世界へ羽ばたく、はてなー

Wii Uの標準搭載アプリの開発に「はてな」が関わっていたそうで、最初は驚きましたが、改めて考えてみるとネットのCGMに不慣れな任天堂が「はてな」に手伝ってもらうというのはごく自然なことのようにも思われます。
ところで、近年、ネットの世界では勝ち組と負け組がより明確化してきたと感じています。例えば電子書籍の勝ち組はAmazonAppleで、負け組がいくら端末を無料で配ったり電書の冊数を楽譜やWikipediaでかさ上げしても逆転する見込みはないでしょう。ネット検索はGoogleが、動画投稿サイトはYouTubeやニコ動あたりが勝ち組になるんでしょうか。まあ、仮にいま勝ち組だとしても将来の保証がある訳でもなく、勝ち組同士のイス取りゲームを続けて脱落者を蹴落としていくのだと思われます。
さて、ここからが本題なんですが、「はてな」って勝ち組、負け組のどちらになるんでしょう。確かにソーシャルブックマークサービスでは自分もお金を払ってほぼ毎日利用させてもらっていますが、他のサービスはいまいちパッとしません。それどころかソーシャルブックマークも国内だけでしか通用しないガラパゴスサービスでいつまで続くものか分かったものではありません。基本、インターネットに国境はなく、ワールドワイドに展開できた企業のサービスが数の論理でさらに強くなってライバルを叩き潰している状況があります。YouTubeツイッターもそうですし、Facebookもそうです。Mixiのアクティブユーザー数ってどのくらいいるんでしょうね。はてなシリコンバレーに行ったり、英語版のはてなハイクを作ったり、英会話の時間を作ったりしていたみたいですが、今はどんな感じなのでしょう。
非常に個人的な感覚にすぎないのですが、はてなの技術力は高いのだと思います。ただ、世界に通用するアイデアがない。日本語が書けるからといって小説家になれないように、絵が描けるからといって画家や漫画家になれないように、ネットの技術があるからといって新しいサービスを成功させられるとは限らないわけです。海外のどこかの成功したサービスを国内向けにカスタマイズしてリリースしても、本家が日本語化してきたら太刀打ち出来ません。そんなある意味窮地に立たされているようにも見えるはてなの前に現れたのが任天堂なのではないかと思うわけです。
現行のWiiのスペックははっきり言ってショボイです。しょぼしょぼです。PS3Xbox360と画面を比べてみれば誰が見たって見劣りします。任天堂はそんなWiiのハードウェアにも関わらず優れたソフトウェアの力でPS3Xbox360以上の台数を世界中で販売しました。今度のWii UPS3Xbox360並みの表現力と2画面という強みを持っています。さらにWiiのソフトウェア資産をそのまま生かせます。間違いなくWiiと同程度の販売台数が見込めます。そして、はてなはそのWii Uのプラットフォームを世界で唯一独占できるのです。インターネットというレッドオーシャンの成功事例を参考にして、Wii Uという競合が誰もいないブルーオーシャンTwitterもどきのサービスやSkypeもどきのサービスを好きなだけ自由に開発して世界に向けてリリースできます。
ツイッターがあるのだから、ツイッターもどきのサービスは誰も使わないのではないか。一瞬、そうとも考えましたが、道具とおもちゃは別物なんです。ワープロはパソコンに吸収されました。それはどちらも道具に分類されるモノだから一つになっていても困らないし便利だからです。でも、ゲーム機はおもちゃなので道具としてのパソコンとは相性が悪いのだと思います。もちろんパソコンでもゲームはできますし、パソコンの方がより高スペックですが、ゲーム機を選ぶ人がいなくなる気配はありません。つまり、ゲーム機はなくならず、はてなーのサービスもWii Uという安全圏の中で世界中に提供されます。
ミトコンドリアが細胞と共生したように、将来は、はてなー任天堂はてなー部になる日が来るやも知れませんが、純日本産のITサービスが世界に向けて提供されるのは同じ日本人としても嬉しいことなので力いっぱい応援していきたいな〜と思う今日この頃です。