそういう認識が持てていたようには思えませんし、その必要性も感じていなかったように見えます。お金を支払っている市民記者はパートナーなのだから、記事に書かれているようなお客様待遇をするのは奇異に感じます。

悪者探しではなく、解決策を考えましょう

編集長が悪い、編集部幹部が悪い、一部の市民記者が悪い、悪質なコメントが悪い等々、悪者探しは時には気分がいいものですし(愚痴とも言いますね)、同僚の同意も得やすいと思いますが、何の解決にもなりません。鳥越編集長に対する不満は大きかったと思いますが、広告塔としての効果は確実にあったのですから、悪いことばかりではなかったはずです。象徴なら象徴と割り切って、うまく利用することもできたと思います。

当事者意識を持ちましょう

 私が退職後、ある編集部幹部から「TV・Photoの記事は編集が楽だ。どうしてだろう」と言われた。記事の書き方や長さを半年かけて市民記者に理解してもらったたまものである。しかし、私は以前、彼に「市民記者に書き方などを理解してもらった結果、編集に要する時間が減った」と報告したのだが……。

http://news.livedoor.com/article/detail/4138210/

地道な活動により市民記者の書く記事の質が向上したというこの事例はとても参考になります。この例でもそうですが、編集部幹部と記者との間のコミュニケーションがとれていないことが大きな問題として早い段階から認識されていたのに、なぜ放置されたままになってしまったのでしょう。情報を発信することが仕事なのですから、サービスの破局に繋がりかねない問題について、記事にして問題提起することは可能だったはずです。
2006年の時点で、佐々木俊尚氏が編集部幹部のやり方、運営方法を批判しています。

その記事に対して、上記で編集部員に食い物にされたという記事を書いている小田 光康氏は次のように書いています。

【PJ 2006年12月12日】− 言葉は悪いが、タイトルのように感じた。我らPJニュースの好敵手?のオーマイニュースが荒れている。ことの発端は編集委員と称するプロのジャーナリスト、佐々木俊尚氏が編集部の運営姿勢を批判したことだ。批判の内容はともかくとして、佐々木氏がオーマイニュース内部の意志決定について、朝日新聞オピニオン誌論座』や、自らのブログ上でその内幕を赤裸々に語るのはいかがなものか。こんなオーマイニュースの姿を見ているとがっかりしてしまう。

http://news.livedoor.com/article/detail/2844334/

実際の内情がどうだったのか分かりませんが、編集部に問題があり口答で言っても改善されないのであれば、記者として記事を書いて批判し改善を求めるのは間違っていないと思います。それよりも、体面を気にして問題点を隠し、取り返しがつかなくなってから、アレが悪い、コレが悪いと言う方がよっぽど問題だと思います。