ライブドア事件について思ったこと

2011年6月20日ホリエモンこと堀江貴文さんが東京高等検察庁に収監されました。はてブでも色んなエントリが書かれていますが、個人的に思ったことを書いてみます。


ライブドア事件に関する疑問は次の点です。

  1. 被害者は誰なのか
  2. 東京地検による強制捜査
  3. NHKによる強制捜査のフライング報道や各種メディアの報道内容

被害者は誰なのか

お金を盗んだ人がいれば盗まれた人がいるはずですし、傷害事件を起こした人がいれば傷を負った人がいます。また、車で飲酒運転や信号無視、制限速度をオーバーしただけでは被害者はいませんが、被害者が出る可能性があるために道路交通法で罰則が決められています。
ライブドア事件の被害者として真っ先に思い浮かぶのはライブドアの株主たちです。強制捜査の入った2001年1月16日以降、ライブドア関連の株価は暴落したので大きな損害を被っています。しかし、そのきっかけを作ったのは東京地検による強制捜査です。通常の事件は、被害者と加害者がまず存在して、それから捜査して証拠を固めて逮捕・取り調べという流れだと思いますが、この事件では強制捜査後に被害者が生まれているように見えます。

東京地検による強制捜査

株式会社は、経営者の物ではなく株主の物です。事件報道が何もない状況で突然、強制捜査するようなことが経済事件の扱いとして妥当とは思えません。これについては、「なぜ?」という疑問しか思い浮かびません。
この事件の罪状は以下の2つとのことです。

次は、実際にやったことです。「さっきの目的にしたがって、株式交換比率を公正に決めたように見せたり、もうひとつの会社が赤字なのに黒字に見せたりしたよね」という意味です。

次に、第二の罪の有価証券報告書虚偽記載の方にいきます。
こちらは、「自社株式を売った利益と架空の売上をあげて、有価証券報告書の経常利益で嘘を書いたでしょう」という意味です。

これらの罪状の立証には公式文書があれば十分だと思われます。逆に、内部資料がなくなって困るのは、容疑を否定する資料が無くなる経営者たちではないでしょうか。

NHKのフライング報道や各種メディアの報道内容

強制捜査が入ったのは1月16日の午後6時半過ぎですが、NHKが2時間前の16時頃に東京地検の捜査を報道しています。

ライブドア証取法違反容疑で東京地検が捜索に乗り出したとの報道。株式分割をめぐり不正を行った疑いがもたれているという。ライブドアは「捜査が入った事実はない」とコメント。

この時にはそんな事実はありませんし、「2時間後の未来のこと」は分かるはずがないので、ライブドアは捜査を受けていないと言っています。
NHKによる「預言」後、各テレビ局はそれに追随する局、無視する局とに分かれたようです。

まあすごい。
16時台のニュース番組(TBS, フジ, 朝日)のうち、ライブドアのニュースを速報で中継つきで流しているのはフジのみ。30分経過しても、フジ以外は他のニュース(宮崎勉やらヒューザーやら)を流すだけ。その中でいち早く関係各所から中継をはさんで速報ながすフジテレビ。

事前情報なしの強制捜査のはずなのに準備万端整えて関係各所から中継するフジテレビも気持ち悪いですが、同じ様に準備している他の放送局がまったくライブドア関連のニュースを報道しないというのはもっと気持ちが悪いです。
以下のエントリではNHKのフライング報道を「風説の流布だとして問題視しています。

また、強制捜査後には、ライブドア錬金術として様々な報道がされました。スイス銀行を経由してのマネーロンダリングとかはいったいどうなったんでしょうか。


結局、これらの疑問や問題はまったく省みられることなく、「ホリエモンの2.5年の実刑」で事件が終わろうとしているように見えます。