変化する据置ゲーム機トレンド

これまで、据置ゲーム機はほぼ5年ごとに主にグラフィックを強化した新ハードに投入することが暗幕のルールになっていました。しかし、2006年11月11日のPS3の発売から6年目の今年、ソニーから発表されたのはスリム化したPS3でした。

今までとは違う据置ゲーム機トレンド

初代プレイステーションが1994年に発売されてから、長くても6年程度の間隔でPS2PS3が発売され、ゲーム機本体が変わることで、これまでになかった新しいゲーム体験を感じることができていました。以下の図は、ゲーム機本体のCPUクロックを対数表示したものです。


(数値は以前のエントリを参照。また、Wii Uのクロック数は2.2GHz、Xbox720は2013年3月 32GHzで仮置き。)

PSからPS3までほぼ一直線上にのっており、世代が変わるごとにクロック数が10倍になっていることを示しています。このCPU強化によって今のゲーム体験は支えられている訳です。しかし、このトレンドが続いたならPS4は今年、32GHzという非常識な値になってしまいます。こんなことはありえないので、ゲーム機メーカーはCPU強化を抑えた新ゲーム機にするか、またはゲーム機を寿命を延ばすしかを選ばなければなりません。前者の例は任天堂Wiiで、後者はSonyPS3やたぶんXbox360もそうかもしれません。

売れないHDゲームソフト

もう一つ明らかになったことは、HDゲームソフトは売れなかったということです。PS3のソフトで国内ミリオンを超えたのはFF13だけです。Xbox360は0本。対して、SDゲームのWiiは14本のソフトがミリオンを超えました。さらにSDゲームのPS2は17本のソフトがミリオン超えでした。

Xbox360(0) < PS3(1) << Wii(14) < PS2(17)

ミリオン超えのタイトル数で比較すると明らかにHDゲームは売れませんでした。お金と時間をかけて新しいゲーム機を開発してもソフトの売上につながらないなら、作る意味がありません。

まとめ

まとめると、つぎの2つになります。

  • グラフィックスを向上させた新ゲーム機本体の開発が技術的に困難になった
  • グラフィックスを強化しても必ずしもゲームソフトの売上につながらない

ゲームプレイヤーとして、HDゲームとSDゲームのどちらが良いかと質問されれば、HDゲームがいいに決まっています。でも、つまらないHDゲームより面白いSDゲームを選びます。たとえば、GT5のCGは本当に凄いと思いますが、買って遊びたいとは思わないです。また、SDゲームでもオンライン版のドラクエ10は買いましたし、HDゲーム化されるWii U版に期待もしています。

Wiiのゲーム画面は、誰が見てもPS3Xbox360と比べて見劣りしていました。それにも関わらず任天堂は、体感ゲームという新しいジャンルを作って複数の大ヒットソフトを販売しました。対して、PS3は本体の販売に手間取って「物売るっていうレベルじゃねぇぞ」という流行語を作ったり、ソフト不足という問題を抱えていました。ようやく最近になってHDゲームのラインナップも増えてきたという状況になって、任天堂からHDゲーム機Wii Uの発売が発表されました。任天堂はうまくSDゲーム世代を乗り切ったなと感じています。Wii Uには新しい「2画面」やHDゲームという新機能があるだけでなく、マリオやカービーといった任天堂のオリジナルソフトやドラクエ10、モンハン、鉄拳などのサードパーティ製人気タイトルも揃っています。対して、PS3Xbox360はHDゲームという優位性もない中で、Wii Uと競争しなければなりません。いつか分かりませんが、ソニーマイクロソフトからいずれ新しいゲーム機の発表があるでしょう。グラフィック性能に未来がないことが分かった今、どういう競争軸を設定してくるのか楽しみでもあります。