はてなはGoogleではなくマードック氏を目指しているのかも

昨日、インターネット以前はネタを囲うこと独占することが重要で、誰もが情報を発信し情報が溢れるインターネット以後はいかに情報を間引くかが重要になったというエントリを書きました。少なくとも自分としてはそう書いたつもりです。
玉石混交のネットの海から面白いネタを集めている例として、J-CASTさんやアキバBlogさんを例に上げましたが、もっと身近なところで「はてなブックマークニュース」というのがあることに後から気がつきました。

はてなブックマークニュース」は、はてなブックマーク内の1000万記事の中から、ユーザーにブックマークされたちょっとおもしろいページや話題になっているものなどを、「どこがおもしろいのか」「なぜ話題か」という視点からわかりやすく紹介・解説するニュースサイトです。

はてなニュースについて - はてなニュース

はてなブックマークニュース」は、膨大なネットの情報をはてブを使って面白いネタを抽出し、それを分かりやすく紹介することに価値を置き、ニュース記事を作成すると言っています。でも、それだけだと他のニュースサイトとの違いは余りないように思います。


芸能リポーター梨元勝さんは日本人なら誰もが知っていると思います。実は私はこの人のことが余り好きではありませんでした。単に芸能界に顔が広くずうずうしく話がうまいだけの人だと思っていたのですが、以下の記事を読んで180°見方が変わりました。

ー 最近は、芸能人がブログで一方的に発表することも多いですね。

梨元 ブログで発表したのであれば、まずそれをストレートニュースで流して、その先をちゃんと取材すればいい話です。

「羽賀やれ、ジャニーズやめとこう」 芸能マスコミ衰退の深層 (連載「テレビ崩壊」第1回/芸能リポーター・梨元勝さんに聞く) : J-CASTニュース

この記事を読んで、「あぁ、この人はテレビやネットといった道具に使われるのではなく活用する側の人なんだ」と思ったんです。


話をはてなブックマークニュースに戻すと、これ単にネットのネタを集めるだけではなくて取材もしています。まだ、数は少ないですが。

ネットには面白いネタがゴロゴロと転がっていますが、圧倒的に欠けているのは「信憑性」だと思うんです。既存のマスコミは「演出」という名目で捏造をすることで定評がありますし。

はてなブックマークニュースは将来的にはネットに欠けているこの「信憑性」という穴を埋めようとしているような気がしました。


もちろん、今すぐどうこうできるという話ではないですし、つい数年前まではてなの社長は「日本版Googleを目指す」とも言っていました。でも、国境のないグローバルの競争でGoogleとガチンコ勝負をしても結果は見えていると思います。それよりも初心に帰って「人力検索はてな」の精神で考えた方が勝機が見えてくるように思います。つまり、何でもアルゴリズムで解決するのではなく、人手をバランスよく組み合わせて価値を生み出す方法です。その一つが、はてなブックマークニュースなのではないかと思います。


話は変わりますが、Xbox360/PS3/Wiiといった現行の据置型のゲームが発売される前、Wii以外の機種はゲーム以外の機能を積極的にアピールしていました。しかし、今現在、NTTと組んでサービスを展開したり、テレビ局やよしもとと一緒になって動画配信をしたり、出前をとったりできるのはWiiだけです。Wiiの発売前に今のゲーム以外のサービスをどの程度想定していたのか分かりませんが、もしそれを匂わせるようなことを発言していたら、マイナスの効果しかなかったと思います。やはり、やれるかどうか分からないことは口にすべきではないということだと思います。能ある鷹は爪を隠す、と言うことかも知れません。


そんなことを考えた結果、はてなが目指しているのは、すべてを機械で処理しようとしているように見えるGoogleではなく、ネットという技術を道具として使うことで新しい時代のメディア王マードック氏になろうとしているのではないかと思ったわけです。