「地獄への道は善意で舗装されている」は誰の言葉か(その2)

散文的世界(仮)−「地獄への道は善意で舗装されている」について

英語の"The road to hell is paved with good intentions."という格言は余りにも有名ですし、ドイツ語にも"Der Weg zur Hoelle ist mit guten Vorsaetzen gepflastert."という格言があります。私はこの他の外国語は読めないので分かりませんが、恐らくフランス・イタリア・ロシアなどにも同様の格言があると思います。

これに従うならば、原典はクレルヴォーのベナルドゥスということになりそうです。

私は全然知らなかったのですが、"The road to hell is paved with good intentions."はとても有名な言葉だったようです。で、原典はクレルヴォーのベナルドゥスさんらしいのですが、言葉が少し違っていて、"Hell is full of good intentions or desires."だそうなので「地獄は良い意思か希望で満ちている」という感じでしょうか。でも、これだと、「善意が人を不幸にする」という意味にはならないような。でも、Wikipediaによるとこの人は十字軍の勧誘に大きな役割を果たしたそうなので、とてもこの格言に合っている気がするのですが、どういうシチュエーションで語った言葉なのでしょうか。

殆どの人が「The road to hell is paved with good intentions.」はサミュエル・ジョンソンの言葉だと信じていますが、これが彼の言葉だと認めるべきではありません。

ジョンソンはこれと類似したことを述べていますが、彼は別の言葉を参考にしているのです。ボズウェルは「ジョンソン伝(Life of Johnson)」の1775年4月16日の項目で、"Hell is paved with good intentions."をジョンソンの言葉として引用しています。ここでは文頭に"the road to"が用いられていないので注意してください。

引用記事によると多くの人は、この格言をサミュエル・ジョンソン(有名人なのでしょうね。)の言葉だと信じているようなのですが、彼の言葉には"the road to"が無かったようです。そうすると、「地獄への道は善意で舗装されている」と最初に言った(記録が残っている)のは、やっぱりマルクスになるのでしょうか。

補足(2006年9月18日)

改めてこのエントリーを読み返してみると誤解を招きそうな文書なので、補足します。
地獄への道は善意で舗装されている」については、はてなキーワードに登録しましたのでそちらも参照願います。
地獄への道は善意で舗装されているとは - はてな
また、このキーワードを作るきっかけとなったエントリーは以下になります。
うつせみ日記 - 「地獄への道は善意で舗装されている」は誰の言葉か