「東京都青少年の健全な育成に関する条例」が気色悪い

現行の東京都青少年の健全な育成に関する条例をざっと眺めて気付くのは「性」という漢字がいたるところにあることです。検索かけたら40個ありました。
「異性」(1個)や「残虐性」(7個)という言葉もあるのですが、「性的」10個、「性行動」4個、「性交」3個といった言葉が多いです。そしてこの前可決された改正案では以下の文言が追加される事になっており、

二 漫画、アニメーションその他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの

「性交」が4個も増えるようです。なぜ青少年の健全な育成のための条例にたくさんの性的な言葉が散りばめられているのでしょう。気色悪いです。


ところで、この前、ネットで興味深い漫画を見つけました。

一応最後まで読みましたが人には薦められない内容です。正直、こういう系統の漫画は嫌いです。物語はハッピーエンドが一番です。でも、これ読みながら考えていたのは、どういう人が何を考えながらこれを描き、どういう人が何を思いながらこれを読んでいるんだろうか、ということでした。生き物の命を粗末にするような人達でしょうか、それとも、まったく正反対の性格の人達でしょうか、はたまたごく普通の人達でしょうか。小説やテレビドラマ、映画、漫画などのフィクションの多くでは、悪は最後には滅ぼされるか退治されます。その方が観ていて楽しいですし、楽しむためにコンテンツがあるのですから当たり前だと思います。でも、仮に悪が勝つようなコンテンツがあった場合、「悪いことをしてもいいんだ」と考える人がいるでしょうか。大人でそう考える人はいない気がします。子どもはどうでしょう。すでに子どものころの感覚は忘れてしまったのですが、子どもなら尚更おかしいと言いそうな気がします。この漫画は誰が読んでも酷いと感じると思いますが、当然、作者や読者もそれを十分に分かっていると思います。


話を都条例に戻すと、都条例について気色悪いと感じた理由は、「われら都民は、次代の社会をになうべき青少年が、社会の一員として敬愛され、かつ、良い環境のなかで心身ともに健やかに成長することをねがうものである。」という新興宗教団体で使われてそうな文言を掲げつつ、「性的」や「性行動」、「性交」といった性的な言葉をふんだんに盛り込む感覚のアンバランスさです。これをどういう人達が何を考えながら書いて、何を伝えようとしているのかまったく分かりません。この条文を書いている人達は自分たちが何を書いているのか分かっていないとしか思えません。


最後にもっとグロい動画を引用します。

映像は白黒なうえに解像度も低く分かりにくいですが、ミニバンに乗った2人の子どもがヘリからの攻撃で負傷するという内容です。さっきの漫画との決定的な違いは、こちらはノンフィクションだということです。
Wikipediaによるとイラク戦争終結後の民間人の犠牲者は8万人〜151万人だそうです。正確な情報は分からないようですが、たくさんの人が亡くなっているのは事実でしょう。なぜ彼らは殺されなければならなかったのでしょうか。
もし本当に青少年の健全な育成を願うのであれば、現実の世界で子どもの手本になるような行動を大人が示すべきです。子どもにはキレイな物しか見せない決まりを作る大人達の行動が、子どもからどう見えるかを考えるべきでしょう。