どうしたら「できないこと」が「できる」ようになるか

はてなのホットエントリを眺めていると、時々、以下のような絵が上手くなりたいんだけどどうしたらいいか、といった2ちゃんねるのまとめ記事を見かけます。今回、その記事の中でハッとさせられるレスがありました。

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/08/09(月) 05:56:24.49 id:R5Tzj/z0O
とりあえず顔はいいから体が描けるようになりたいんだ。
ヒトカク勧められてやってみたけど、あれって中村さんの絵を模写してるだけじゃん
漫画模写してるのと変わんなくね?
結局模写の腕が上がっただけで、頭の中のイメージを絵に描く事が出来ないままなんだけど…

これがスレ主の投稿。たぶん、同じような悩みを抱えている人が多いと思う。

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします [sage] :2010/08/09(月) 07:37:16.08 id:WcCBLKmxP
おれは>1に足りないのは単純な熱意というか絵を描くのが好きな気持ちだと思うよ
人間が立ってる絵で5時間掛かるとかどう考えても枚数が足りないだけだし
その足りない状態でいくら描いても上手くならない、速く描けないって言っちゃうのは上手く描けたって結果だけ欲しがって、過程を楽しんでいない証拠

  • 上手く描けたって結果だけ欲しがって
  • 過程を楽しんでいない

そして、スレ主に対するアドバイスの一つがこのコメントです。


これとほとんど同じアドバイスが、音楽を教えている人が書いた海外の記事にありました。

love the music that is coming out of their instrument!

学生たち自身の楽器が奏でる音楽を好きになればいい、とか

we learn better, retain more, and grow faster when we are emotionally passionate about the learning process.

学習するプロセスに情熱を持てばより印象に残りより速く成長できると書いてあります。

2ちゃんねるの記事も英文の記事も同じことを言っていて、一言で言えば「好きこそものの上手なれ」になります。


絵が好きなんだけど上手くなれないという人は、英文記事で書かれている「 In modern "Wal-Mart" culture」に陥っている気がします。最近は誰でも一通りできた気になれる本があるけど、それを使って本当に上手くなれる人はほとんどいないと言っています。これは2ちゃんねるの記事の「上手く描けたって結果だけ欲しがって」いる人が陥りやすい罠なのだと思います。


英文記事では、以下のように書いてあるようです。(正直、自身がないので、誰かが日本語に翻訳してくれることを勝手に期待。)

  • 人が新しい概念を学習する時、脳内に新しいネットワークが構築される。
  • 単純な繰り返し(repetition)は、難しい行為や新しい運動能力(motor skills)をいとも簡単に行えるようにする脳内ネットワークを構築・強化するために不可欠な要素。
  • 学生に機械的に練習を押し付けても効果が薄いので、練習自体を好きなるように導くのが効果的。



2ちゃんねるのスレ主は、絵が上手くなりたいと気持ちに嘘はないと思います。でも絵を書いていて楽しいかどうかまでは、分かりません。



ところで、ゲームのRPGの基本的な構成は、自分が強くなって敵のボスを倒すことが目的として設定されています。でも、ユーザーが求めているのはボスを倒すことではなく、ボスを倒すまでの過程です。だから、短い時間でボスを倒すよりも長い時間、遊べるゲームの方が一般に好まれます。何時間〜何十時間と遊ぶことで結果的に複雑な操作やシステムにも慣れて、より上手になり操作も洗練されていきます。ボスを倒すにはどうしたらいいかを真剣に考えながらゲームをしている人はいないと思いますし、いたとしても楽しくないと思います。同じことが、絵や音楽、そして外国語学習なんかにも当てはまる気がします。


自分の場合、英語を学習中なのですが、英語の学習が好きかと問われた時、今のところ100%の気持ちで好きとは言えません。でも、嫌いでもないんです。今まで練習が好きかどうかを考えたことがなかったので、上記の2ちゃんねるの記事は良いきっかけになったと思っています。