ゲームは商品か、それとも作品か

内田樹さんの「ウェブと書籍とコピーライト」というエントリを読んで、それまで漠然と思っていたことに気づきました。

本の商品性を強調すれば、いつか「買わないけど、読む」という読者よりも「読まないけれど、買う」という購入者の方を優先するようになる。
本が商品なら、「お前の出した本は全部買ってやる。そのまま読まずに燃やしちゃうけど」という顧客にも「まいどおおきに」と頭を下げなければならないのがことの筋目である。
私は本は商品ではないと思っている。

ウェブと書籍とコピーライト - 内田樹の研究室

複数の本の著作者である内田樹さんは、本は商品ではないと言っています。


同じように私はゲームは商品ではないと思っています。じゃあ、何なんだと改めて自分に問うてみると「作品」、さらに言えば「アート」、「総合芸術」だと思っていることに気づきました。だから、FF11のような作業ゲーやドラクエ9のすれ違い通信やダウンロードでユーザーを釣るゲームに対して強い嫌悪感を感じます。逆に朧村正のようにいたるところに作者のこだわりを見つけることができるゲームには好感触を感じます。

発売日にゲームを買って数日で中古屋に売られてしまう状況を変えたいというメーカーの理屈は分かります。でも、FF11ドラクエ9のやり方はやはりおかしい、どこか間違っている気がしてなりません。本来はユーザーにまたやりたいと思ってもらえるような内容を目指すべきなのではないでしょうか。たとえば、DSで言えば「リズム天国ゴールド」、WiiならWiiSportsなどがそういうゲームだと思います。試しにWiiSportsをやってみましたが、やっぱり面白いんです。止め時が分からなくなるくらい。リゾートのピンポンでは超えられない壁として立ちはだかった「ルシーアたん」ですが、WiiSportsのテニスでは雑魚キャラとして登場していたことに今更ながら気づきました。


ゲームには様々なジャンルがありますが、面白いと思えるゲームには何らかの制作者の思いを感じることができます。モンハンであれば文字通り「狩り」ですし、初期のドラクエであれば「冒険」と「成長」だったと思います。MMO系のゲームはいわゆる作業ゲーが多く、それらのゲームはいったい何を伝えたいのか分かりません。本であれゲームであれ「作品」であれば伝えたいものが何かあるはずなので、それが見えないので自分の場合、とても違和感を感じます。でも、商品ならそれでも構わないんですよね。


ゲームが「作品」であること、ひいてはゲーム制作者がアーティストであることを期待する自分は間違っているのでしょうか。