クリエイター進化論

ITmedia D LifeStyle:「補償金もDRMも必要ない」――音楽家 平沢進氏の提言 (3/4)

平沢氏: 現実として私がやっているように、すでにミュージシャン自身が制作・流通・決済が個人で可能なわけですよね。そういう状況の中で、一つの大手が沢山の楽曲を収集して陳列台に並べるということにどれだけ意味があるのか、ということなんですけども。反対に自分の楽曲を常に自分の管理下に置いて、どのようにお客さんが来ているのかを自分でモニターしながら活動を続けていくことと、最終的にどっちがアーティストにとって利益が大きいのか。ミュージシャンとしてマスに支持されることよりも、音楽をやることの動機のほうが勝っている人にとっては、そういうマーケットは向かないですよね。

平沢氏: メジャーレーベルを辞めて自分で配信するようになってからは、作品の売れ行きは伸びて、マーケットも広がってます。無料のMP3配信を監視していると、ダウンロードが24時間止まらないんです。そうしているうちに、次は世界中からCDの注文が入ってくる。そう考えると、無料で音楽を配信すること、コピープロテクトをかけないことは、プロモーションにつながるんです。これはものすごい威力ですよ。お金を払ってまで欲しいと思ってくれなければ、やってる意味がない。違法コピーしてそれで満足してしまうようなものであれば、それは自分のせいだと。作品がその程度のものでしかないと判断する姿勢を、今のところ持っています。

(強調は引用者)
むちゃくちゃ、かっこいい。
これって作品に対する絶対的な自信がないと言えない台詞ですね。


個人製作Flashがテレビアニメに 「古墳GALのコフィー」

一般の30分アニメは何十人ものスタッフと、1000万円程度の制作費が必要だが、Flashアニメなら1人でも製作可能。コストも、人件費とPCなどのツール分だけで済んでしまう。

個人アニメ作家にFlashがくれた“力” (3/3)

「クリエイターがFlashやネットというメディアを持ったことで、テレビ局とも対等に付き合えるようになった」とDLEの椎木隆太社長は話す。局から提示された条件が悪ければ、「ネットで放映するからテレビはいらない」と言える。お金をかけずに作れるため、製作委員会による資金調達も不要。作りたい作品を作れる。

(強調は引用者)
こちらはちょっと前の記事ですが、実力があれば(面白いコンテンツが作れれば)テレビ局とも対等に渡り合うことが現実になっている。


ネットという新大陸を発見して大きく飛躍をとげるクリエイター達。
旧大陸にしがみつくしか生きる術のない旧勢力は、やがて新大陸の勢いに飲み込まれるのかも知れない。
最近、日本の格差拡大が話題になっているが、クリエイター間の格差は更に広がるような気がする。ネットを活用して世界中を相手に直接ビジネスのできる人と、旧来の枠組みの中で中間業者に利益も作品さえも奪い取られる人。


なお、著作権を譲渡できるという話は初めて知った。日本の著作権は何の届け出がなくても発生するものなので(例えばこのブログや、子供が書いた落書きでさえも。)、譲渡はできないような気がしてたのだが可能らしい。つまり、自分の作品に対するいっさいの自由を失うのだ。ある意味、悲劇とさえ思える。ネットやブログがこれだけ普及しているのだから学校でも著作権についてしっかり教えるべきなのかも知れない。(すでに教えているのかも知れないが。)


著作権 - Wikipedia


例えば、東芝EMIには、「本サイトに掲載されている画像・文章等、全ての内容の無断転載・引用を禁止します。」と書かれているが、著作権法上、公開されている著作物の引用は誰の許可も必要無く認められている。(転載と引用は違うので注意が必要だが。)東芝EMIのWEB担当者には、ITmediaでも新聞社でもどこでもいいので、「著作権」の項目を確認されることをお勧めする。それにしても、レコードレーベルの著作権についての認識はこの程度のものなのだろうか。


引用 - Wikipedia