長久手町発砲立てこもり事件 報道内容に対する違和感

長久手町発砲立てこもり事件ではSAT隊員が銃で撃たれて亡くなられたが、その状況が報道メディアによってかなり違っている。

 ◇倒れた警官を助けた直後被弾

 テレビの映像などによると、木本巡査部長の救出時、SAT隊員らは銃を構え、木本巡査部長を運び出していた警察官らを支援。木本巡査部長が現場前の路上に止めた捜査車両の前まで運び出された直後、林巡査部長とみられる隊員が銃弾を受け、後ろ向きに倒れ込んだ。付近では同僚らが驚いたように倒れた隊員ををのぞき込み、隊員をさらに後方に引きずっていった。

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070518k0000e040028000c.html

(ウェブ魚拓)
この映像がYouTubeにアップされていることを痛いニュース(ノ∀`) : 愛知立てこもり事件で、警官救出時に特殊部隊SAT隊員(23)撃たれ死亡 - ライブドアブログ経由で知った。

807 名前:名無しさん@七周年[sage] 投稿日:2007/05/18(金) 10:15:18 id:bQLuME4a0
http://www.youtube.com/watch?v=sR2n3_fg-bY

の00:41からの画面中央、銃を構え警戒中の2名の隊員左側、
被弾、しゃがみ込み、数秒後力尽きて後ろに倒れます。

WEB上の新聞メディアではこれを以下のように報道している。

 死亡したのは県警機動隊の林一歩(かずほ)巡査部長(23)。午後9時20分ごろ、救出活動中に現場から7、8メートル離れた捜査車両の陰で警戒していたところ左胸に被弾した。18日午前0時14分に病院で死亡が確認された。防弾チョッキを着用していたという。

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070518k0000m040138000c.html

(ウェブ魚拓)
上記映像を見ると周りに車があるし、銃を構えているのは”警戒”していると言えなくもないので「捜査車両の陰で警戒していたところ」というのはウソではないが、適切ではないように思う。この真位置に新聞の記事だけを読んだのであれば、事件とは直接関係のない警官が運悪く犯人の流れ弾に当たったと思うだろう。実際には倒れた警官を救助していて被弾している。
「左胸に被弾した。」と「防弾チョッキを着用していたという。」があるが、”なぜ防弾チョッキを着ていたのに銃弾を防げなかったのか”という疑問が沸く。

林巡査部長は愛知県警の特殊部隊(SAT)の隊員で、突入部隊とは別に、現場の民家から少し離れた路上で警戒にあたっていて撃たれた。防弾衣などの装備は着用していた。

http://www.asahi.com/national/update/0517/TKY200705170274.html

(http://megalodon.jp/?url=http://www.asahi.com/national/update/0517/TKY200705170274.html&date=20070518004925)
朝日新聞の記事でもSAT隊員は警官の救助とは関係のないというスタンスで記事が書かれている。

午後9時15分すぎ。ジュラルミンの盾を構えた機動隊員が、一列になって家の方へ近づいていく。

http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007051700233.html?fr=rk

(http://megalodon.jp/?url=http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2007051700233.html%3ffr%3drk&date=20070519123838)
機動隊 - Wikipediaによるとジュラルミン製の盾は旧式で、新型は強化プラスチック製とのこと。銃によっては「盾1枚を簡単に貫通」と書いてある。この朝日新聞の記事が正しいとすれば、警視庁や警察庁が現場隊員の命の価値をどう考えているかが分かるし、間違っているなら"機動隊員が持っている盾はジュラルミン製"という思いこみで記事を書く報道メディアの質が分かる。

林巡査部長は防弾チョッキを着ていたが、チョッキのすき間の左鎖骨から入った銃弾が心臓に達した。死因は出血死だった。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070517it11.htm

(http://megalodon.jp/?url=http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070517it11.htm&date=20070519125320)
銃弾は防弾チョッキの隙間の鎖骨から入ったと書かれているが、別の記事の左胸を撃たれたというのと整合するのか。あと、心臓を撃たれたのに、即死ではなく出血死というのも素人的には疑問。あと全体的に言えることだが、記事は断定的に書かれているが、ニュースソースはドコなのだろうか。記者が全て事実確認したのだろうか。

はてブで注目されているhttp://www.ryutai.com/journal/kimuzuka/200704.html#26によると警察や機動隊などの現場に支給されている防弾チョッキなどは日本国内に多く出回っているトカレフなどの銃弾を防げない粗悪品らしいが、ネタっぽいエントリーなのでどこまで信憑性があるかよく分からない。

しかし、

  • 機動隊には銃弾が簡単に貫通するジュラルミン製の盾が支給されている。
  • 防弾チョッキを着たSAT隊員が心臓を撃たれる。

などが起きると、装備が粗悪品という話も信憑性が増してくると思う。本当に防弾チョッキの隙間から鎖骨を撃たれたのか、それとも防弾チョッキを貫通したのかは、確認する術がない。しかし、これ以上犠牲者(銃弾を撃たれる人はもちろん、銃を撃って殺人者となる人も)を増やさないためにも、問題があるのであれば改善して欲しいと切に思う。喩えでなく、人の命がかかっているのだから。