「斬撃のレギンレイヴ」レビュー(クリア後)

先週、Amazonさんが発売日に届けてくれた斬撃のレギンレイヴですが、今日、ようやくオフラインをクリアしました。オンラインはまだやっていません。クリア前のオフラインはイージーとハードから難易度を選ぶことができてずっとハードでやっていたのですが、残念ながら最終ステージだけイージーでのクリアになってしまいました。ラスボス強すぎです。
買ってから1週間程度でクリア(オフラインのみですが)したことになりますが、決してボリュームが少ない訳ではなく、時間も30時間以上かかっています。
このゲームで遊びながらいろいろ思うところがあったので、昔話から始まってしまいゲームレビューらしくない気もしますが書いてみようと思います。

剣と魔法のファンタジー世界とJRPG

ロード・オブ・ザ・リングハリー・ポッターは世界中で人気があるようなので、日本だけではないのかも知れませんが、剣や魔法が存在する世界を舞台にした小説や漫画、ゲーム、映画は昔から人気がある定番のジャンルです。ゴブリンやゴーレム、ドラゴン、そして時には神や悪魔が登場し、剣士は剣で魔法使いは魔法で戦うというのが一般的だと思います。自分の場合、漫画ならバスタードやベルセルクが好きでした。子供の頃、PCで様々なゲームができることは知っていましたがとても子供の小遣いで買える値段ではなかったので、初めて遊んだファンタジーもののゲームは初代ドラクエでした。今、初代ドラクエは携帯アプリ向けにもリメイクされていますが、当時の画面は今のものからは想像できないようなスペックで、主人公キャラは正面向きのみ、メッセージは確かひらがな、カタカナだけといった感じでした。それにも関わらず、面白かったという印象しか残っていません。なぜ良い印象しか残っていないかを考えてみると、小説や漫画の世界をゲームで疑似体験することの面白さに夢中だったからだと思います。そういうドラクエが国内で大ヒットしたことから、同じように感じた子供はたくさんいたのではないでしょうか。
ドラクエも据置機向けのゲームなので画面は携帯電話よりずっと大きいですが、ファミコンのスペックは今の携帯電話以下しかありませんでした。だからそのファミコンスペックの中に「剣と魔法のファンタジー世界」を押し込むために、基本的なゲームデータは「文字」と「数値」で構成されていました。経験値やレベルの概念、攻撃力、防御力、様々な武器や防具などは文字と数値で表されていました。その初代ドラクエが発売されてから20年以上が過ぎてハードウェアのスペックは飛躍的に上がったにも関わらず、今でも「剣と魔法のファンタジー世界」は初代ドラクエと基本的に同じルールで作られているように見えます。そのために、海外のゲーマーからはJRPGと揶揄されることもあります。
私はJRPGのターン制バトルは面白いと思います。それを批判する人の気持ちも分かりますが、気に入らないならやらなければ良いだけの話でしょう。たとえば、複数の味方と複数の敵との戦闘で、いかに効率良く戦闘を終わらせることができるかを考えながらゲームを進めることは楽しいです。素早い魔法使いキャラがギラ系でグループ1にダメージを与えて、倒しきれない時は戦士がトドメを刺す、というようなストーリーを考えてコマンド選択した場合、思い通りになってもならなくても面白いと感じます。
ただ、20年以上も相変わらずゲームシステムの主流になっている今の状況は、正直面白くないです。話のストーリーを変えたり、ルールを少し変えた様なゲームはもういい加減飽きてしまいました。たぶん、これからはもうそういうゲームは買うことはないでしょう。友人とディアブロ2を遊んだ時やFF11でMMOを遊んだ時は面白いと思いましたが、次に遊んでみたいと思えるようなゲームは見つかりませんでした。


斬撃のレギンレイヴの登場

斬撃のレギンレイヴも「剣と魔法のファンタジー世界」を舞台にしたゲームです。北欧神話を題材としているので、創作もののファンタジーよりよっぽど正統かも知れません(個人的にはエンディングの最後の最後にほんのちょっとだけ挿入されているムービーがとても気に入りました。)。また、ストーリーは一本道です。あらかじめ決められたシナリオに沿って複数のステージが用意されていて、各ステージを攻略していくというのが基本的なゲームの進め方になります。そしてほとんどのステージの攻略条件は敵の全滅になっています。
このゲームがこれまでのゲームと大きく違っている点は、戦闘の自由度です。JRPGはフィールド画面と戦闘画面が分かれているものが多いですが、このゲームはそういう区別がありません。強いて言えば、ステージ全体が戦闘画面で、ほとんどのステージの広さは数百メートル四方に及びます。そうすると、スケールの大きな戦闘がリアルタイムに行えるようになります。
たとえば大平原での戦闘では、敵である巨神族の大群が地平線からドドーと押し寄せてくる状況が用意されています。プレイヤーはその大群に対して、炎の杖を使って大群の中に火柱を発生させて複数の巨神にダメージを与えることができます。思わず、
「薙ぎ払え」
とか口に出てしまいそうな光景が展開されます。




(爆炎の杖 LV2 使用)

ドラクエならグループのような概念があって攻撃魔法の有効範囲が制限されていますが、このゲームは「見たまま」のことが実行できるのが画期的な点です。攻撃魔法のターゲットとなった巨神の近くにいた巨神も近さに応じてダメージを受けるという当たり前のことが、当たり前のように起こるようにできています。
近接戦闘では巨神族の大群の中にダッシュ(ゲーム中では「神速」)で走り込んで、周りの巨神を叩き潰す、または切り倒し、攻撃を受ける前にダッシュでまた距離をとるということもできます。ドラクエのようなすばやさの概念はなく、動きの速さがそのまま戦闘に反映されます。巨神族の動きは遅いですが、体が大きく手足が長いため、プレイヤーはより速く動かなければ攻撃をかわせません。ドラクエには戦闘の単調さをなくす目的で会心の一撃が用意されていたと思いますが、このゲームではヘッドショットで短時間で敵を倒すことができます。
ドラクエ含めJRPGにはたくさんの敵キャラが登場します。バラエティ豊かな敵キャラはそのゲームの面白さにつながりますが、主人公の強さのインフレが激しいために、多くの敵キャラが必要になるというゲームシステム上の都合もあると思います。だから、単なる色違いで強さだけが違うだけの敵キャラが存在するのだと思います。このゲームは最初に登場する敵キャラが後半にも登場しますが、敵を倒すことが「作業」にならず、武器の強さを引き立てる役割を果たしています。最初は何度も切りつけなければ倒せなかった敵キャラが、武器を変えると一撃で何人も吹き飛ばしたりことができるようになります。ドラクエで弱い敵を倒しても与えたダメージでしか強さを実感できませんが、このゲームでは見た目に反映されるのが画期的です。巨大な敵の場合も、JRPGは見た目だけの違いしかなくやることはターゲットを選んでコマンドを選択するだけですが、このゲームはその大きさと自分が持っている武器に応じていろいろな戦い方を考える面白さがあります。
中盤から後半になってくると、当初は単なる脇役としか思っていなかった登場人物たちが急に存在感を増してきます。全く歯が立たない強い敵から一緒に逃げたり、ピンチの時に助けに行ったり、逆に自分が絶望的な状況に陥った時に助けられたりを繰り返しながら、神話の物語はクライマックスに向かっていきます。最初はオマケ程度と思っていたシナリオが、中盤からとてもよくできていることに気づき始めます。そして登場人物たちは本当に熱くて良い人達ばかりでした。

操作性

このゲームは3種類の操作方法が用意されています。

  1. Wiiリモコン+ヌンチャク
  2. Wiiリモコン(Wiiモーションプラス)+ヌンチャク
  3. クラシックコントローラー(Pro)

自分は「Wiiリモコン(Wiiモーションプラス)+ヌンチャク」をメインで使い、クラシックコントローラーPro(クラコン)を試しに使ってみましたが、オススメの操作は「Wiiリモコン(Wiiモーションプラス)+ヌンチャク」です。
Wiiモーションプラスなしだと常にリモコンを画面に向け続けなければならないようなので面倒ですし、ニコニコ動画のプレイ動画(要アカウント)ではWiiモーションプラスをつけると弓が使えるようになったという話もありました。またゲーム中はリモコンの前のセンサー部分を手で塞いでも画面のポインタはちゃんと表示されているので、赤外線は全く使わずにWiiモーションプラスのジャイロ・センサーだけを操作に反映させているようです。そのためか、Wiiリモコンが画面外やあさっての方向を向いていてもちゃんとポインタの位置を認識できているようです。
ゲーム中に瞬間的に高速移動する方法として「神速」が用意されていて、ヌンチャクを移動したい方向に振ることで発動するのですが、最初、なかなかうまくいきませんでした。今ではヌンチャクを移動したい方向に突き出す(平行移動)することでだいたい上手くいくことが分かってきましたが、時々、出ないとか違った方向に出ることがあります。でも、慣れればかなり直感的な感覚でキャラクターを操作できます。
クラコンは槍を使い始めたときに使ってみました。神速はボタン式なので100%出ますし、ポインタもジョイスティック操作なので正確に狙えます。しかし、すばやく視点や照準を変更することができず、「Wiiリモコン(Wiiモーションプラス)+ヌンチャク」に戻しました。もしかしたら、慣れの要素もあるかもしれません。

まとめ

斬撃のレギンレイヴは「剣と魔法のファンタジー世界」を体感させてくれるゲームです。メッセージ画面で「〇〇のダメージを与えた」と表示されるだけだったり、ムービーは豪華だけれど中身は従来からほとんど変わらないだけのゲームとは、臨場感がまったく違います。メニュー画面等が古臭い感じするなど改善すべき点はいろいろありますが、肝心のゲーム性やシナリオ、音楽が素晴らしいです。
誤解の無いように書くとJRPGJRPGというジャンルとしてこれからも残り続けて欲しいと思います。ターン制バトルは嫌いじゃないですし、将棋のようなボードゲームも好きです。でも、斬撃のレギンレイヴのような新しいゲーム性を持ったゲームも出して欲しいというのが希望です。もちろん、それが簡単にはできないことだというのは分かってはいるのですが、正直な気持ちでもあります。

Amazonアフィリエイト

Amazonで売り切れとなっている予約特典付きはマーケットプレイスで9千円〜2万円と高額で販売されていました。この値段で買う人がどのくらいいるのか分かりませんが、サウンドトラックはなかなか豪華な作りです。

斬撃のREGINLEIV (レギンレイヴ) (特典無し) - Wii

斬撃のREGINLEIV (レギンレイヴ) (特典無し) - Wii

特典なしは先日までAmazonの商品が売り切れとなっていて、マーケットプレイスでほぼ定価販売されていましたが、今は在庫が復活しています。こちらはよくできたレビューがたくさん掲載されているので、参考になると思います。

イオナズンを撃ってみたい人へ(2010/02/27追記)

この記事の中に自分が書いた説明とほとんど同じ説明がありましたので引用してみます。

「数が多すぎるーっ!?」巨神族を見た途端に怯える人間達を尻目に、あなたは先頭へ飛び出します。右手には爆炎の杖、Wiiリモコンポインターで狙いを定めてボタンを押すと、杖の先端が赤く光りだしました。数秒後、たまった魔力が杖から弾けるように小さな火球になって、遥か前方の巨神達へと一直線に飛んでいきます。そしてその1体に着弾した瞬間、轟音。周囲50メートルを巻き込む巨大な爆炎で画面が埋まります。

2/3 イオナズンを撃ってみたい人へ [ゲーム業界ニュース] All About

この説明は上記の画面キャプチャの状況そのものです。さらに記事の右上の漫画には「なぎはらえ!」とまで書いてあります。ゲーム好きの考えたり思ったりすることは似たりよったりと言うことなのでしょう。

改版履歴

2010/02/24 : 画面キャプチャ追加
2010/02/27 : All About記事の引用を追加