任天堂は世界中で手描きチャットブームを起こせるだろうか

12月8日に日本でWiiUが発売されました。
このWiiUに新機能はいろいろありますが、個人的に一番気になった機能はミーバース(Miiverse)と呼ばれる手書きもできるチャット機能でした。チャットと言っても、1対1ではなく、2ちゃんねるの様な掲示板とTwitterを足して2で割ったような構成になっています。気に入った人をフォローしたり、Facebookの「いいね!」のように気に入ったコメントに「共感」をつけることもできるので、自分のコメントにたくさんの共感が付くと、とても嬉しくなります。また、フレンド登録もできます。
こう書くと単なるTwitterFacebookのパクリかと思うかも知れませんが、「手書き」がWiiUだけのユニークな機能になっています。WiiUに標準で付いてくる小型のタブレット型モニター Game Padは、Miiverseのコメントを見るだけでなく、そのまま手書きの文字や絵を書き込むことができます。また、Game Padは感圧式なのでペンで文字や絵を描く時の感覚は紙に近く、気軽に自然な感覚で描くことができます。対して、スマホタブレットのセンサーは静電式なのでペンは専用のものが必要ですし表面に触れただけで検出されてしまうので、紙とはだいぶ違った感覚になります。だから、スマホは指での操作に向いているし、Game Padはペンでの操作に向いていると思います。
さらに、ミーバース掲示板は国ごと、ゲームごとに場所が別れているのですが、ニンテンドーランド(Nintendo Land)だけは世界共通になっていて、世界中の人の書き込みが一覧で表示されます。これが文字だけなら、言語が違えば意味が分からなくなってしまうのですが、手書き文字や絵なら言葉が分からなくても雰囲気やニュアンスが伝わりますし、絵の上手さは国に関係なく理解できます。自分も簡単な絵と英語のメッセージを書いたらイタリア人から手書きの日本語メッセージの返事が来たり、オランダ人の友達ができたりしました。絵の上手下手は気にせず、どんどん書き込んだら良いと思います。


これまで任天堂は世界規模で様々なブームを起こしてきました。DSでは脳トレWiiではWii Sportsのような体感ゲームWiiFit(バランスWiiボードは世界で最も売れた体重計としてギネスに認定)が人気となり、単なるゲームの枠を超えて社会現象と言えるようなブームとなりました。脳トレは電卓から紙の計算ドリルまで何でもかんでも「脳を鍛える」が宣伝文句になっていましたし、体感ゲームはあとからマイクロソフトXbox360ソニーPS3が相次いで参入しました。つまり、任天堂がやったことは技術的には難しいことではないので、やろうと思えば他の会社もできることのはずなのに、最初に流行を作るのは任天堂なのです。
見方を変えれば、任天堂は大きくヒットするかも知れない新しい「遊び」をいくつか発明し、その中の一部が大きくヒットしたとも言えます。今回、WiiUで導入された手描きチャット ミーバースは地味ではあるのですが、それを体験したなら肝心のゲームそっちのけでハマるほど楽しいものなので、時間はかかるかも知れませんが、大きなブームになる可能性は高いと思います。また、仮にブームになって他の企業が参入しようと思っても、スマホタブレットの静電式タッチパネルは手軽さや精度の点で手書きに向いていないので、任天堂と同じサービスを提供するのは難しいでしょう。


それにしても、海外の人で筆記体を使っている人をぜんぜん見当たらないのですが、自分が使ったらどう思われるんでしょう?変な人扱いされるんでしょうか。