メディアに対する認識の変化

元日本マイクロソフト社長の古川さんのブログに麻布学園での講座の模様が書かれたサイトへのリンクが貼ってありました。麻布学園という言葉は聞いたことがあるのですが、実際にはよく分かりません。Wikipadiaによると中高一貫教育の男子校で、灯台への合格率も常に10位以内というエリート校みたいです。

古川 享 ブログ: 麻布学園のリレー講座
麻布学園 リレー講座 デジタルの世界: 特別授業の要旨、第2回-2時限目

事前に「今、デジタルの世界に何が起きているのか?」という講義のテーマは伝えてあったようなのですが、古川さんがiPodの新製品の発表のことを知っているか?実際にスピーチを観た人はいるか?を質問したところ、新製品のことを知っている人は10人程度で実際にスピーチを観た人はいなかったそうです。
それに対して、古川さんは以下のように言われています。

 1時限目の授業で、生きていく上での「スピード感」という話をしたのだけど、誰もビデオを見ていないってことは、チョッと感度が低すぎないかい?デジタルの世界では、次から次へ色々な技術やビジネスの展開が毎日のように発表されるわけだけれど、新聞や雑誌に出てからそれを読むというアプローチに満足してしまうと、いつのまにか能動的に関わることを止めて受動的な姿勢で情報を待っているだけのフォロウワーになってしまうのではないかな?私にとって、新聞とか雑誌に出ている記事はもう既に終わってしまった結果だけが掲載されている...極端な言い方をすれば死んでしまったネタです。活きの良いネタを自ら探す、もしくは世間にインパクトのあるネタを自分から発信するようになるためには、いつもスピード感を維持して情報の渦の中心に廻り込む努力を続けて欲しいものです。
(中略)
発表の内容を限られた紙面にまとめた記事からは発表の全貌も姿勢も読み取ることはできないので...情報の根幹に近づいて全ての情報を入手する、そしてその中から発表の本質を汲み取るという作法を身に着けて欲しいものです。

(強調は引用者)

つい数年前までは、何かについて調べるというのは、それについて書かれた記事を探すということと同じだったと思います。それが、インターネットによって"一次情報に直接アクセスできるようになったのだから、一次情報を直接見ないでどうするんだ。"と変わったんだなと思います。

参考

Special Event - It's Showtime

上のリンクがスティーブ・ジョブズによる新製品発表の様子です。こちらのエントリーで発表の時間割を書いたので、例えばiTVだけ観たいという方は50分ぐらいから観れば良いと言うことが分かると思います。

おまけ

IE以外のブラウザを使っている場合は、麻布学園の画像をクリックしないことをお勧めします。クリックすると"宇宙語"が表示されてしまいます。(Mac版およびWindows版のFirefoxではそうなりました。)
どうしても大きな画像で見たい場合は、リンク先を保存後に拡張子を"jpg"に変更すれば見えるはずです。

古川さんに対する文句ではないのですが、MSNのブログは自分たちのサービスや製品のことしか考えていないように見えます。コメントするにもMSNのアカウントが必須ですし。古川さんがこういうのを改善しようとブログでコメントしているのを時々見かけるのですが、余り改善されていないようです。

追記(9月19日)

デジモノに埋もれる日々: メーカと一般大衆との情報ホットライン - ニュースリリースと映像公開
こちらのエントリーで任天堂の岩田社長のスピーチを例に、情報の二次ソースしかアクセスできなかった時代から一次ソースに直接アクセスできるようになった現在への変化について、分かりやすく解説されています。
それにしても、任天堂とアップルでは、ゲーム機と携帯音楽プレーヤーで業界も違うし、日本と米国で国も違う、そして表現スタイルも全然違うにも関わらず、「社長の新製品発表の全映像を自社で公開している」という点では一致しています。このことがとても不思議に感じます。(他の共通点としては、ソニーマイクロソフトと競争しているのも同じですね。)
こういう偶然とも思えるような一致を見ると、時代の流れというものを感じます。