インターネットはブレインストーミング

ブレインストーミングという言葉を知っていますか?
何か問題や課題があり論理的に解決できそうにないときに使われることの多い、問題解決法です。やり方は簡単で何人かで集まって、まず、ひたすらアイデアを出し続けます。ある程度アイデアがたまったらそれを整理して問題・課題の解決方法を見つけるという方法です。やり方は単純なのですが、やってみるとアイデアが全然出てこない。また、実際にアイデアを整理して答えに結びつけるのもまた難しいです。
一応、コツがあります。

  • 出てきたアイデアを批判しないこと。
  • とにかくたくさんのアイデアをだすこと。

このブレインストーミングの例として、「ダスキン」という名称が決まった話があります。
ダスキンという会社の名前は、「ダスト」と「ぞうきん」の合成語だそうです。もともとは違う会社名だったのですが、新しい会社名を決めるために会議を開いたのですが、なかなか決まらず、煮詰まってしまい、険悪な雰囲気になったそうです。
その時、誰かが「ゴミをとるんだから”ダスト”でいい。」と言い、別の誰かが「掃除用品なんだから”ぞうきん”だ」と言い、さらに別の人が両方をくっつけて「ダスキン」になったそうです。
この話を誰に聞いたのか憶えておらず、また、ググってみてもそういう記述は見つからないので、実際には全然違う話かも知れません。

このみんなが好き勝手なことを言い合うことによって、結果的に価値の高いアイデアが生まれるという構図が、インターネットで成功しているサービスに共通しているように感じました。
例えば、ブログ、FlickrYouTube2ちゃんねるのどれも、無償で誰もが自由にデータ(文字/画像/動画)を登録して公開できます。そしてその公開されたデータを見た別の人も「自分もデータを公開したい」と思ってデータを登録するというように各人それぞれが思い思いの理由で自分の好きなデータを公開します。それらのデータのほとんどは他人が見ても面白くないものですが、中には「すばらしい作品」が含まれていることもあるでしょうし、2ちゃんねるでは合作によって価値あるコンテンツが生まれることが多いように思います。

こういうインターネットのサービスは、それぞれ目的も違うし仕組みも違うのに、共通点があるように思います。それは、上記のブレインストーミングのコツである「出てきたアイデアを批判しないこと。」「とにかくたくさんのアイデアをだすこと。」です。
もちろんブログの中では日常的に批判もありますし、時には”炎上”も起きますが、システムとして各エントリーを制限することはありません。原則(法律に触れない限り)、誰もが自由に発言できます。そして、実際多くの人が自分の好き勝手なことを書いています。
これは、ある種のブレインストーミングではないかと思うわけです。

オーマイニュースというシステムも自由な意見を公開する無料のサービスですが、上記サービスとは異なり、意見の公開に制約があるだけでなく、スタッフによって間引かれてしまいます。これでは、多くの意見が集まりませんし、スタッフによる間引きが「自由な発想」を抑圧する可能性があります。こういうのはブレインストーミングが失敗する典型的な例です。スタッフの方は、もちろん、ブレインストーミングをやっている気は毛頭無いのでしょうけど。たぶん、旧来の紙面という制約のある媒体でやっていたことを、インターネットでもそのままやっているだけなのだと思います。

この”間引き”と正反対と思えるようなことをしているのが、インターネット・アーカイブでネット上のリソースを全てアーカイブしようとしているようです。例えば、「はてなダイアリー日記のスナップショット」をウェイバックマシーンで見ることもできます。
また、GoogleAmazonは図書館の書籍を電子化しOCRでテキスト化して検索に組み込もうとしています。今は著作権の問題があるためにWEBと同じように扱うことはできませんが、それも時間の問題で、やがてWEBページと同じように扱えるようになると私は思っています。

その結果、全地球規模でのブレインストーミングが書籍という過去の知識も巻き込んで、起こるような気がします。それによって、何が生まれるのかは、想像もできませんが。