「ラストストーリー」レビュー

ラストストーリーをクリアしたので、レビューを書いてみます。なお、オフラインのみでオンラインは未プレイです。プレイ時間(クリア時間)は26時間。また、当たり前のことですが、これは個人的な感想ですので他の人がどう感じるかは分かりません。
ネタバレは極力しないつもりですが、説明の都合上、やむを得ずゲーム内容に触れることがありますが、ご了承願います。

所感

このゲームはとても完成度が高いです。そして非常に丁寧に作られています。ゲームに不慣れな人でも戸惑うことなく遊べる親切設計、斬新な戦闘システム、綺麗な映像、シーンを盛り上げる音楽。欠点を上げるのが非常に難しいくらいです。ですので、ファミ通レビューで高得点(38点/40点万満点)なのも納得ができます。ただ、唯一の致命的な欠点はつまらないということです。

最悪のストーリー

Amazonなどのレビューでこのゲームのストーリーを「王道」と書いているのを良く見ます。その意味が「勧善懲悪」ということなら間違ってはいません。ただ、自分にはこのストーリーの世界観をまったく受け入れることができませんでした。「ローマの休日ごっこは別にかまいませんし、いわゆる悪人が登場するのもゲームですから必然でしょう。でも変な信仰宗教のような訳の分からない設定はやめて欲しい。通常、ゲームでも映画でも物語の核心に迫るにつれて盛り上がっていくものだと思いますが、このゲームほどウンザリさせられたゲームはありませんでした。「地球は生きているんだ」的なガイア論や、よく分らないエネルギーや、なぜかそういうエネルギーに意思みたいなものがあって「わるいひとたち」に利用されていたりとか、世界を救うとかもう飽き飽きです。追い詰められた悪役が馬鹿笑いをしながら、訳の分からない行動に走って自滅するシーンではFFの映画を思い出しました。
ゲームをしながら何度も考えたのが、そもそもいい大人がゲームをするのが間違っているのではないか、という疑問です。でも、クッパにさらわれたピーチ姫を救出するマリオや、神話ベースのレギンレイヴ、未だによく分からない罪と罰などはストーリーに不満はありませんでした。ゲームが面白かったからです。この疑問の結論は、自分はなぜゲームを買ったのに延々とムービーを見なければならないんだという不満でした。

ムービーとムービーをつなぐゲーム

ゲームの導入やエンディング、合間合間にムービーを使うのは悪くない手法だと思います。でも、ゲームが主役で、ムービーは脇役であるべきです。これはゲームなのですから。ラストストーリーではムービーの合間に画面視点を動かして特定のターゲットに合わせたり、数秒間通路を移動したりすることがよくあります。視点移動や通路移動という「ゲーム」が面白い人がいるんでしょうか。確かに長いムービーを見てると飽きてきます。だから、プレイヤーの没入感を高めるために合間に何らかの操作を入れたい気持ちも分かります。でも、そもそもゲームにそんな長いムービーがある事自体が間違いだと思います。ゲーム中よりもムービーの方が綺麗にかっこ良く魅せることができるでしょうが、それがやりたいなら映画を作るべきでしょう。

プレイヤーの達成感を奪うムービー

いくつかの小ボスを倒した際、画面がムービーに切り替わって主人公がかっこ良く小ボスに止めを刺すシーンが流れることがありました。こういうイベントムービーが流れる度に、プレイヤーである自分は制作者の操り人形になった気がして減滅しました。敵を苦労して倒したのは自分のハズなのに、ゲームではムービーになっています。自分は単にそのムービーを流すために作業したにすぎない気がしました。

独特の戦闘システム

このゲームのジャンルはRPGです。パッケージにもRPGと書いてありますし、敵を倒して経験値を貯めてレベルアップすることができます。新しい要素として、ターン制やシミュレーションゲームの戦略とアクションゲームの融合を試みています。ゲーム序盤はパーティーメンバーに指示が出せませんが、ゲーム中盤から指示が出せるようになると俄然面白くなります。戦闘も面白いですし、ストーリー的にも状況が分かりやすく、ムービーも比較的少ないのでこの辺りが面白さのピークのような気がします。
ただ、残念なのは自由度が少ないことです。ターン制とアクションゲーム、壁などのオブジェクトの活用など、自由度は上がっているはずなのに、戦闘が単調になってしまいます。フィールドがなくランダムな戦闘ができないというのも一つの理由だと思いますが、仲間ともっと上手く連携できる仕組みがあれば、良かったと思います。でも、仲間との密接な連携の仕組みを考えると、今のようなリアルタイムアクションはできなくなるので、難しいのだろうとは思います。
終盤は、中ボスとの戦闘が増えるのですが、通常の攻撃が効かないかほとんど効かない場合が多く面倒です。ストーリーに飽きてきたのと怒涛のムービー量にウンザリしていた頃なので、このゲームを止めようかと思いましたが、攻略サイトによるとラスボスが目前だったのでクリアすることにしました。ですので、終盤が一番モチベーションが下がっていました。様々な中ボスがいましたが、どれも面倒にしか感じませんでした。

良かったところ

キャラクタの服の色を変えることができるのですが、思っていた以上に楽しいです。また、ボタン一つでパーティーメンバー全員の装備を最適化できるので便利でした。
パーティーメンバーはいろいろ良かったと思います。ダンジョン内では常に物陰に隠れる動作をするのが雰囲気を盛り上げていました。また、ダンジョン移動中はパーティーメンバー同士で会話するのですが、セイレンとジャッカルの会話が特に面白かったです。
また、お化け屋敷クエ(正式名称は別)はユーモアがあって面白かったです。ボス戦もパックマンのようで楽しめました。
マップ画面からカーソル選択で移動できるので便利でした。

気になったところ

いわゆるお使いクエでログがないので、不便でした。お使いクエのタマゴ2個やアーモンド3個をいちいち憶えないといけないのは面倒です。どうせなら、こういうクエはなくても良かったのでは?


結局、中古屋に売ってきました(2011/02/13追記)

3,000円でした。特典CDの有無は価格評価と無関係とのことでしたが一緒に引き取ってもらいました。