3DS「いつの間にかテレビ」を観るとなぜ3Dテレビがつまらないかが分かる

3Dテレビ所有者の4人に3人(75.5%)は「3D視聴に不満がある」と答えたそうです。新しいモノ好きの自分は家電ショップで初めて3Dテレビを見かけた時は、結構ワクワクしながら他のお客さんが立ち去って自分の番が回ってくるのを待っていたのを憶えています。でも、実際に観た映像は期待とはかけ離れたものでした。一言で言うと、「飛び出す絵本」の動画版という感じでした。「え、なんで?」という疑問ばかりが沸いてきて、他の動画もいくつか観てみましたがどれも似たり寄ったりという感じでした。


ところで、昨日からニンテンドー3DSの新しいサービス「いつの間にかテレビ」が始まりました。

これが非常につまらない。他の人はどう感じているのかと思い、3DSニンテンドーイーショップから「みんなの声」を見てみたら、やっぱり★1つが一番多い結果になっています。

サービスの内容は、毎日複数の3D動画が配信されてそれらを無料で観ることがと言うモノです。これがどれも「安かろう悪かろう」を地で行っているような印象しか受けません。今のところ6種類のシリーズ構成になっていて、手品、動物、アイドル相撲、鉄道などがあるのですが、どれ一つ面白いものがありません。任天堂Wiiで提供しているもう一つの動画配信サービスであるWiiの間では、まれに「修理、魅せます。」「動物たち」のような面白い動画があったのですが、3DSではそういう気配が皆無です。もちろん、3DSの動画はすべて3D対応なのですが、つまらないコンテンツを3Dにしたからといって面白くなる訳ではありません。アバターを映画館で観た時に感じた面白さは単に3D映画だったからではなく、コンテンツ自体に面白さがあり、それが3Dと合っていたからだと思います。
内容の酷さに拍車をかけているのはCMです。配信コンテンツの時間はいずれも2分30秒弱なのですが、どれも約30秒のCMが挿入されています。ただ一概にCM挿入が悪いとは思いません。たとえば、次のような動画は是非どんどん入れて欲しいものです。

でも、3DSの「忍たま乱太郎」の実写映画のCMはまったく面白くも何ともありません。


結局、面白いコンテンツを提供しようという意欲がまったく感じられないんです。言われた予算、時間、CM、仕様で、やれと言われたから3D動画をつくりました、のような印象しか受けません。これって今のテレビ放送の仕組みと非常に似ていると思います。実際、制作会社はテレビ局ですし。


たとえ数分の動画であっても、面白い動画が作れない訳ではありません。ニコニコ動画には多くの人にとって楽しめる動画がたくさんあります。

  • ヌコ ハプニング集

  • あの子だけズルイ・・・ 〜(ノ´・ω・)ノ {ママ〜)

  • 世界の王女


  • 【東方】Bad Apple!! PV【影絵】



2011年3月2日に行われたGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)で岩田社長は以下のように話をしていました。

つまり、ビデオゲームビジネスに対する二つの全く異なるアプローチを我々は今見ているわけです。一つの方向性は往々にしてあまりにも巨大な投資が必要になるものであり、そしてもう一つは高い価値を保たないゲームを供給するものです。

岩田社長はゲームソフトの開発費が高騰し続ける据置機のプラットフォームと、無料ゲームが多いスマートフォンのプラットフォームについて、このような見方を提示しました。しかし、このメッセージをゲームではなく映像コンテンツに置き換えると次のようになります。

つまり、映像コンテンツビジネスに対する二つの全く異なるアプローチを我々は今見ているわけです。一つの方向性は往々にしてあまりにも巨大な投資が必要になるものであり、そしてもう一つは高い価値を保たない映像コンテンツを供給するものです。

前者は映画、後者はテレビ番組またはいつの間にかテレビのコンテンツがあてはまります。映画はいずれテレビ放送されますが、基本は映画館でお金を払って観てもらう必要があり、お金を払ってでも観てもらう価値が求められます。対して、通常のテレビ番組はCMさえ挿入されていればコンテンツの質は求められません。もしかしたら質よりも問題表現を含まない無難さの方が重要視されているかもしれません。

岩田社長は価値の高いゲームに求められるものとして2つの条件を提示されています。

まず、中心となる魅力はほぼ即座に理解してもらえるようにする必要があります。あなたが提案することを知るためにゲームプレイヤーが10分を費やしてくれると思っているとしたら、それは遅すぎるかもしれません。ゲームの導入シーケンスは今まで以上に重要性を増しています。

2番目に、あなたのゲームのユニークな特質は、プレイヤーが素早く簡単に他の人に説明できるようなものであらねばなりません。ソーシャルな推薦は宣伝広告よりも遥かに説得力があります。ただし、簡単に理解できるアイデアでなければいけません。

認識は間違っていないでしょうし、素晴らしいことだと思うので、是非ともいつの間にかテレビのコンテンツに対しても同じ様に考えて欲しいものだと強く思います。