報道特捜プロジェクト ニート特集


http://d.hatena.ne.jp/kowagari/20060521/1148170927 報道特捜プロジェクト ニート特集 本人によってYou Tubeに]

http://www.youtube.com/watch?v=OqzItpNiVCk
http://www.youtube.com/watch?v=iHPcRqlWtNY
http://www.youtube.com/watch?v=DvrPhM0yfUI

id:rahorahoさん自らYou Tubeにアップしてくれたので見るべし。衝撃のはてなTシャツ登場は「suzuki neet1」の6分頃。「suzuki neet3」が途中で切れてるのだけど、俺的には途切れた後が見所だった。

これを観て、思ったこととかを少し。


ニート支援マニュアル」の著者でNPO法人「育て上げ」ネットの工藤 啓さんの説明では、
ニートの若者を抱える(親の)世代は、自分の子供にだけは、夢を追えないということをさせたくない。無条件にやりたいことをやりなさいと伝える方(親)が多い。
(夢が)見つかっていない状態で働くことは良くないことだととらえている若者が多い。」
という内容でした。
この「無条件にやりたいことをやりなさい」というのは私も言われた記憶があります。
私の想像ですか、親の世代で「○○のようになりなさい。」と言わないようにしましょうとか、「自分のやりたいことをやりなさい。」と言うことで子供の可能性が広がるというような、教育法が流行ったのではないでしょうか。


また、成城墨岡クリニックの墨岡孝院長という方が、「(親が)子供に対してこういう大人になりなさいという教育がなされなかったことが多い。その影響を受けた子供たちが大人になって人生の目的とか何をすればいいのか、どう社会に貢献すればいいのか、全く分からない状態になっている。」
とおっしゃっていましたが、これはちょっと、違うと思います。
普通に働いている人で「人生の目的」とか「社会への貢献」と問われて、すらすら答えられる人がいるのでしょうか。
もしくは、こんなご大層な理由で働いているのでしょうか。
もし、私がこんなことを言われたら、余計にやる気をなくしてしまう気がします。


その後、鈴木さん(仮称)が生出演されたのですが、その時の質問が、
(年配の男性)「人間として生まれてきて、大学まで出して貰って、世のため人のために働こうとは思わないの?」
鈴木さん(仮称)「それは傲慢じゃないですかね。生きていれば良いんじゃないですかね。」
コレ、どちらかと言えば、鈴木さん(仮称)の意見に賛成です。
私も人間として生まれ、親に大学を出して貰いましたが、世のため人のために働こうと思ったことはないです。
質問した方は、世のため人のために働いているのでしょうか?
(質問した方の気持ちは分かりますが、上から偉そうなことを言っても仕方がないと思います。)


(年配の男性)「今、お父さん、お母さんがばったり倒れて半身不随になったら君が全部面倒みないといけなくなるよ。そういう場合も、十分あり得るんだよ。」
鈴木さん(仮称)「そしたら働かないいけないですよね。」
(年配の男性)「君の場合は働きようが無いじゃないか。誰も相手にしないよ。」
鈴木さん(仮称)「就職活動をしたり、アルバイト雑誌を。。。」
(年配の男性)「世の中そんなに甘くないよ。」
これって、誘導尋問というのではないでしょうか?
両親が半身不随になったら誰だって、対応できないのではないでしょうか?
(「働かないと駄目でしょ!」と言いたいのは分かりますが、こういう言い方は無いのではないでしょうか。)



(女性)「どうしてそんなに働きたくないんですか?」
鈴木さん(仮称)「働きたくないんじゃなくて、働く必要がないんで。」
これも、全く、その通りだと思います。


ここで終わりだとつまらないので、最後に内田樹さんの記事を引用したいと思います。
内田樹の研究室−資本主義の黄昏

「今は特に学びたいことも、やりたい仕事もない。
家にいれば、とりあえず雨露はしのげて、ご飯は食べられる。
親が生きている限りは、この状態がキープできる見通しである。
親が死んだら、そのときに状況を勘案しつつ、オプティマルな対応策を立案すればよい。」

NEETにむかって学びと労働の必要性を功利的な語法で説くのはだからまるで無意味なことなのである。
それとは違うことばで学びと労働の人間的意味を語ること。

今の状況を招いたのは、「学びと労働の人間的意味」を教えられなかった親の世代の責任なのかもしれません。
教えると言っても言葉である必要はなく、こういう本質的なことの多くは親から子へ行動で伝えられてきたのではないかと思います。
もしかしたら、今のように核家族化が進んだ社会では、こういう本質的なことを伝えることが非常に難しくなってきている気がします。

参考


<追記:2006.05.21>

西村: 別に働かなくて生活できるのならば、働く必要はないと思いますが。

全く正論だと思う。
なので、今度こういったアンチNEET特集をTVでやるなら、こういう見解に対する反論を用意しておいて欲しいと思う。