憲法に保障された表現の自由が盤石であると信じるすべての表現者が、憚ることなく創作の翼を広げられる社会の実現を!

東京国際アニメフェア2012」で脚本賞を受賞した虚淵玄さんのコメントが事前にネットに流れていたものとまったく違っていたので、気になりました。


共同通信記事に書かれていたコメントは以下。

自由な創作表現をめぐる環境は、これからますます過酷なものになるかもしれません。このたびの受賞が、私と同じ苦悩を抱えるすべてのクリエーターにとって、励ましと勇気を与えるものになれば幸いと思っております

以前にネットで読んだ草案は下記でもっと露骨な内容でした。


そもそも今回の受賞コメントの背景には「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正問題があり、多くの出版社が東京国際アニメフェアへの参加をボイコットし、その結果、入場者が前回より大幅に減少する自体になっています。

アニメ関連企業の共同イベント「東京国際アニメフェア2012」(同実行委員会主催)の4日間(22〜25日)の総来場者数が、10年に開かれた前回から約25%減の9万9000人と大きく下回ったことが25日、明らかになった。


ただよく元の記事を読んでみると虚淵玄さんが語った内容と書かれており、事前のネットの記事は「都の記念冊子に載せるコメント」と書かれていることから、両者はまったく別物らしいことが分かりました。そして、虚淵玄さんのTwitterによると正式な受賞コメントは以下でした。

この度の受賞を大変栄誉に思います。潔癖を是とする社会からは汚泥とも映るであろうアダルトゲーム業界ですが、そこで培った感性があってこそ、本作の脚本は成立しました。私を評価して頂いた皆様には、汚泥の養分あってはじめて蓮の花も咲くのだとご理解頂けたものと、喜びを新たにしています。憲法に保障された表現の自由が盤石であると信じるすべての表現者が、憚ることなく創作の翼を広げられる社会の実現を願って止みません。


冒頭の記事が意図的に都条例改正との関連を避ける書き方をしたのか、それとも何も考えずに虚淵玄さんの言ったことを記事にしただけなのかは分かりませんが、受賞者のメッセージを要約するのであれば「憲法に保障された表現の自由が盤石であると信じるすべての表現者が、憚ることなく創作の翼を広げられる社会の実現を」を掲載すべきだったと思います。